- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041086315
感想・レビュー・書評
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なかなかの力作です。
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佐藤亜紀「黄金列車」 https://kadokawa.co.jp/product/321905000410/ 読んだ。おもしろかった!史実(都市伝説とも)が基だけどファンタジー色ある。官僚主義とget thing doneのせめぎ合いは若干コメディも含んでるし、描写は相変わらず映像的で美しい。ところでちょっと文体変わった?すごく読みやすかった(おわり
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★3.5
とにかく登場人物が多く、誰も彼もが胡散臭くて信じ難い。それでも、バログを始め、彼に近しい人たちが、信念を持って仕事をしていたことは分かる。例え、彼らの守るものが、ユダヤ人から没収した財宝だったとしても。そして、混沌とした善悪が定かでない中、文官の交渉術だけで苦難を乗り切る様が痛快。現代の役所で言われたら鬱陶しいだろうことが、彼らにとっては最大の武器になる。と同時に、回想となるバログの友人・ヴァイスラー夫妻の境遇が、ただただ辛い。勿論、バログの妻・カタリンも。“黄金列車”について、もっと知りたい。 -
世界史、知らない事が多過ぎると思った。誰が味方か、敵か、金目の荷物を前に、自己の仕事を全うする者、荷物を私物化して美味い汁を吸う者。迫るのは敵だけではないと言う怖さをひしひしと感じた。
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3.8。前半遅々として読み進められなかったが、後半慣れもあり加速し面白く読み終える。何だかんだあるが、まだこういう小説が出版されるあたり、まだ日本の出版社も読み手も捨てたもんじゃない。
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最初は読みにくいし微妙かなとも思ったのですが、主人公バログの過去の回想描写とユダヤ人に迫る状況描写が出てくるようになってから俄然おもしろくなってページを捲る手を止められなくなりました。
第二次世界大戦末期、ハンガリーにユダヤ資産管理委員会というものがあったことも資産を列車に積んで運び出して守ろうとしたことも知りませんでした。
色々な立場の色々な人物が登場するのでごちゃごちゃした印象ですが、そのごちゃごちゃ感が時代の混乱を表現していてハラハラドキドキしながら読めました。
多くの部分に繋がりや示唆があり、深く胸に刺さって読後感は哀しく切ないです。バログの親友のヴァイスラーとその家族がこの本の肝だと思います。それがなかったら読めなかったかも知れません。
帯に書かれている深緑野分氏の言葉は間違いなく、その通りの作品でした。私も全く同じ感想です。
『ここに人間がいる。愚かさ、計算高さ、ふてぶてしさ、声にならない哀切。傑作とはこういうことを言うんだ。』 -
第二次大戦末,ハンガリーのユダヤ人から押収した財宝を載せて列車が走る.軍人でもない役人が口八丁手八丁で,我が物にしようとする有象無象から列車を走らせるその駆け引きが描かれている.主人公であるしがない役人バログの楽しかったユダヤ人の友との交流とその哀しい顛末が並行して語られ,暗い雰囲気がますます暗いものとなっている.事実を下に描かれているのでこのようなことは実際にあったことなのだと思うと本当になんとも言えない気持ちになった.
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国家公務員が列車に積んだ国有財産(いわくあり)を守る。という話でいいのかな。
袖の下に対して領収書を要求する律儀さ。
官吏たちは家族同伴でこの列車に乗るわけで、現実離れしているというか、日本の戦時下とは違って余裕がある。
最後の方に出てくる武装親衛隊の残党はこの後イッタ―城の戦いを起こすのか。 -
役人が紙で戦う話。
役人といえば、形式的だの責任逃れだのと現在評判が悪いけど、ちょっと前まで役人は、知識人で立派な人も多かった。確かに小役人との蔑称もでるような人もいたけど。
これは目立たないけど、立派に仕事を貫徹し、尚且つ財宝や家族を守り抜くことをした男たちの話。
私は金融機関の管理部門に長年勤務しているせいか、この主人公の行動が、抜群に面白かった。官庁の検査って、ある種戦いだったりするんだけど、わかんないだろうなあ。
領収書や議事録という、たぶんこの職業でないとなんでこんなもんに拘るかわからない書類で武装する。力とか武器は必要しない、法律や対話、ネゴシエーションでななんとか解決する。対応が硬直的でない、柔軟にいろんなものを活用して生き抜いていく。
とりあえず主人公が素晴らしい。一見さえないおっさんなんだろうけど。