カシタンカ・ねむい 他七篇 (岩波文庫 赤 623-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003262351

作品紹介・あらすじ

日本におけるチェーホフを考えるとき、神西清(1903‐1957)を抜きにしては語れない。短篇の名手の逸品を翻訳の名手がてがけた9篇、これに訳者のチェーホフ論2篇を加えた"神西清のチェーホフ"とも言うべきアンソロジー。表題作の他に、「嫁入り支度」「かき」「少年たち」「アリアドナ」等を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 短篇は、『嫁入り支度』『かき』『小波瀾』『富籤』『少年たち』『カシタンカ』『ねむい』『大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ』『アリアドナ』を収録。あと、翻訳した神西清の『チェーホフの短篇に就いて』『チェーホフ序説』など。

    以下、印象的な短篇。『かき』と『アリアドナ』が特に良かったです。

    『かき』は、なかなか働く口が見つからず、ついに物乞いをしなければならなくなった親子の物語。貧しさゆえか、はたまた幼いゆえか『かき』を知らない子供の行動と、それを見ていた親の対比が面白かった。

    『小波瀾』は、まだ大人の事情がわからない子供が、あまりにも正直に話してしまったがために家庭内に起こしてしまう顛末が、あるあるすぎて皆んな気の毒に思いました。

    『カシタンカ』は、犬の名前。主人とはぐれて腹が減っていたところ、助けてくれた人のところで芸をしこまれ…最後は、犬ならこういう行動に出るかもしれない。と、思わせるところがチェーホフらしい。

    『ねむい』は、怖い。

    『大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ』は、打算から歳の離れた大佐と結婚し、元カレを悔しがらせようとした女性の末路について。こういうことって、案外多いのではと思います。

    『アリアドナ』は、女性の名前。田舎出の贅沢に憧れる女性に振り回される男が、女性不審になるまでの回想を自虐的に独白しています。こういう女性とは、お近づきにならないことですね。

  • 訳者のチェーホフ序説がよい。

  • 暗くて救いのない話が多かったが、どれも私好みでよかった。

    特に好きなのは、『嫁入り支度』と『ねむい』。
    短いながらも救われなさがすごくよく描かれていた。

    『富籤』も好き。こういう些細なことから相手がどうにも許せなくなることってあると思う。

    最後の100ページくらいは解説のようなもの。
    これは斜め読みしてしまったけど、チェーホフが唯物論者で冷たくてドストエフスキーに興味がなかったというのははじめて知った。

  • 新訳とか最近よく訊くけど、この本を訳された神西さんなんて1957没と表紙に書いてある。この場合せんせえ、どういうことになるのでしょうか! こないだと感触一緒なんだよね。隅から隅まで理解したとは思えないが、読みやすい、やさしい、あたたかい、哀しさ、ペーソス(え?)それが丁度よく20%ずつ配合。 しかし岩波文庫の表紙って、テプラで作ったみたいに見えない? でも自分にはちょっとこの人毒が足りないな。危険な男に破滅させられたいの。

  • 仕事の関係でアリアドナを読んだ。辛い。ロシア文学だめだ。

  • チェーホフ得意の辛口恋愛ものもあるが、子供や子犬が主人公の作品もあるバラエティ・セレクション。中でも短めの一遍「ねむい」は最高傑作と思う。虐待される小間使いが無意識に主人達に復讐するが、憎めない話。

  • 神西清の解説がよい。

  • 嫁入り支度:「剥げちょろけ」、「へどもど」は当時の訳者の流行訳か?役者が違えば芝居が違うように、訳者も訳にオリジナリティが欲しいところ。
    富籤:番号は近いけれども、当選してない宝くじだけで、よく、こんなイガミあえるものだ。(笑)。
    大ヴォロージャと小ヴォロージャ: 実際、彼の方が、年軽い青年より何倍も快活で、私より、ずっと精力旺盛であり、生き生きと元気がある以上、この人を愛しても何も問題はないではないか!!

  • ロシア文学らしい皮肉と救いの無さ。

  • 短編の名手、チェーホフの短篇集+訳者によるチェーホフ論2編。
    正直言って、退屈だった。雰囲気とかを楽しむタイプなのだろうが、何の感慨も抱かなかった。

    一編一編感想を書きたいところだが、読んだそばから忘れてしまったものが殆どなので、多少印象に残った2編だけ。

    「カシタンカ」
    動物が直感的に死の意味を理解したシーンは良かった。

    「アリアドナ」
    頭でっかちで理想主義的な主人公のエピソード。
    われわれロシア人が寄ると、ただ女の事とそれから高尚な議論しかしないのは、どういう訳でしょう。
    という冒頭のエピソードを地で行く、個人的な印象では実にロシア文学らしい話。
    もしかしたら、典型的なロシア文学のパロディなのかもしれないと思いながら読んだが、どうなんでしょう。


    本編に興味が持てなかったので、解説も斜め読みしてしまいました。
    すまぬ。

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著者プロフィール

一八六〇年、ロシア生まれ。モスクワ大学医学部を卒業し医師となる。一九〇四年、療養中のドイツで死去するまで、四四年の短い生涯に、数多くの名作を残す。若い頃、ユーモア短篇「ユモレスカ」を多く手がけた。代表作に、戯曲『かもめ』、『三人姉妹』、『ワーニャ伯父さん』、『桜の園』、小説『退屈な話』『六号病棟』『かわいい女』『犬を連れた奥さん』、ノンフィクション『サハリン島』など。

「2022年 『狩場の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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