古典力 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313892

作品紹介・あらすじ

齋藤流「古典のすすめ」。ヤマ場を臨場感たっぷりに感じる「クライマックス読み」、映画やドラマなどから源流を辿る「さかのぼり読み」、読破にこだわらない「パラパラ断片読み」など、これまでにない、古典への近道を伝授。『論語』『罪と罰』から『夜と霧』『百年の孤独』まで、齋藤版古典五〇選(さらにおまけの五〇選つき)も詳しく紹介。

感想・レビュー・書評

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  • なんとしても、引用したい文を見つけようと思って読むと読む際の積極性が格段に高まる
    論理と言うより感覚で選ぶ方が、自分自身にとっても気づきのある感想文となりやすい。なぜこのバラバラに見える。3つの文を自分は選んだのだろうかと自分の内側を探っていくと感想は深まる。
    引用なくして読書なし 引用力なくして、古典力なし
    古典は孤立した峰ではない影響力があるからこそ、古典とされる。古典は川の源泉だ。支流から遡れば、古典に行き着く、古典に行き着くルートはあちらこちらにある。

    神は細部に宿る
    まずは断片断片を身につまされる形で知るそこから始めるべきであります
    自分で考えて行くために本を読むと言う場合、少なくともさしあたって断片が直接自分にどう突き刺さってくるかが問題であります
    全体の筋に気を取られるよりもその中のどれか一句でもいいからとにかく自分と出会うというか自分に突き刺さってくる章句をまずは自分で発見すること。これが一番肝要です。つまり個々の断片を全体につなぐ前に、むしろ全体からある断片を取り出して、その断片を自分につなぐ。
    気づきは、なんとなく生まれるものではなく、惹きつける課題意識が反復によって心の習慣となり生まれるものだ。まずはとにかく1つでも自分の経験と結びつけると言う強い思いを持って古典を開く。

    古典の文脈を客観的に把握しつつ、自分の経験や主観を絡める、このバランス感覚が古典の読みでは必要であり、また、古典によってこのバランス感覚が鍛えられる

    近代的なロマンティックなものは、主観的方法によって作られ、古代的なクラシックなものは、客観的手法によって作られると言う考え方がゲーテにはある


    形だけの謙虚さは自己保身であることが多い。本当に偉大な物を知るものこそ、本当の意味での謙虚さを身に付けることができる。表面上、謙虚なものの、言い方をするかどうかは問題ではない。古典力は、神の謙虚さを教え、その分同時代人に対する恐れや引け目を減らし、意欲の持続を助ける、また、自らの独創的才能の涸渇に怯えることもなくなる。
    古典の良さは、偉大な精神の空気をそこから吸い込むことにある。その新たな息吹きでなす事は、古典の模倣とは限らない。自己を限定する技術は、懐の深い古典との出会いを通して磨かれる古典を鏡として自分には何ができるのだろうかと自問することで、自分の道が見えてくる。
    自己発見のプロセスが、古典力の醍醐味である。

  • 「齋藤流「古典のすすめ」。ヤマ場を臨場感たっぷりに感じる「クライマックス読み」、映画やドラマなどから源流を辿る「さかのぼり読み」、読破にこだわらない「パラパラ断片読み」など、これまでにない、古典への近道を伝授。『論語』『罪と罰』から『夜と霧』『百年の孤独』まで、齋藤版古典五〇選(さらにおまけの五〇選つき)も詳しく紹介。」

    目次
    第1章 古典力を身につける―今、なぜ古典力が必要なのか
    古典を読むための十カ条(一通りの知識を事前に得る;引用力を磨く;さかのぼり読み―古典の影響を読み取る ほか)
    第2章 活きた古典力―四人の先人のワザ(実践を支える古典力―渋沢栄一の論語の活かし方;孔子に学ぶ古典力―古典がつなぐ仲間意識;ゲーテに学ぶ古典力―偉大なものを体験する ほか)
    第3章 マイ古典にしたい名著五〇選(作品世界にどっぷり浸かる;たった一冊の本が、時代を、社会を変えた;古代の世界は骨太! ほか)

    著者等紹介
    齋藤孝[サイトウタカシ]
    1960年静岡県生まれ。1985年東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門、教育学、身体論、コミュニケーション論

  • 古典読みたくなった

  • 「学術書を読む』に引用されていたので読んでみた。久しぶりの齋藤孝先生の本ということで楽しく読んだ。
    「マイ個展」という考え方は新鮮で面白かった。でも、終始「古典礼賛」の空気がずっと強くて、古典に触れたことない人がこれを読んで「古典」を読みたくなるのかと疑問に思った。どれも基本的には難解で長い本だから、それと対話するという選択は結構ハードル高いよなあとどうしても思ってしまう。一冊でも読めば、齋藤先生がどうしてこんなに古典作品を薦めるのかわかるだろう。ただ、古典と向き合ったことない人にとっては、良いきっかけになり得るのかなあとも。

  • p.2018/05/11
    ?.2017/8/27

  •  本書は、これからいわゆる「古典」を読みたい人の足掛かりとなる一冊です。
     
     古典力とは、「名著を自分の古典として日々の生活や思考に活かす力」である。
    著者は本書において、上記のように古典力を位置づけ、「古典」とは何か、そしてなぜ「古典」に目を通しておいた方が良いのかを概説しています。

