永遠の曠野 芙蓉千里III

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102275

感想・レビュー・書評

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  • 読 み 終 わ っ た。

    燃え尽きたように思うのは、分厚い上に2段組という長さのせいなのか、怒涛の人生の末にたどり着いた主人公のつかのまの幸福な結末、の、せいなのか。

    だけどここからさらに大変なことになるのは歴史の事実を知っていれば想像がつくし、さらに続きがあるように思えてならない。

    それにしても須賀さんは、なんだかんだいって一番好きな男とはくっつけずに、2番手とくっつけて幸せにするということが多い・・・ような。気のせい?

  • 今度は何がある?
    ―――何も、なければいい。
    何もなければ、いつまでも夢を見ていられる。永遠に。

    長々と読み進めながら、最後は一気に読み終えた。
    再会と、それからの激動。
    大陸を巡る様々な思惑が蠢く中、胡子一行らはモンゴル国独立の悲願を叶えるため、敵味方を渡り歩きながら必死に生きていた。
    昨日の友が今日の敵、そんな状況の中で血と泥にまみれながら進んでいく彼らに引き寄せられていた。
    そして、全てを失った後にも世界は続いていく。自分自身にも時間は流れていく。
    新たな希望が生まれることも、かつての夢を思い出すことも出来る。
    けれど、それは過去があってのこと。全ての思い出が降り積もり、一人の人間を創っていく。

    明日の自分は今日の自分とは違う。けれど、過去があるから未来がある。

  • 芙蓉千里三作目。
    大陸中、それこそ千里なんて軽く超えた距離を駆け巡ったフミが
    哈爾濱に戻ったと思うと感慨深い。
    建明みたいな男の豪快な生き様は最高にかっこいいな。
    終章は意外なような、ちょっと可笑しく感じてしまうような不思議な落としどころ。

    流血女神伝のカリエもフミも
    最初は人よりちょっと得意な事があっただけの少女だったはずが、
    いつの間にか世界を動かすような事態に乗り込んで行っていて
    ぶっとんだ結果を成していて面白かった。

  • シリーズ最終巻は1920年から1922年の間のロシア、モンゴル、
    中国、日本の、モンゴル独立に関する争いが舞台
    半分くらいは史実の話で、歴史の本を読んでる感覚だったので
    内容を整理するのでいっぱいいっぱいでした(笑)

    登場キャラクターはしっかりと、描がかれていたので、
    すべてのキャラクターに愛着があっりました!
    こんなにも、のめりこんだ小説は初めてでした。
    全てのキャラクターが、目的に向かって自分の人生を
    全て注ぎ、熱く生きていた!

    モンゴル独立の戦いが終わってからのフミ達の生活が
    切なくて、びっくりで、びっくりで、えー!って感じでした(笑)
    俺的には満足の結果でした!!

  • 2巻でははいからさんが通る?と胸ドキしていたら馬賊になってまさかのアクション巨篇…。

    昔の恋人を忘れられない人しか愛せない?芙美。
    背景となるモンゴルの歴史は現代史に弱い日本人の特有ですごく苦労しましたが、その広大さと馬賊の絆にやられました。
    エピローグの3人の彼の姿にやっとホッとした、らしくてよかった。
    結局芙美は男追いかけて行った訳だけど、縛られない2人の、同志のような対等な関係もいいなと思った。

    黒谷様押しの私でしたが、3巻は炎林にしてやられ完敗でした。かっこいい。

  • 大陸に渡った少女の一代冒険活劇もついに終幕。既刊2作に比べると時代小説の傾向が強くなっていたので、女子には興味が持てなかったかもしれませんが、ドキドキ、ワクワクの馬賊生活、悲しい末路、そして深い哀愁と寂寥と希望を抱かせるエンディング。ああ、こんな風に終わらせたのか、という思いです。この時代、この地域が好きな人には間違いなく面白いはずですが、そうでない人のために見返しか目次後に満蒙の地図が載っていればよかったのではないでしょうか? 小説なので仕方ありませんが、途中やや主人公・フミに都合のよい展開がままありますが、モンゴルの草原を舞台にしたスケールの大きさは十二分に感じられました。NHKの朝ドラっぽいと言えば言えなくもないですが、波瀾万丈すぎますね。

  •  や。すごいわ。
     怒涛のような展開とロマンスが同居してる。少女小説の正当な進化という気がする。こういうまっとうな、そして格好いい小説を読んだのは久しぶりで満足。

     出てくる男性人が皆イケメンすぎて鼻血噴く。

  • 最後まで胸の熱くなる展開だった。世の女性たちは読むべし! 最後はやや予想できたけど、終章の展開までは予想できなかった。満足のいく終わり方!

