- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041099155
作品紹介・あらすじ
「幸福は一夜おくれて来る。幸福は、-」。女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の、多感で透明な心情を綴った表題作。名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して語る「きりぎりす」、情死した夫を引き取りに行く妻を描いた「おさん」など、太宰がもっとも得意とする女性の告白体小説の手法で書かれた秀作計14篇を収録。作家の折々の心情が色濃く投影された、女の物語。
感想・レビュー・書評
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よくぞ女心のあれこれを男が書けるものだと感心してしまった。挙句、紙幣を女性に擬人化してまで題材にするとは笑ってしまう。年表を通じて太宰治の生き様を知る限り、本人の実生活そのものを相手(女性)の視点から描いたように思えるし、登場する男は全て太宰本人のような気がして来る。本能の赴くままに生き、そして自ら終止符を打った作者ならではの作品ではないか。
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どの話も、だから何?っていう、捉えどころのない話、たわいもない日常の一コマなんだけど、女性の心理描写がなんでこんなにリアルに書けるの?って思う。すごい細かい心情まで言語化されてて、太宰治の心には乙女がいるのだなぁって。そして、太宰なんじゃないのこれ?って思えたりする人物多々あり。
卑下したり、欲情したり、妬んだり、とにかくみんな悶々して爆発したりします。
皮膚と心の妻は拗らせまくってるけど、夫の優しさに包まれて、最後は自信を持ちはじめる、ほっこり作品でわりと好き。
恥、これは面白い。コントのネタかと思う。
勝手に思い込んで勘違いして、ファンレターを送りつける痛々しいファンの女。貴下には女性の読者はいないだろうから応援してあげている、という上から目線のファンレター。しかしとんだ勘違いに気がつき、頭から灰をかぶりたいほど恥ずかしい思いをするというはなし。
太宰って面白い人だなと思う。
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表現方法が巧み。初めて見るような表現ばかりだけどすっとはいってくる。あと心理描写が緻密。
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北村薫「太宰治の辞書」から、なんとしても女生徒を読みたいと思い購入。
表題作を含む短編14作は、どれも女性目線の独白小説で、太宰を読みつけない私にとっては男性作家のこの形式はとても新鮮だった。
さて、お目当ての女生徒。
この短編集の表題になるべくしてなっているな、という感想。
思春期の少女が持つ潔癖さ、傲慢さ、いじらしさ、一瞬先でさえ自分の感情をコントロールできない不条理、なんとも言えない焦燥が1日の中で目まぐるしく押し寄せる。
賢く、正しく、美しく生きたい。
自分の理想はあるのだけど、
それに近づけない、頭でっかちで、嘘つきで、まさにロココな今の自分。
疎ましく嫌だと思いながらも、
どこかナチュラルに他の人と比べて、自分の方が優れていると思う土台の上からいろいろな目の前の出来事を判断する感じ。
俯瞰する自分と、出来事にリアクションする具体の自分を統合できなくてぐちゃぐちゃになる、あの感じ。
めっちゃ出てる。
そして、それはここにおさめられている全ての作品に通底しているようにも感じた。乱暴に表現するなら、少女性…というか。
これだけ女性目線の作品ばかりなのに、母性があまり見えないな、と感じるのもそのせいなのかもしれない。
そしてこれはやはり太宰治という人の人生がそうさせているのか。
この作品集を読んだ後、Wikiで調べてみたけど、既知の事実も作品を読んだ後に改めて読むとなんとも味わい深い。
そのうちまた、いろいろ読んでみよ。 -
学生時代に私を救ってくれた一冊。
特段何も事件は起こらないけれど、鬱々としている日々。
思春期や若さという言葉ひとつで片付ける、大人や社会に対する違和感や不快感。
その気持ちを言語化してくれ、寄り添ってくれる本でした。
集団主義の教室で異端分子だった私の唯一の味方。
同じ敵を持てる仲間のような本。
しかし、大人になって再読してみると、まるでナイフで刺されたような感覚に襲われました。
学生時代、とても嫌いだった大人たちの綺麗事。
その綺麗事を言ってしまう気持ちが今では少し理解できるようになったからかもしれません。
自分が嫌いだった大人に私もなってしまった。
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太宰が書く女の人は優しくて大人しくて健気なイメージで男の人は自由気ままな感じに思ってますが
皮膚と心の旦那さんはとても優しい
可愛らしい夫婦
本人は嘆き悲しんでるけどほっこりしちゃう -
これを書いているのが成人の男性であるということが信じられないぐらい、まさに女学生の頭の中だった。
『皮膚と心』が特に好きだった。 -
太宰治の中で1番好きかも
思春期の女の子の感情がコロコロ変わっていくのが面白い
思春期で感受性が高いから大きなきっかけも無しに考えが180度変わっちゃうのとかなんとなくわかるなと思った