幻夏 (単行本)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041105832

作品紹介・あらすじ

「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていた23年前のあの夏、少年に何が起こったのか。人が犯した罪は正しく裁かれ、正しく償われるのか。残酷な「世界」に、必死に挑んだ少年の驚くべき秘密とは…!?

感想・レビュー・書評

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  • 鑓水、相馬、修司の三部作、最終巻『幻夏』です!(意図的な誤情報の発信)

    しゃーないやん!『天上の葦』から読み始めちゃったんだもんしゃーないやん!
    だからわいにとっての最終巻はこの『幻夏』なのです!(目の覚めるような開き直り)

    しっかーし!先日『天上の葦』から一作目の『犯罪者』を読むまでにめちゃくちゃ間が開いてしまったことを大後悔したワタクシです
    同じ失敗は繰り返しませんよ!二作目の『幻夏』はすぐ読みます(早速二作目言うてもーてるやん)

    この学習能力の高さよ

    はい、中身!
    「冤罪」をテーマにした本作、もう「怒り」の感情が97.64%ですわ!(最近は割と細かく測定できるようになりました)
    太田愛さんの物語は本当に「怒り」が詰まっとりますな

    結局ね、なぜ「冤罪」が生まれるかっていうとね
    それはさ、使ってる「単位」が違うんじゃね?って僕なんかは思うわけ(急にフランク)

    1人じゃなくて1件なんじゃね?って思うわけです

    権力を握ったものたちは、自分たちに都合よくルールを捻じ曲げ、弱い者たちを顧みようとしない
    それは目の前いる人間を人として見ていないことの表れなんじゃないかと思うんです
    処理すべき1件の事案

    権力者たちの詭弁に騙されず人を人として見よ!この三部作はそんなことを訴えていたようにも思うのです

    • ひまわりめろんさん
      チャオーーーーーー(^o^)丿
      チャオーーーーーー(^o^)丿
      2024/02/07
    • ひまわりめろんさん
      ゆとり教育か!円周率はおおよそ3か!
      ゆとり教育か!円周率はおおよそ3か!
      2024/02/07
    • 1Q84O1さん
      ゆとりでなーい!
      円周率は3.14時代
      徒競走はきちんと順位がついたよ
      (仲良く手をつないでゴールなんてありえない!)
      土曜日も学校あったよ...
      ゆとりでなーい!
      円周率は3.14時代
      徒競走はきちんと順位がついたよ
      (仲良く手をつないでゴールなんてありえない!)
      土曜日も学校あったよ
      (途中から第2、4土曜日は休みになりましたが…)
      けど、ゆとり世代でなーーい!
      2024/02/07
  • 序章と終章が、まさに幻のように美しい作品。

    少し前に『犯罪者』を読んだばかり。
    記憶に新しい人物たち、相馬、修司、鑓水。
    この三人が今回もタッグを組みます。

    通り魔事件でただ一人助かった修司は
    助けてくれた鑓水が経営する興信所でバイト中。
    「23年前に失踪した息子を探してください」
    母親はそう言って 前金を渡し、姿を消してしまいます。
    そして、この失踪した息子は
    相馬と深いかかわりを持っていたのです。

    この作品には冤罪が産む悲劇が凝縮されています。
    外部から遮断された「密室」。
    この中で行われる違法・不当な取り調べ。
    こういう環境が冤罪の原因になるとして
    取り調べの録画が義務付けられたのは
    2019年6月。(調べました!)
    ただ、録画義務は対象事件に限られ
    全事件の3%未満だと書いてありました。
    対象事件って、誰が決めるの?