     著者は古典を読むことの意義のひとつとして、本を読みくだく「読むアゴ」を鍛えることを挙げています。なぜなら、「読むアゴ」を鍛えることによって、少々の難解さや退屈に耐えることができるようになるからです。

     これから目にする本は、自身にとって読みやすい本よりも、難しい本を目にする機会の方が多いと思います。近年は教養ブームのようなものによって、「古典」を平易な文章で解説してくれている本が数多く出回っています。しかし、それらは内容の理解には役に立つかもしれませんが、「古典」を味わうことにはつながり辛いです。

     大学生の特権のひとつは、無謀なことに全力でチャレンジできることです。そもそも活字に親しんでいない人にとっては、「古典」に目を通すことはハードルが高いことかもしれません。しかし本格的に働くようになると、腰を据えて多くの「古典」に親しむ時間を確保することは難しくなってくると思われます。

     せっかくの大学生活なので、この機会に本書を手に取り、古典を嗜む方法を身につけてみませんか?


    本書の目次は、以下の通りです。

    はじめに:古典力のすすめ
    第1章 古典力を身につける:今、なぜ古典力が必要なのか
    第2章 活きた古典力:4人の先人のワザ
    第3章 マイ古典にしたい名著50選
    あとがき

    -----
    齋藤孝『古典力』(岩波新書、2012年)
    所在:中央館2F 請求記号:081//I95//NR1389
    https://opac.lib.niigata-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB10468338?hit=4&caller=xc-search

  • 教養とはこういうことだ。斉藤先生の言葉は本当に強くて優しい。

  • 『学術書を読む』(鈴木哲也/著、京都大学学術出版会)で紹介されていて、読んでみようと思っていた本。

    これからの世界を生きていくためには、精神のバランスが必要。
    時を超えて読み継がれてきた古典を読むことで、その足場を形成することができる。
    自分にとっての古典、すなわち「マイ古典」を増やしながら、骨太な思考力を、知性を育もう、という齋藤先生からの提案です。

    第1章では古典を読むためのコツ、第2章では渋沢栄一やゲーテなどの、古典を読み、実際に活用した先人のワザを紹介しています。
    ここまでで本書の3分の1ぐらい。
    残りの3分の2は第3章の名著50選+おまけのプラス50選に割かれていて、マイ古典を探すためのガイドになっています。
    なお、日本近代文学はあまりに名作が多いため選定外とのこと。

    齋藤先生の本も、読むたびに読書したい欲が高まります。
    いつか読もう、ではなかなか読まない性質なので、意識的に古典を読んでいかねばな、と思いながら読了。

  • 古典力とは、名著を自分の古典として日々の生活や思考に生かす力のことである。人生のある時期に集中的に古典に触れておくことは、生涯にわたる財産となる。

  • 古典を読みます

  • 「読書力」に引き続き読んでみた。齋藤孝の熱が強い

  • 古典を読みたいけれど、何から読んだら良いのか分からなくて読みました。おすすめ50選を参考にして読み始めたい。古典を読むための十カ条で心構えもできた。引用力を磨くこと、古典の文言を持ち出して思考を硬直化させないよう自分の現実とすり合わせて古典を読む習慣をつけるところが特に響きました。

  • 古典をなぜ、どう読むか。

    作者はこういう。古典とは「時代を超えて『肉声』」であり、 「この圧倒的なエネルギーを浴び、心身の奥にそのエネルギーを落積することが古典を読む大切な意義だ」。「強引にでも経験に引きつけ古典との距離を踏み越え」、「我田引水」のように古典と付き合うのは大切だという。

    相変わらず、わかりやすくて情熱的な文章。さすが斎藤孝先生。

  • 古典読みたくなったし、古典以外でも引用に線を引くのは応用できそう

  • 様々な古典の味わい方があることが学び。マイ古典をどんどん増やしていきたい

  • 著者選書古典50冊が魅力的

  • この著者の本は数冊読んだが、どの本にもデカルトの『方法序説』、宮本武蔵、『カラマーゾフの兄弟』等々が必ず登場する。きっと本書『古典力』で紹介されている50冊は斉藤孝さんにとってのマイ古典なんだろうな、と思った。
    図書館や書店に並ぶ数えきれないほどの岩波文庫の中からマイ古典を見つけだしたい。その際は、「つかり読み」、「さかのぼり読み」等の様々な読み方に挑戦したい。

  • 古典の魅力を存分に説明してます。
    気軽に触れることから始めるのが良いです。

  • 古典の作品を読むというのはハードルが高かったが、自力で初めから全て読むのではなく、あらすじを知っておいてから読むというのも、1つの読み方であると気づいた。
    後半は、作品の紹介があり、色んな古典作品を読んでみたいというモチベーションになった。

  • 古典の魅力、古典の読み方を解説し、おすすめ古典50選、さらにおまけの50選をガイド付きで紹介してます。

    文学・小説の古典も読みたくなりました。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

齋藤孝の作品

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