- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003101117
感想・レビュー・書評
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登場人物が本当に生きているみたいな人間力があります。
その分読解は難しく一読では足りそうにありませんが、文体がすごく好みでした!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恋は罪悪。
これが全ての始まりであり、終わりでもある。
いや、始まり、特に終わりはないのかもしれない。
信じることが恐怖でしかない先生は、心を開くことが恋によって得られたかもしれない。だが、そんな恋すらも狡猾な策略に嵌められていると疑心暗鬼になってしまう。それを見ていると、信じることの本当の意味をを感じさせられる。
信仰に揺らぐKもまた、同じ恋という罪に耐えかねて死を選ぶ。
Kを死なせてしまったという責任に引き摺られる先生は、贖罪者のようにKの死を悼んでいる。
そんな様子を見ていると、罪悪という感情が2人のの心から離れることがないのが感じられる。
特に後半の遺書は先生の苦悩が悶々と伝わってきて、死にゆく様が妙に喪失感を感じさせる。
愛とはなにか、友情とはなにか、
私は先生の死を受けてどうしたのか、静は何も知らないでいるのか、先生はどのように死んだのか、読んだ後でも考察が止まらない孤高の一冊である。 -
r3.10.1
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先生の遺書は、誰の救いになるのだろうか。ならないのだろう
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友達が『こころ』をおすすめしてくれて本が好きになりました。たぶん1番何回も読んでいる本だと思いますが、毎回、思う感想が違うのが面白いです(まっしゅ)
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図書館・請求記号 913.6/N58/c/B1 -
型にはまった悪人はいない。普段は善人だがいざという時に悪人に変わる。
嫉妬や焦りといった身近にある感情からとっさに起こした行動が、とんでもなく人を傷付けることになる。人間のどうしようもない部分を見せつけられた。
どの行動もどれも人間らしくて目が離せない。
ただ、「K」がどんな感情で自殺したのか分からない。
先生の裏切りに対する憎しみや絶望といった感情ではない気がする。
もう一度、しっかり読んでみたい。 -
時間さえあるのなら、また読みふけりたい。明治時代だからこその人間関係、構成される人格、時代背景は現代人からすると不可解で単純ではない。
私から始まり先生と御嬢さん友人Kそれぞれの目線に立ったとき、きっと物語の最後と同じ顛末になるのではないか?それが明治が作った皮肉で純白で無知で恐れいる内容だと思う。
夏目漱石は生に執着があり時代背景を変えたかった、もしくは変わる時代を眼にのこしたかったのではないか?明治に抗っているようにもみえた作品だった。 -
あまりにも有名な、漱石の名作です。
「私」「先生」『友人K」と、登場人物名が匿名化されているためか、ある人物の心の動きに自分と通じるものを発見することがありました。
また、「先生」の過去は明らかになるものの、物語のその後には様々な想像の余地が残されています。これも、作品をより奥深く魅力的なものにしていると思いました。