    この作品は小説ですが、
    実際に何が起こるか分からない怖さを感じます。
    そして、間違いの元凶となった権力者たち。
    彼らは、多少の不都合を課せられながらも
    何事もなかったように普通の暮らしを続けます。
    これって、今起こっている政治資金の話と同じ。
    なんか、やるせない感じ。

    太田愛さんの司法に対する思いの詰まった作品でした。

    • bmakiさん
      この作品、とってもいいですよね。。。
      二回も読んでしまいました。
      なのに詳細は思い出せず(-。-;

      お次は天上の葦でしょうか。。。...
      この作品、とってもいいですよね。。。
      二回も読んでしまいました。
      なのに詳細は思い出せず(-。-;

      お次は天上の葦でしょうか。。。

      あー、私もまたあの3人に会いたくなってきました!!
      2024/01/28
    • yyさん
      bmakiさん

      遅い時間になっちゃいましたが
      コメント、嬉しいです。
      ありがとうございます。

      天上の葦、上巻がまだ貸し出し中...
      bmakiさん

      遅い時間になっちゃいましたが
      コメント、嬉しいです。
      ありがとうございます。

      天上の葦、上巻がまだ貸し出し中なんです。
      そして、その前に予約していた本の順番が回ってきたので
      しばらく後になりそう。
      ホントはこの勢いで、太田ワールドに浸りたいのだけど。
      2024/01/29
  • 「犯罪者」からのこの作品…警察官の相馬が小学6年生の夏に出逢った兄弟はその母との3人暮らし、父は刑務所に服役していたが冤罪であったことが判明、その直後に亡くなる…それから数日後この兄弟の兄が失踪する…。それから23年が経過、鑓水が起業した興信所(助手として修司が勤務)に、その母が23年前に失踪した息子を探してほしいとの依頼を持ち込む…。

    今回も引き込まれるように読んじゃいました!!やっぱり、太田愛さんの作品ってすごいです。関係なさそうに思えて全てはつながってる…「冤罪」に翻弄された被疑者とその家族、そして「冤罪」を作りだした側の警察、検事、判事…1つ1つが細部まで描かれてます。真の正義とは?を考えさせられ、大切な人を守りたい思いにじーんときました。そして「犯罪者」から続く、相馬、鑓水、修司のこのコンビ、やっぱ好きだなぁ…!だんだんと結束感が強くなってきているように思えたので、「天上の葦」への期待も自然と高まります。

  • 「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、
    現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。
    台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。
    奇妙な印を残して…。
    人が犯した罪は、正しく裁かれ、正しく償われるのか?
    残酷な「世界」に、必死に挑んだ少年の驚くべき秘密とは…! ?


    毎日が黄金に輝いていた12歳の夏、少年は川辺の流木に奇妙な印を残して忽然と姿を消した。
    23年後、刑事となった相馬は、少女失踪事件の現場で同じ印を発見する。
    同時期に23年前に失踪した少年の行方を探して欲しいという
    奇妙な依頼を受けた探偵・鑓水。
    23年の時を経て何が起こっているのか…?
    過去の事件と現在の事件が交錯しながら物語が進んでいく。
    謎が謎を呼び、新しい事実が明らかになる。
    するとまた新しい謎がうまれ…凄く引き込まれて一気に読まされました。

    23年前に尚が消えた理由。
    尚の母親が今になって尚の捜索を探偵・鑓水に依頼した理由。
    少女の誘拐事件が起きた理由。
    奇妙な印が残されていた理由。
    父親の冤罪事件が起こった理由。
    様々な理由が明らかになった時、犯人に抱いた感情…。
    責める気持ちばかりになれなかった、とても切なかった。
    あの夏のあの一瞬がなければ、
    尚と拓と相馬、今も仲良く過ごしていたんじゃないかなぁ…。
    何故、冤罪事件が起こるのか。
    司法の在り方や、警察の捜査の問題。
    重いテーマも含まれていて、考えさせられた。

    久し振りにとっても凄い警察ミステリー面白いミステリーを
    読めたと嬉しかった(*´ `*)
    著者の紹介欄を最後に目にした時「相棒」の脚本家なのですね。
    成程です♪

