人は愛するに足り,真心は信ずるに足る: アフガンとの約束 (岩波現代文庫 社会 328)
- 岩波書店 (2021年9月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006033286
感想・レビュー・書評
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中村医師へのインタビューの記録だが、澤地久枝がその素顔に肉薄していて夢中になって読んだ。中村氏が医師から何故水路工事に転身したかだけでなく、硬く口を閉ざしていた家族のこと、自分の出自や思想形成のこと、果ては体重まで聞かれて、医師も「これほどのことは警察の調書でもないだろう」と苦笑するほどだ。ドキュメンタリー作家の底力を感じると共に、本当に惜しい方を無くした、この痛みは時間が経っても癒えることことはない、だからこそ平和に向かって少しずつ歩み続けなければならないと思わされた。
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2023年3月読了。
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アフガニスタンやイスラム、タリバンというものをニュース以外の視点から知れる本。
アフガニスタンという地理的にも世情的にも日本から遠く離れた国、その国で暮らす人々について、その一端を中村哲医師の視点を通して知れたのがよかった。
凶弾によって亡くなられたことが残念でならない。 -
僕は中村哲さんを極めて尊敬している。彼の成したこと、成そうとしたこと、成し得なかったこと。その全てに、私たちが体得すべきものがある。
本書は、哲さんの実際の活動というより彼の個人史、どういう人間なのかというのがよくわかる稀有な書籍だ。そしてご自身おっしゃるように案外保守的で、必ずしも自分と考え方が近い方ではないと気がついた。
そのギャップに少し面食い、しばらく感想が書けなかったが、そのギャップこそ面白いし大事だと今は思う。 -
いくつか心に残る中村哲さんの言葉もあったが、ノンフィクション作家である聞き手(著者)が喋りすぎている。
特に、タイトルになっている「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」という信念が、中村哲さんの発言として書かれていないことには驚いた。
現場を見ることができない著者が、中村哲さんの著作を読み込んで取材に当たったのはわかるが、私は中村哲さんの自著の方が好きだと思った。 -
地元で色々とゆかりもあり、一度本を手に取ってみたかった。
中村哲先生の揺らがぬ信念が貫かれている。アフガニスタンという戦争、紛争下の過酷な環境では、人を、命を救うことは医療では事足りず、命と作物をつなぐ水が必要であること、それを導くため灌漑工事を自ら実践し続けてこられたことに深い敬意を覚える。凄まじい実行力、継続力。にもかかわらず、言葉は常に淡々。飾り気もない。多数の講演や書籍、メディアでの言葉のチカラも大きいが、灌漑施設、用水路、畑、作物、戻ってきた人々、その実現されてきたチカラにただただ尊敬の念しか浮かばない。
またアフガニスタンの現実の人々から見た日本を含む先進国の振る舞いにも考えさせられる。救済のつもりの軍事行動、貢献活動が、自らの国の視点のみのエゴとなっていないか。多角的な視点、それぞれの国の歴史を紐解くことを学び、実践していくことが大切だろう。 -
素晴らしい人なのだと思うけれど、澤地さんのインタビューがおもしろくないのか、編集がおもしろくないのか、全体としておもしろくなかった。すみません。でも素晴らしい人だと思う。
○ともかく3度のご飯が食べられること。それと、家族が仲良く故郷で一緒に生活できること。この二つをかなえてやれば、いろんな問題のほとんどは解決する、、
○死と愛、ヴィクトール フランクル -
東2法経図・6F開架:B1/8-2/328/K