メタボラ(上) (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.55
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本棚登録 : 552
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645548

感想・レビュー・書評

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  • グロテスクの桐野 夏生さんの作品なので買ってみた。
    背表紙の紹介文を読んで面白そうだったので。


    作品の紹介
    記憶を失った“僕”は、沖縄の密林で職業訓練所から脱走してきた昭光と出会う。二人はギンジとジェイクに名を替え、新たに生き直す旅に出た。だが、「ココニイテハイケナイ」という過去からの声が、ギンジの人格を揺るがし始める―。社会から零れ落ちていく若者のリアルを描く傑作長編。

  • 面白かった

  • 久々の桐野夏生です。
    この人の作品も大好きで、購入出来るのは全て購入しております(古本屋だけど)。
    『顔に降りかかる雨』から読み始めて、かれこれ何冊になるんだろうかな?ってところです。
    最近益々アブラがのって、凄いなぁ、なのです。

    で、今回の『メタボラ』。
    これは職にあぶれた若者を描いた作品、って言っていいかな?
    記憶をなくした『僕』が森を抜ける導入部から、かなりハイテンションで話は始まります。
    そこで出会う女性、その女性のルームメイト、無一文からのサバイバル、と話は進んでいき、森で出会ったイケメン君の話と並行して話は進んでいきます。

    桐野ワールドにしてはややソフトかな?とも思ったのですが、やはり桐野さん。
    後半の『僕』の回想は、かなりドロドロになってきております。
    それでも最近の桐野さんの作品に比べれば、まだまだソフトな印象です。

    解説ではニートがどうのこうの言っておりましたが、個人的には本来そんなモンはない、自分を求めてもがいている人間を描きたいんだろうなぁと思っております。

    ここでも記憶という自分の根幹をなくした『僕』が、いつの間にか当座つけられた名前イコール人格(?)に馴染んできてしまい、記憶を失う前の人格よりも親しみをもってしまうとか、ある役割を振り当てられた人間が、その役割に振り回されて、本来の自分を失ってしまうとか、そんな話の流れになっております。

    その時々で非常に良いキャラの人物も出てきておりますが、桐野さんは、そういう良いキャラを惜しげもなく捨てていくところも、らしいなぁと思ってしまうのでした。

    足掻いて、足掻いて、それでも泥沼から抜け出せない。
    それなのに、なぜかそれを楽しんでいるようにも見える乾いた絶望。

    そこが桐野ワールドの魅力だと思います。

  • 2010-09-09
    面白い。これからどう動くのか楽しみ。

  • ★3.5くらい。

    詳細は下巻で。

  • 新聞に掲載されてた頃からちょこっと読んでたんですが、ちゃんと思って本買いました。

    初桐野さん小説。

    「どうしようもない」って状況で、皆強いなあと思う。

  • タイトルの「メタボラ」ってどういう意味なんだろう?と思いながら読みました。似たような言葉で「ボラバイト=ボランティア+バイト」というのは出てくるのですが、「メタボラ」は本文中には出てきません。解説に「新陳代謝(メタボリズム)」から取られているとありましたが、ちょっと分かりにくいですね。
    ネット自殺、家族離散、雇用難民、偽装請負などなど、悲惨なことばかりが続けざまに出てくるので読んでいて落ち込みます。ラストも救いはありません。でも昭光の喋る宮古弁の、音読したくなるようなリズム感が病みつきになりました。
    新聞連載していたときも読んでいたのですが、細切れで読むと分かりにくいお話のようで、今回まとめて読んでみて、やっとすっきりしました。

  • 下巻にて

  • 下巻にて。

  •  下流の若者たちのサバイバル人生ゲーム。記憶喪失の主人公がまったく状況を理解できないままに森の中を逃げているスリリングな冒頭からずっと緊張しっぱなしなので、愉快でも痛快でもない結構しんどい話なのに読みだしたら止まらない勢いがある。
     桐野夏生は社会悪にも、それに翻弄される人々の弱さや抜け目なさやずるさにも容赦がなく、厳しい。特にゲストハウス「安楽ハウス」とそのオーナーの釜田、釜田の恋人の香織など一見いかにも善良な見える人たちの何とも言えないいやらしさがすごくリアル。

     ギンジとジェイクが一度別れてからすれ違いの連続でなかなか再会できず、やきもきしました(笑)

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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