  • 大陸一の女郎を目指して日本から渡ってきた少女、フミの壮大な人生譚の三作目にして最終作にあたる。
    前作でやわらかな庇護のもとから飛び出したフミは、曠野の中で生きる術を学んでいく。
    不穏な風の吹き荒れる曠野では、白軍と赤軍、露西亜と中国、日本、モンゴルの思惑が交叉しては血が流れる。血と地、そしてそれに縛られずに生きようとする人間たちの欲望、希望、祈り、すべてが渦となるなか、フミは自らの生きかたと対峙する。
    やー、一作目を読んだときはまさかここまで話が大きく展開するとは思わなかった。
    どう決着をつけるんだろう、とハラハラしたラストはきれいに収まり、ほうっと息をつきたくなる気持ちになる。
    ライトノベルの頃に読んでいて、どうしてもその印象が強かった作者だけれど、作風はそのままに骨が太くなったなぁ、としみじみ思った。

  • (No.12-60) 待ってました!完結です。

    『全てを置いて出奔したフミ。奇跡のように出会えた楊建明(山村)に何とか馬賊の仲間にしてもらおうと、置いていかれそうになっても必死でくらいついていく。主を失って生きる気力をなくした馬・ショールガ。乗りこなせたらやると言われ、閉ざした心を解きほぐそうとしたがショールガは反応しない。自分とショールガを重ね絶対に救いたいと思うフミは、荒野をさまよう。ついにフミに心を許してくれたショールガ。フミは馬賊に受け入れてもらう。』

    きれいな着物を着て舞を舞う生活から、一転して馬賊です!なぜここまで過酷な世界に飛び込んじゃうのか、フミは。
    与えられたものでは満足できない、どんなに苦労しても自分の道を進みたいという飢えのようなものを抱えているんですね。選んだのが山村と共にあることなのか。

    それにしても今まで馬賊という言葉は知っていたけれど、内情を知ったのは初めて。相当凄まじいやつらだわ。なんとなく馬賊にロマンを感じていたのですが、それはこの小説で叩き潰されたな。

    ストーリーとはそれほど重要な関連はないけれど、この巻でハルビンの学校のことに触れていたことが私には嬉しかったです。身内に関係者がいるので・・・・。
    国策によって作られた外地の学校。大陸で日本を背負ってたつ人たちを育てるはず、実際育てた学校。
    第二次大戦後、帝国大学は国立大学となって存続しました。でもハルビンにあった学校はそのまま消滅してしまったのです。仕方ありません、侵略の先鋒を担ったのですから。
    須賀さんはハルビンのことをずいぶんきちんと調べたのですね。それほどは知られていない学校のことを、取り上げるくらいに。

    怒涛の馬賊生活の果てに訪れたのは?ほう、そう来ましたか!あの人でも、あっちの人でもなく、彼だったの・・・。

    終章では落ち着いた生活のフミです。これがファンタジー小説ならめでたしめでたしというところですが、これは実際の歴史を背景にした小説。私たちはその後を知っています。
    これ、完結編なんですよね。だけど、その後どうなるんだろう。したたかに生きぬくとは思いたいけど。わあ、心配だわ。

    かなり分厚い本なんですが、どんどん読みました。面白かった!

  • 女性の一代記を読んだ感じ。
    やっとつかんだ妻の座。それを守ろうと、一度は自分をなくそうとしてしまうのがとても辛い。
    しかし、自分の行きたいように生きるために下ったことを思い出して、やれることをやりつづけ、信頼を勝ち取る。
    過去も現在も未来も受け止めるなんてフミは強い。強くあろうとして、強くなり、それは背伸びでなく心からの気持ちとなった。
    カンペキに見えた建明も、そうではなかった。それを見せたがらない人で、それを含めて受け入れたフミ。
    全てをなくして、なにもかも無駄だったのではと失意のなかにいたフミ。
    しかし炎林とほんのすこしだけ傷を癒し合い、また一人で立ち上がる。
    ひとりだけど仲間をつくる。孤独なフミじゃない。
    最後もほんとうに素敵だった。いろいろなことがあった人達がまた集い、日常を生きる。日常も人によるんだろう。
    受け入れたり、立ち上がったり、守ろうとするには、心からそう思えるか、が一番大事なんだろう。
    諦めることだって心からそう思うなら、それでよいんだろう。
    全てを受け入れて、嫌なことには抵抗して、心からの自分で生きていく。それが生きる、ということだ。

  • 電子書籍の小説sari-sariに載っていたので読んでみたが、どうも話が見えない。それもそのはず、長編小説の第3作なのでした。前の2作品を先に読まないと、ということで只今注文中。これはひとまずお休み。

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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