阿Q正伝・狂人日記 他十二篇: 吶喊 (岩波文庫 赤 25-2)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003202524

作品紹介・あらすじ

魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。こうしたやりきれない暗さの自覚から中国の新しい歩みは始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 思ったより読みやすい魯迅。「阿Q正伝」も「狂人日記」も胸クソ系でなんだか落ち込みます。それにしても表記の問題とはいえ「阿Q」って超かっこいい!

  • 中国での口語体文学の先駆けで有名な作家なので、逍遥や二葉亭のような作家かと思ったら全然違った。特に儒教とか科挙制度に対して反対の立場をとっているのがなんとなく伝わってくる。反体制かどうかまでは分からないけど。そういった思想的、政治的背景はおいておいて、なんか人生が切なくなる話が多い。

  • ⚫︎受け取ったメッセージ
    無知は最大の罪

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    中国の文学者・思想家である魯迅の長編小説。1921年、中国の新聞「晨報」に発表され、注目を集めた長編小説。辛亥革命の時代を生きる阿Qという日雇い労働の男が、ある事件をきっかけに土地を追われ、意味もわからぬまま革命に加担、処殺されるまでを描いた。自尊心が高く無知蒙昧な愚民として典型化された主人公を通して、当時の中国社会の病理を鋭く告発した作品として評価された。特にこの作品を気に入った毛沢東が談話でしばしば引き合いに出したため、魯迅の名声が高まったと言われる。

    ⚫︎感想
    都合の良い方ばかりを信じる人間の習性、何も学ばない人間の行き着く先は、身の破滅。常に広い視野を持とうという姿勢を大事にしなければならない。興味がなかなかわかない、でも大切だと思うことにも、一通り知識は持っていたい。

  • NDC 923
    阿Q(あキュー)という人物は、清朝末期から民国初期の革命時期に生きた。中国では価値観が大きく転換する激動期である。機能まで社会の秩序を維持していたと考えられていた規範や伝統文化が一転して足枷として否定されていくーそのような中で、阿Qは、中国人は、どう生きたか。中国の近代史を知る。
    (『世界史読書案内』津野田興一著 の紹介より)

    「人が人を食うという妄想にとりつかれた「狂人日記」の「おれ」,貧しい日雇い農民でどんなに馬鹿にされても「精神的勝利法」によって意気軒昂たる阿Q.表題二作とも辛亥革命前後の時代を背景に,妄想者の意識・行動をたどりながら,中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す.魯迅最初の作品集『吶喊』の全訳.」

  • 学生時代教科書に載ってたいくつかの短編以外も急に気になって、初めて自分から魯迅の一冊を読んだ。
    魯迅先生は僕の最も尊敬している人間の1人で、10年前仕事で仙台に行った時も、魯迅がかつて留学した時使っていた教室を見学したり、当時使用していたノート(確か)や成績簿の展示を見たりしたくらい。勉強が嫌いだったので基本的に教科書に載っている文章こそ嫌いになりがちだが、こころから感心していたのは魯迅の文章くらいだった。特に「故郷」は、今回読み返してもほとんど一文も忘れていなくて当時は確か全編暗記してたような気がする。
    やはり魯迅先生は偉大な作家だけではなく、筆を武器にして戦う戦士だなぁと改めて感じた。少しずつ他の作品集も読んでいこうと決めた。

  • 1900年代初頭の中国の社会情勢がよく読み取れるような本だった。
    中国史には詳しくないが、それでもどのような背景でこの短編・中篇小説が書かれているか、背景が思い浮かぶ描写が所々に見られた。
    少し言葉が難しいところもあるが、注釈も書かれているので読み進めやすい本。

  • 有名な阿Q正伝を読んだ。
    著者が日本に留学していたためなのか、それとも翻訳者の作風なのか、この本が書かれた時代の他の日本の文豪が書いた作風になんとなくにたもの感じる。

    彼が医学から文学へ転向したのは、中国人スパイが処刑されるのを、同胞が処刑されるのをぼんやりと見ている中国人を見たからといった逸話が最初にできているが、全体を通じ、決して中国人だからというよりは、普通に昔の日本人にも通じるような、逸話が全体を通じて散見されるように思う。

    もちろん中国と日本は違う文化的変化を遂げていること、当時の中国固有の社会システム等の中での出来事を語っているので、ぱっと見は違うが、何かしらの外的要因により、酒を飲んであばれる、自分を高めて見せようとする、皆でバカにするといったアウトプットにつながっていく様はなんだか日本人とも非常に似ている気がしてならない。

    彼が言いたかったことは、もしかしたら下記の一文に全て現されているのではないだろうかと思ってしまった。

    P.180
    もし創造主を責めることを許してもらえるなら、私は言いたい。かれはあまりにも無造作に生命をつくり、またあまりにも無造作に生命をこわしすぎる。

  • じぶんの書物とその発露のことを吶喊!と言える覚悟よ〜
    まあなんてことなく、寂しさから、とか、あることをなんとなく書きました、とか言ってるけどほんとうに心決めてないとできないことよね、かっこいい

    文章もかっこいい、逃げてないかんじがある

  • 清朝末期の貧窮知識人(?)を描き出す短編

    ■孔乙己
     官僚身分であることを示す官服(すでにボロボロになっている)を着てツケで呑む。そのうちツケも通らなくなり…


    ■風波

    村の知識人
    本を振りかざして三国志の人物批評をする

    “趙七爺は隣村の茂源酒店の主人である。五里四方の内ではたった一人の図抜けた人物で兼ねてなかなかの学者先生である。彼は学問があるのでいささか遺老の臭気がある。


  • 読んでてまったくわからん。笑
    『孔乙己』については、宮崎市定の『科挙-中国の試験地獄-』(中公新書)の巻末近くにその背景が出てくる。それを読んでやっと少し理解できた。

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著者プロフィール

本名、周樹人。1881年、浙江省紹興生まれ。官僚の家柄であったが、21歳のとき日本へ留学したのち、革新思想に目覚め、清朝による異民族支配を一貫して批判。27歳で帰国し、教職の傍ら、鋭い現実認識と強い民衆愛に基づいた文筆活動を展開。1936年、上海で病死。被圧迫民族の生んだ思想・文学の最高峰としてあまねく評価を得ている。著書に、『狂人日記』『阿Q正伝』『故郷』など多数。

「2018年 『阿Q正伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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