オー・ヘンリー傑作集2 最後のひと葉 (角川文庫)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092408

作品紹介・あらすじ

ニューヨークの下町で、夢を追いながら共同生活を送る若い画家のスーとジョンジー。だが、秋の終わり、ジョンジーが重い感染症にかかり、窓の外のツタを見つめながら「あの最後の葉が落ちるとき、わたしも死ぬ」と言いだす。それを聞いた初老の貧乏画家は……(「最後のひと葉」)。
このほか、「二十年後」「犠牲打」「運命の衝撃」など、ニューヨークの片隅で懸命に生きる人々の姿を描いた作品や、「救われた改心」「水車のある教会」「都市通信」など、アメリカ南部の情緒と風情を盛り込んだ作品など、味わいあふれる名作12話を収録。
既刊の『オー・ヘンリー傑作集1 賢者の贈り物』の16編とあわせて、文庫では最多のオー・ヘンリー短編28作を収録し、ファン必携の決定版となっている。
カバー絵は、オー・ヘンリーと同じく、晩年の10年足らずで数多くの傑作を残し壮絶な人生を駆け抜けた、ゴッホの名作「ひまわり」。

感想・レビュー・書評

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  • 安定した面白さ。と言うか、面白い作品を集めているようなので、当然かも。

    収録作は、
    最後のひと葉
    二十年後
    救われた改心
    魔女のパン
    水車のある教会
    運命の衝撃
    ラッパの響き
    ジェフ・ピーターズの人間磁気
    運命の道
    都市通信
    赤い酋長の身代金

    最初の「最後のひと葉」は、よく知られた作品。秋の終わり、ジョンジーが重い肺炎にかかり、窓の外のツタの葉が落ちていくのを見ながら、「最後の一枚が落ちるとき、わたしも死ぬ」と言いだすが、嵐になっても最後の1枚は残り、ジョンジーは回復する。一方、同じ建物の1階に住む、画家のベアマンが嵐の翌日から肺炎に罹り亡くなると言う、心を震わせる作品。

    最後の「赤い酋長の身代金」は、身代金を取ろうと子どもを誘拐するが、トンでもなく悪餓鬼で、ほとほと困り果て、お金を支払ってまでして返すと言う笑い話。この物語での会話や形容の仕方は、芥川龍之介のコミカルな話にも繋がるように感じた。

    その他、親切心がお節介となり、相手を激怒させてしまう「魔女のパン」、読者も騙されるオチの「ジェフ・ピーターズの人間磁気」は、特に面白い作品ではないか。

  • オーヘンリーの装丁に、ゴッホの向日葵とは。
    組み合わせが天才すぎる。
    新装版で中学生も手に取りやすくなりました。

  • 「最後の葉が落ちるとき、わたしも死ぬ」の場面で有名な表題作をはじめ、ユーモアあふれる作品からバカミス、最後にひっくり返る掌編から童話調のものまで12編を収録。→

    オー・ヘンリーといえば表題作が有名なので文学的な作品が多いのかな、と思っていたら、めちゃくちゃミステリが多くてホクホク。
    ニヤニヤしながら読めちゃう「ジェフ・ピーターズの人間磁気」や「赤い酋長の身代金」
    ラストに衝撃のある「二十年後」や「犠牲打」
    やさしい「水車のある教会」も良いし

    読後にゾクリとしちゃう「魔女のパン」や「運命の道」も素晴らしい。
    いろんな種類のお話が詰め込まれていてとても楽しかった!

    各話の冒頭に簡単なあらすじみたいなものがあるのがまたいいなぁ。
    傑作集1も探して買いたい。


    以下はリアルタイムツイート

    雨月物語に挫折して(まだ私には早かった……)オー・ヘンリーの短編集を読み始めたんだけど……。

    めちゃくちゃおもしろいな、オー・ヘンリー。
    ミステリ版のショート・ショートだわこれ。

    ゴッホの表紙に惹かれて買ったんだけど、これは傑作集1も欲しい!!
    #今読んでいる本

    12編中前半6編まで読み終わる。
    メジャーな「最後のひと葉」や「魔女のパン」に
    “これがあのオチ……!”
    となったり
    「二十年後」や「犠牲打」に
    “うわぁ!そういうことねー!”
    となったり、楽しい。

    そして、「水車のある教会」にしみじみ。これはすごく沁みるお話だなぁ。良き。

    ぞくっとする悲しみや怖さのあるお話の合間に、心が満たされるようなお話がある。

    これは、良い。とても良い。

    「ジェフ・ピーターズの人間磁気」を読んでるんだけど、125ページの不意打ちに笑う。なんだこれ!?ギャグ?最高やん!!