    登場人物の刑事の相馬と探偵の鑓水とアルバイトの修司。
    昔からの知人の様だ。
    最初はこの関係性がわからずモヤモヤ

  • 読み応えがあった。6年生の夏休み、転校してきた少年同士が出会った、輝かしい少年の日の夏休み。そして2学期、少年は行方不明になった。現場にはある記号が残されていた。23年後、その母親から少年を探してくれと探偵、鑓水は依頼を受ける。

    鑓水の大学の同級生相馬。相馬とひと夏を過ごした兄弟。冤罪で死んだ兄弟の父。そして今少女が行方不明になっている、現場にあの記号を残して・・ しかし犯人は捕まったようだ、そして少女誘拐の司法関係者は過去の冤罪捜査にかかわった人たちだったのだ。

    関係者が一堂に会してしまうが不自然さを感じさせない筆致。「9の犯罪を確定するためには、1の誤罪は免れない」こんな言葉が法曹界にはある・・ 一旦決めた被疑者は確実に落とす、そもそも検察が立件するのは罪があると確定しているから、なので裁判で無罪になるなど、己の証拠の不安定さを暴露するもの、なるほどそうなのか。有無をいわさず被疑者を落とす取り調べ、これは「教場」で警察学校の過酷さを読んだ直後とあって、それは有りうるな、と思った。

    とにもかくにも、捜査取り調べ、検察の立件、裁判官、日本のこの現状は問題をはらんでいるのだな、と感じさせてくれた1冊。しかし最後、もっと最初の誤認捜査した刑事、検察官、裁判官をとっちめてほしかった。最後の少女誘拐の記者会見で、過去の冤罪にかかわっていたんだぜ、とTVの前で暴露する、こんな終りかただったら留飲が下がるな。

    太田愛は初めて読んだ。興味が湧いたのでもっと読んでみようかと思う。

    書き下ろし

    2013.10.30初版 図書館

  • 二作目。

    超えて来たなぁ、一作目の『犯罪者』を。

    僕の苦手な、哀しく切ない物語なのに。

    【冒頭】
    石段坂の降り口。
    あの夏の日、12歳の僕と尚、そして、三年生の尚、拓。

    おとといの台風のあと、なにかよくないこと、があったのではないか、と遅れている尚を待つ僕・・・。

    なんとも言えないなぁ。

    冒頭のこのシーンだけで胸がいっぱいになる。

    bmakiさん、この作品、紹介いただきありがとうございました。

    • bmakiさん
      お疲れ様でした。
      いい作品ですよね。

      とってもいい作品だったのに、、、
      私本作の内容を忘れかけております(-。-;

      あんなに...
      お疲れ様でした。
      いい作品ですよね。

      とってもいい作品だったのに、、、
      私本作の内容を忘れかけております(-。-;

      あんなに感動したのに。
      2回も読んだのに。
      どんな記憶力なんでしょう。

      いやしかし、こんな記憶力なので、きっと何度読んでも楽しめるということで。

      この後は天上の葦でしたよね。
      その記憶もあやふや。。。^^;

      またドキドキワクワクしてくださいo(^▽^)o
      2024/03/02
    • shukawabestさん
      bmakiさん
      ありがとうございます。
      僕もこの「幻夏」は、再読するだろうと思います。物語の最初と最後がつながっていくのがせつなくて、せつな...
      bmakiさん
      ありがとうございます。
      僕もこの「幻夏」は、再読するだろうと思います。物語の最初と最後がつながっていくのがせつなくて、せつなくて•••。子どもの視点で描写されると、僕は気持ちを持っていかれることが多いなと思います。
      内容、忘れるのは仕方ないですよね。次から次へと色々いい作品が出てくるので、ロケット鉛筆のように、一つ前に読んだ小説の記憶が今読み終えた小説に押し出されてしまっている気がします。
      僕は、朱川湊人さんが好きで、彼の作品は読み返している作品も多いですが、「それ、どんな作品だった?」と訊かれると思わず貝になってしまいます。
      「幻夏」ずば抜けて良かったので、3作目は少し間を置こうと思います。
      ありがとうございました。
      今後もよろしくお願いします。
      2024/03/02
  • ひとつの「冤罪」が幸せな一家の運命を大きく変えてしまう、悲劇の社会派サスペンス。
    ランドセルを残し姿を消した兄の尚に一体なにが起きたのか?現場に残された印の意味は?母親はなぜ失踪から何年もたった今、息子を探すよう探偵に依頼したのか?
    数々の謎が明らかになるにつれ、幼い兄弟の兄弟愛、母子愛、友情に切なく心揺さぶられる。
    ストーリー展開が素晴らしかった。
    他の作品も読んでみたい。

