アフリカ・レポート: 壊れる国、生きる人々 (岩波新書 新赤版 1146)
- 岩波書店 (2008年8月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004311461
作品紹介・あらすじ
豊かなジンバブエの農業を一〇年で壊滅させ、アパルトへイトを克服した南ア共和国を犯罪の多発に悩む国にしたのは誰か。中国の進出、逆に国を脱出するアフリカ人の増加などの新しい動きを追い、同時に、腐敗した権力には頼らず自立の道を求めて健闘する人々の姿も伝える。三〇年近いアフリカ取材経験に基づく、人間をみつめた報告。
感想・レビュー・書評
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30年以上の取材の成果がまとまっています。2018年、南アフリカに行った後に本書を読んだのですが、現地で見てきたことと本書の内容が見事に一致していました。南部アフリカの概要や真実を知りたい人におすすめです。
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アフリカの国々が今ある状況を認識できるようになる本。適切な統治、開発を行って飢餓や旱魃の問題を解決するケース、腐敗した政府による独裁により国民が苦しみに喘いでいるケースなどが紹介される。地獄がなぜ地獄になるのか、その実態が少しわかるようになる。
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アフリカから、なぜ飢餓がなくならないのか?先進国が搾取し続けているからだとおもっていたが、それだけでもないらしい。1960年から、国家は独立国したが、政府や指導者が自分の富を増やすことしか考えなくなった。
商品の流通するノウハウや資源を掘るノウハウが無ければ、ワイロを沢山くれる、中国人に委託して、国民の不満が高まれば、仮想の敵をでっち上げて怒りの矛先を変える。
農業は、私腹の足しにならないから、ちからをいれない。先進国のODAは、高官のふところにしかはいらない。資源の儲けも同様。権利で、マスコミを操作して、危険な人は排除する。
アフリカの未来に絶望したが、農業NGOや生ガキ点など、人々の自立へ、アフリカに、新しいダイナミズムが生まれる機運もある。
市民の力が国を変える。アフリカよ、もっと幸せであれ。
I pray for Africa. -
アフリカの現状における国家への絶望と人々への希望を読み解ける新書。朝日新聞の連載の後、本になった『カラシニコフ』の著者が朝日新聞退社後にまとめた新書。『カラシニコフ』も非常に中身の濃い本だが(但し、一部、少年兵へのインタビューにおける誘導的質問と回答に対する解釈には疑問符もつけたいが、それでも本書の評価は下がらない)、この新書も非常に読み応えがある。
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恩師に薦められ、読み出した。
衝撃的だが、事実。
松本仁一の本をもっと読みたいと思わせてくれる
そんなレポートだった -
指導者が敵を作り出すことによって自分への不満をすりかえるのがアフリカの指導者の常とう手段。
権力者は国の将来のことなんて考えていない。
治安と農業が国家建設には欠かせない重要な要素だが、これらは政治家にとっては利権になりにくい分野だから政治家も力を入れない。
アンゴラでもたくさんの中国人労働者がいる。
中国政府が石油目的でアンゴラに進出している。
スーダンでも大量の中国人がいる。 -
アフリカの辛い現実がこれでもかと語られた後に、希望として取り上げられているのが、民間の取り組み。国家とは何だろうと考えずにはいられなかった。
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政府じゃなくて人に
目を向ける支援
日本政府は足元を
みられる甘いスポンサーに
なりつつある。
努力することが報われる
労働条件や社会貢献の形と
システムを徹底的に
民間レベルで実現することが
発展のカギだと思った。 -
世界にはまだまだ知らないことがたくさんある。
多民族国家で部族中心の思考を持っている政治家のいる国はどこも大変です。