坊っちゃん (岩波文庫 緑 10-3)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101032

感想・レビュー・書評

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  • 表現が多彩で、読んでいてあきません。
    【熊本学園大学:P.N.プール派】

  • 無鉄砲でわが道を行く「坊っちゃん」が悪党である赤シャツをこらしめる読んでいてスカッとするお話。
    赤シャツをこらしめるところも好きですが、わたしはこの物語の最後の一文に坊っちゃんの優しさや簡潔な日本語の美しさが表現されていて非常に好きです^^

    (理学部 P.N. Y・Tさん)

    ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00086689

  • 漱石はいつも最初の一文がいい
    なんでもないことを詩的に書くと思えばくすりとさせる言い回しを使う
    物語より文体が魅力的

    主人公の坊ちゃんの、ハチャメチャな生き方はあそこまでいくとうらやましい
    思ったことは口にして、気に入らないことには頑として首を縦に振らない
    そんなわが道を行く生き方は、白い目を向けられる苦労ともれなくセットになっていると思ってたけれど、案外本人ではなく周りの人間が苦労するのかもしれない

  • 熊本、愛媛、大洲、松山などを舞台とした作品です。

  • 評価のわりには、あっさりしていた。

  • 「――親譲りの無鉄砲で子供のときから損ばかりしている」――この一文で始まる物語は、実は最初の部分しか読んだ記憶がない。解説を読みそれはそうだとうなずいたのだけれど、確かに、こころと異なり、坊ちゃんは序章くらいしか教科書に載っていなかったように思われる。

    ただ、確かにこの作品の素晴らしさは、出だしの一ページ目である。淀みのない滑らかな文章。全体としては、痛快諧謔に感じられるかもしれないけれど、最初の一ページ目は少し性質が異なってくる。むしろ、客観的に自らを見つめる知性のようなものがそこはかと漂い、それをわざと崩した喋り方で表現しているといった具合か……。それに比べると、赴任先での彼は、自ら率先して単細胞と化しているような感じがする。要するに、元々主人公は頭がよかったのではなかろうか、それを努めて馬鹿を装っていたが、しかし、清の死を経て彼はその殻を脱ぎ捨てた――なんて解釈もできるのかもしれない。


    しかし、語り口を観る限りでは彼はわざと馬鹿に見せようとしている感も否めなくはないのだ。いや、これでは語弊がある。つまり、わざと余計なことを考えず、まっすぐに生きるとでも言うべきか、しかし、清の死を経ていろいろ考えるところがあり彼本来の繊細な顔が彼の中で鎌首をもたげはじめた、なんていうふうにも感ぜられる。

    解説者は、「涙なしには」とあるが、しかし、この物語で泣くまではできないだろう、なんていうか、この物語で泣くにはもはやこの物語を離れて、解説者自身が物語を自らの頭の中で描いてしまっているのだろうから、けれど、言わんとしていることはわかる。この物語がただ、明るいだけの話ではないということだ。清――という存在が年を取りすぎており、なおかつ、彼は母親の愛情をそれほど受けずに育ったようであるから、清を母親代わりとしているという考え方は簡単に出来ようがしかし、むしろそうした固定観念を取り除いてみると、どうにも清は主人公の恋人のようにも思われてくる。実際に、主人公は手紙の相手が「嫁」だと言われても、結局のところ否定はしない。要するに、まんざらでもないのだ。女が嫌いではないと言っているものの、しかし、女性に対する欲情などもすっかり描かれずにあるのは、やはり、清が恋人のような存在だからなのではないか……って考えるとなんだかロマンチックだ。

    ただ、それにしても、キャラクター性があんまりにもはっきりとつくられすぎて、非情に現代的な小説だと感じるな、これ。むしろわざとらしすぎるくらいだもの。わざとらしいんだけれど、どうにも小憎たらしいあたりはやはり描写がたくみなのだ。それにこれが勧善懲悪なのかと言えば、そうではなくて、むしろ、彼らはやりこめられてしまう。一応彼らなりの義は通してくるものの、赤シャツや狸、野だ、たちからは「ろくでもないやつだったなぁ」とたまに回想されるだけにとどまり、赤シャツらは依然として彼らのままあるに違いない。善人に分類される人間は土地から追い出され、自分の恋人のような存在の清があっさりと死に絶える。そのあたりに無常性が感じられてならず、やっぱり、『こころ』と同じ作者によって描かれた作品なのだなぁとしみじみ感慨深くなるのであった。

  • 愛媛県民なのに坊ちゃん読んでないのもどうなのと思って県外に引っ越してから読みました…噂通り愛媛の扱いはひどいけど(笑)子規もお手紙でそう書いてたものね^^
    漱石先生の小説はうんうん唸って読むような難解さがなくってとても読みやすいんだけど、決して軽い、薄っぺらいものじゃない。こりゃあすごいことだとしみじみ。
    江戸っ子・坊ちゃんのいきおいや情があざやかに描かれています。なんにせよ坊ちゃんは最後まで坊ちゃんでした。こうやって見るとちょっと昔の小説ってタイトル付けが非常に秀逸…

  • ちゃんと読んでいなかった名作一気読み。実家本棚で茶色く変色した昭和25年初版の文庫。文字フォント小さく、旧仮名遣い。坊ちゃんて、こーゆー話だったのか。

  • 四国松山の中学校に赴任した数学教師「坊っちゃん」が、生徒や他の先生を相手に様々な事件を起こす。正義感が強く純粋な青年と、彼を取り巻く利己的な社会とを対比的に描いた、痛快な物語。

  • 星は三つだけど
    清に危うく涙しそうになった。
    坊ちゃんがちゃんと清を大切にしてくれて良かった。
    私はこういうキャラに弱い。

    ストーリーとしてはシンプルで特に目立ったことはないのだけど、
    夏目漱石は文章がきれいで読みやすい。
    そして作品全体に品があって美しい。
    流れている時間が違う。
    最近のインパクトばかりをウリにしている本を読んで
    「本好き」を自称している人に読んでいただきたい。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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