- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003101032
感想・レビュー・書評
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「気をつけろったって、これより気の付けようはありません。わるい事をしなけりゃ好いんでしょう」
赤シャツはホホホホと笑った。別段おれは笑われるような事をいった覚はない。今日ただ今に至るまでこれでいいと堅く信じている。考えて見ると世間の大部分の人はわるくなる事を奨励しているように思う。わるくならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊っちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。それじゃ小学校や中学校で嘘をつくな、正直にしろと倫理の先生が教えない方がいい。いっそ思い切って学校で嘘をつく法とか、人を信じない術とか、人を乗せる策を教授する方が、世のためにも当人のためにもなるだろう。赤シャツがホホホホと笑ったのは、おれの単純なのを笑ったのだ。単純や真率が笑われる世の中じゃ仕様がない。清はこんな時に決して笑った事はない。大に感心して聞いたもんだ。清の方が赤シャツよりよっぽど上等だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言わずと知れた名作だけれど。
本当にちゃんと内容を知っている人が、どれだけいるだろう。
縁あって松山に行くことが多いが、今回改めて読んで、あまりにイメージと違いすぎていて仰天した。
何かと見かける坊ちゃん団子などのイラストから、勝手に「坊ちゃんとマドンナは良い仲」なんて思い込んでいた。
全然違う。
松山が坊ちゃんを推すから、てっきり松山で面白おかしく嫌な教師をやっつける話と思っていたのに。
全然違う。
むしろ、なぜ松山は坊ちゃんを推す気になったのか、不思議でならないくらいだった。
そして何より、あとがきと又聞きによると、この話で坊ちゃんがしたことの中には、作者の漱石自身が実際にしたことも含まれているらしいことが、驚きだった。
何となく、『こころ』のせいなのか、漱石には知的で落ち着いた(そして色々な逸話から、神経質な)人だと思っていたのだけれど…思いの外、やんちゃだったのかも。
数作品読んだくらいで、その人を知ったような気でいちゃいけないものだ。 -
再読!
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漱石初体験のあなたは、『坊ちゃん』からどうぞ。
【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
高校生以来。
昔から鼻持ちならない奴はいたんだなぁ。
そんなに真っ直ぐだと神経衰弱にもなっちゃうよ。
大人になった今、痛快だけじゃない部分も読める。
清とのつながりがいとおしい。 -
何度読んでも痛快。
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資料ID: C0005669
配架場所: 本館2F書架 -
小学生時代に読んだ本を半世紀ぶりに読むと印象が変わって面白い。歳をとったせいか、”そんなに人に突っかかってたら苦労するよ~”と言いたくなる場面ばかりで。清が愛おしい。最初の停車場の別れで”何だか大変小さく見えた”という表現はよく覚えている。最後の”後生だから、清が死んだら坊っちゃんの御寺…”で「後生」という言葉を覚えたような。解説で平岡氏が坊っちゃんと清の二人の生活は”四ヶ月程度であろう”と言うがその根拠は?「鹿男あをによし」の”鹿せんべい、そんなにうまいか”はこの話のオマージュだった、と今頃気がつく。