病は気から (岩波文庫 赤 512-9)

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003251294

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらずモリエールの戯曲は面白いです。特に今回の作品はブラック気味なシニカルなユーモアに彩られていて、いつも以上に可笑しみが増していたように思います。どちらかというと自分向きな笑いであったようにも思います。(笑)
    話の基調は、頑固ながら間の抜けている主人公の父親が病気と思いこんで周囲からさんざんに食い物にされているのを笑い飛ばすということですが(笑)、悪医者からさんざんどうでもいいような薬を処方されたり、それを背景に医者の息子と自分の娘を強制的に結婚させようとして娘を困らせたり、一方で、後妻からは遺産を巻き上げられる陰謀を仕掛けられたりと、話のネタは尽きなくて、これだけでもどれも悪いジョークだらけの設定ですね。(笑)解説によるとモリエールは、本作の上演の数年前から悪質の胸部疾患に悩まされていたそうですが、その治療の効果もなかったためか、主人公の患者?を通してこうまで悪しざまに当時の医者と医学をも嘲笑しまくるような作品に仕上げるとは、モリエールも相当、人が悪いと思います。(笑)(ちなみにこの第4回公演直後に喀血してそのまま亡くなったとのことです・・・。)
    劇自体もこうしたブラックなユーモアに合わせるようにアップテンポでリズミカルなセリフと展開で、楽しさ満載の笑劇だったといえるでしょう。現代にいたるまでなおも上演され続けられている作品とのことで、これは是非とも舞台で鑑賞したいものです。頑固で間抜けな主人公の親父アルガンの配役もそれ相応の役者さんが必要ですが、何と言ってもキーマンのコミカルで機知に富んだ女中トワネットの配役は難しそうですね。

  • 医者嫌いのモリエールが。痛烈に皮肉りまくった1冊。
    ヤブ医者にその間抜けで頓珍漢な息子、有能な女中に笑ってしまう。
    アルガンはもしかしたら精神病か、異常な神経質といった様子が見られる。
    嘗て、アルガンの役をモリエール自身が舞台で演じたみたいだけど、著者を痛烈に罵倒したシーンにて、モリエールがモリエールを貶すというカオスなシーンが何処かで残っていたら見てみたいものだ。

  • アルガンは自分は重い病気だと信じ込んで医者や薬剤師の言いなりになっていた。若い後妻は彼の死ぬのを待ち構えていて、邪魔な娘達を尼寺へ送り込もうと企んでいる。

    医者と親戚になれば何かと便利だと、長女を医者と結婚させようとする。しかし長女には相思相愛の相手がいる。
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    現実世界にも自分が病気だと思いたがる人って時折いらっしゃいますね。一つにはかわいそぶりっ子、もう一つは医者とか病院といった存在が好きで、そこに係わっていたがる人。いずれにしても誰かに親切にされたり世話を焼いてもらう事に小さな喜びを得ているのでしょう。この主人公も正にそんなオジサン。

    この戯曲に登場するトワネットという女中が凄くいい味を出しています。言いたい事をズケズケ言うのに不思議と嫌われずクビにならない。場合によりけりで心にもない事を言う。でも不思議と主からも夫人からも娘からも何かと頼りにされている。彼女の存在が、この喜劇をより面白くしている。舞台で演じるなら、是非どんぐりさんにやってほしい。

  • 自分を重病だと思い込んでいる男をめぐる、医学批判がテーマの笑劇。作者も病身で本作の舞台公演後、喀血死したらしい。芸人魂…!劇中の台詞で「モリエールはどうかしてる」とか言わせちゃうのもツボです。

  • モリエールに関しては「とにかく面白い!」これに尽きる。

  • 読んだのは、病院の待合室。娘を連れて行った夜間の救急センターにて。不謹慎かとは思ったんだけどね。初めてのモリエールだったんだけど、フランス喜劇ってこんなん?と目が点。吉本的なドタバタにすっかりハマった。
    痛烈な医者批判もスゴイけど、著者本人がこの舞台上演中に病で倒れ、そのまま亡くなったというエピソードに心底驚いた。

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