    そういう話か!
    楽しい☆(≧∀≦*)ノ楽しいなぁもう!!

    ニヤニヤできるお話、大好物( *´艸`)

  • 傑作選1に続き、こちらも珠玉の選定であった。

    表題の「最後のひと葉」はやはり素晴らしく、たった10頁足らずでここまで世界を広げ、意表をつき、感涙させるのは妙技である。

    そのほか「二十年後」、「魔女のパン」などのユーモアの効いたオチは最高。

    中でも「救われた改心」は、ヘンリー作品の中で随一と思っている。
    逆シンデレラストーリーのような話自体は、そこまで真新しいものではないが、最後数行の終い方、粋なセリフに痺れた。

    どこかでオチを知ってしまう前に先に読んだ方が良い。
    若い人にも読んでほしい作品。

  • 最後のひと葉
    不器用だが優しい心を持ったベアマンの命懸けの最高傑作。心温まる。

    二十年後
    時が経てば人も変わる。旧友を想った切ない話。

    救われた改心
    宿敵であった刑事の優しさにほっこり。

    犠牲打
    自分の人生を犠牲にしてでも作品を掲載したかったのに皮肉な話。全てが計算通りいくわけではない。

    魔女のパン
    切ない恋の話。恋にはコミュニケーションが必要。善意がお節介でありがた迷惑なこともある。

    水車のある教会
    行方不明の娘との奇跡の再会。心優しいエイブラムに相応しい結末。

    運命の衝撃
    ホームレスだった男が急に大金を手にできると思うと不安でどうしようもなくなるが、得られないことが分かると喜ぶという不思議な話。自分で稼いだお金でないとモヤモヤするのか、手に入れると失うのが怖くなるのか、今の自由な生活に満足しているのか…私には分からない。

    ラッパの響き
    目の前の殺人犯である旧友を逮捕できない葛藤。借りを返して逮捕へと導くやり口が巧妙。

    ジェフ・ピーターズの人間磁気
    人間磁気…おもしろい効果がある治療だこと。

    運命の道
    どの道を進んでもボーペルトゥイ侯爵と繋がっている…どのような死を遂げるか…。T字で元の道を戻るのが正解だったのかと思ったのに…詩人を志したところからこうなる運命だったのだ。

    都市通信
    結局、事実としては黒人ドライバーが犯人なのだろうが、その背景にはアゼリア・アデアを想う気持ちがあった。そうとも知らない街の人は黒人に対する偏見からでお金目当ての犯行だと噂する。時代背景がよくわかる。(解釈が合ってるのかは分からないが)

    赤い酋長の身代金
    逆に身代金を払うだなんて、2人は思いもしなかっただろうな。安易に誘拐して身代金を取ろうなんて考えるものではないな。自業自得だ。

  • 最後のひと葉
    絵で描かれた葉、というのは覚えていたけど、
    それを描いた人、ベアマンさんは忘れてた、そのせいで肺炎にかかり、亡くなってしまうなんて…胸が熱くなる。

    赤い酋長の身代金
    誘拐犯の2人が、誘拐した子供がやりたい放題するのにほとほと疲れ、結局はお金を払って(!)家に帰すという、何とも言えないおかしみ。ホームアローンが観たくなります。

    運命の道
    三叉路、どの道を選ぶかに寄って変わる人生
    違う人生のようで、結末は同じ所に落ちつくのが、リアルというか。折角なら夢を見させてくれても良いのに、でもそこが良いな

    全体的に、短い話の中に様々な人生があり、ひねりの効いた結末が用意されていて、とても面白く読んだ。100年も前に書かれた作品だとは驚き。第1集も楽しみ!

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著者プロフィール

オー・ヘンリー/1862年、アメリカ・ノースカロライナ州出身。銀行勤務時代に横領罪で有罪判決を受け、服役中から短編小説を書きはじめる。ショートストーリーの名手と呼ばれ、庶民の哀歓を描く作品は時代や国境を越え多くの人々に愛され続けていて、生涯272編の短編作品を残し、これまで映画化された作品も多い。

「2023年 『人生は回転木馬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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