    • ロニコさん
      gaoさん

      おはようございます、ロニコと申します。
      マカン・マランにコメントをありがとうございました。

      私も1972年生まれです!(早生...
      gaoさん

      おはようございます、ロニコと申します。
      マカン・マランにコメントをありがとうございました。

      私も1972年生まれです!(早生まれなので、gaoさんより1学年上かと思いますが)
      少女漫画誌は、小学校低学年の時の「なかよし」に始まり、「りぼん」、「LaLa」…。
      単行本は、友人間で様々なレーベルが飛び交いました( ^ω^ )
      併せて、少女小説全盛期だったため、コバルト文庫で氷室冴子や久美沙織なども読んでいました。

      太田愛さんの作品は、「犯罪者」と「天上の葦」を読みました。「天上の葦」は特におススメです!

      これからも宜しくお願いします。
      2020/03/18
  • 23年前の9月2日金曜日、自宅から8キロメートル程はなれた川べりで学校へ登校途中だった当時小学生6年生の水沢尚が行方不明になった。ランドセル中にはなぜか金曜日の予定ではなく土曜日の時間割りが入っていた。
    現在、興信所で働いている鑓水、繁藤の元へ尚の母親である香苗から尚を探して欲しいと依頼が入る。
    時を同じくして警察官 相馬は図書館前で行方不明になった少女を捜索していた。少女が行方不明になった付近には尚が行方不明になった所に残されていたメッセージと同じものが残されていた。
    32年前の行方不明事件を調べることになった鑓水、繁藤、相馬だったが。

    32年前に行方不明になった尚と行方不明になった少女にはどんな関係性があるのか。
    行方不明になった付近に残されていたメッセージの意味とは。

    --------------------------
    読み終わった後のやるせなさは半端なかったです。
    冤罪をテーマにしており、読み終わった後色々と考えさせられました。
    もし、自分が事件の真実だと思っていたことが冤罪事件だったと知り、現実がガラスのように崩れたとしたら。
    もし、自分が冤罪で捕まったとしたら。
    この小説を読んで色々なケースが私の中で浮かんだり沈んだりしました。

    次の天上の葦も楽しみです。


    2023年 11月8日読了

  • ガッツリ読んでしまった。

    内容を読んで、題を見るとピッタリだと感じる作品。視点移動が多く頑張る所はあるが細かい描写や心情の表現があり没入できる作品だと思う。

    終わりよければすべてよしではないが、エピローグが個人的に好きだった。1から10全て語られると味気ないが1だけでも困る。ほどよい余韻と想像の余地が残る最後だったと感じる。

  • やっぱり太田愛さん、面白い。
    金曜日の朝に失踪した少年のランドセルに土曜日の時間割が入っていた謎とか
    もう読むしかない。とにかく真相を知りたいと思わせる謎を次から次へと投げ込んでくるプロ。
    そしてその色々な伏線を丁寧に回収していくところとか、本当に大好き。
    日本の司法制度から生まれる冤罪と少年の悲しいお話。
    男の子の母親としては、少年の不幸な話はつらい。お願い最後は幸せになってと願いながら読みました。

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著者プロフィール

香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

「2020年 『彼らは世界にはなればなれに立っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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