僕たちの月曜日 (角川文庫)

制作 : 吉田 大助 
  • KADOKAWA
3.07
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本棚登録 : 1114
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041132197

作品紹介・あらすじ

アナウンサー、医者の卵、専業主夫など……バリバリ働いて出世を目指すか、自分の時間を大事にするか、仕事とプライベートの両立に悩むそれぞれの働き方を描いた、読むと心が軽くなるアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 「男性主人公」がお仕事に悩むアンソロジー。
    小説4編と、小山健さん本人セレクトの漫画。
    年代、職種ともバラエティがあり、楽しめました。

    「ダリア・ダイアリー」夏川草介
    “勿忘草の咲く町で”収録
    若き研修医が、高齢者医療のあり方について悩みます。テーマは、看取りを重視するか可能な治療は施すべきか。研修医は、会いたい人に引き合わせるまでは延命したいという第三の選択を選びました。短編ですが、それぞれの立場の医師の気持ちも理解しやすい作品でした。

    「泥舟のモラトリアム」一穂ミチ
    “砂嵐に星屑”収録 この作品繋がりでこのアンソロジーを読みました。
    大阪支局のテレビマン。同期達が徐々に第二の人生を歩み始める。残された会社を泥の舟と称して、支えていく。

    「彼は本当は優しい」古市憲寿
    “文學界2018”
    キャスター39歳独身世渡り上手。突然の母親大腸癌余命宣告。今まで疎遠だった姉妹達の変化に驚きながら、母親の死のあり方を悩みます。
    本当は、優しそうな男性でした。男性にありがちだけど、心配と手配はするけど、自分は手を出さないのよね。

    「わたれない」綾瀬まる
    “川のほとりで羽化するぼくら”収録
    業務悪化で退職を希望した妻子ある男性。今まで、任せきりだった家事育児の担い手になっていく。途方に暮れる毎日。育児ブログに救われる。
    最近はよく見る若いパパさん達の育児参加。子供を抱っこしているのを見ると、ああ、いい時代って思う。それが、主体として育児となると、まだまだ偏見が残っているみたい。

    • ゆーき本さん
      彩瀬まるさん好きです
      彩瀬まるさん好きです
      2023/06/15
    • おびのりさん
      私も好きです。ふわふわしすぎてないところとか。
      私も好きです。ふわふわしすぎてないところとか。
      2023/06/15
  • 小説野性時代2017年5月号ダリア・ダイアリー:夏川草介、
    2022年2月幻冬舎砂嵐に星屑から泥舟のモラトリアム:一穂ミチ、文學界2018年4月号彼は本当は優しい:古市憲寿、2020年1月カドブンノベルSpecial Editionその境界を越えてゆけからわたれない:彩瀬まる、2016年6月キノブックス刊osaka.soraから16話をセレクト:小山健、の5つの短編と編者吉田大助さんの解説を2023年1月角川文庫刊。お仕事小説アンソロジー男性編。作家さんも男性。夏川さんのダリア・ダイアリーが秀逸で、「勿忘草の咲く町で安曇野診療記」が読みたくなりました。彩瀬さんのわたれないは、ウスバキトンボの無効分散のくだりが興味深くて楽しい。

    • pさん
      私たちの金曜日を読んだので、次はこっちかなぁって思ってたところです。
      私たちの金曜日を読んだので、次はこっちかなぁって思ってたところです。
      2023/10/30
    • hisakareiさん
      金曜日は編者の三宅さんが選定に苦労したという話でしたが、月曜日の編者の吉田さんは「働き方改革関連法成立2018年以降のお仕事小説を片っ端から...
      金曜日は編者の三宅さんが選定に苦労したという話でしたが、月曜日の編者の吉田さんは「働き方改革関連法成立2018年以降のお仕事小説を片っ端からチェック、完璧、自信あり」だそうです。楽しんでご確認下さい。
      2023/10/30
  • 男性のお仕事アンソロジー。
    彩瀬まるさん、一穂ミチさんは既読。
    夏川草介さんの「ダリア・ダイアリー」がよかった。
    治療方法に医師としてのそれぞれのポリシーみたいなものが感じられた。
    夏川さんの描く医師は、みんな人間味に溢れていて共感してしまう。


  • ダリア・ダイアリー/夏川草介
    泥舟のモラトリアム/一穂ミチ
    彼は本当は優しい/古市憲寿
    わたれない/綾瀬まる
    osaka.sora/小山健

    読んだ話が2話あって少し残念でしたが、
    記憶を辿って懐かしみながら読みました。

    日々の生活や出来事の中で仕事を軸にして
    改めて生き方を見つめ直し考える、そんな
    物語だった気がします。


  • ほんと皆様お疲れ様です!って感じ。

    病院で働くあなた。
    マスコミ関係で働いてるあなた。
    ニュースキャスターのあなた。
    そして主夫として手作り品を販売してるあなた。

    皆さん頑張ってるし、それぞれの家庭・暮らしがあって。
    みんな頑張ってるんだな~

  • 夏川草介さん『ダリア・ダイアリー』
    古市憲寿さん『彼は本当は優しい』
    この二編が面白かった。
    (ただし古市さんの作品は、「私たちの金曜日」の『おかきの袋のしごと』同様、最後の意味がわからなかったのが残念)

    どちらも老人の死について書かれているんですね。
    編者吉田大助さんは考えて選んだのでしょうか?
    解説には書かれていないけど。

    前者では「家族に会うために生きる時間を延ばす」もので、
    後者は老親側から「来なくていい」「たかだか死ぬことぐらいで、大騒ぎしないで」というもの。

    夏川さんの小説で「高齢者医療についての正解は無いのかもしれない」と思い、古市さんのところで改めて考えさせられました。

    自分は…その場になってみないとわからない。

  • 男性の働き方を描いたアンソロジー。
    それぞれ、仕事に対する葛藤やプライド、ワークライフバランス等をテーマに描かれており、現代の社会的な問題が大きく影響していることを痛感しました。
    個人的には綾瀬まるさんの【わたれない】が、仕事と家庭に対する固定観念がテーマで、【専業主夫】が特別な目で見られることのない、その選択も普通であるという社会に早くなって欲しいなぁと思いました。

  • 【収録作品】「ダリア・ダイアリー」夏川草介/「泥舟のモラトリアム」一穂ミチ/「彼は本当は優しい」古市憲寿/「わたれない」彩瀬まる/「osaka.sora」小山健

    男性主人公縛りのお仕事小説&漫画アンソロジー。
    「ダリア・ダイアリー」 高齢者医療問題。現実問題として身近なものなので、医師のジレンマに共感。
    「泥舟のモラトリアム」 他者をわかったような名称で括りたくなるけれど、それは思考停止だな。「マスゴミ」とか貶めていい気持ちになるのは論外。
    「彼は本当は優しい」 この主人公のどこか冷めたような感覚はなんとなくわかる。合理的だから冷たいわけではない。
    「わたれない」 自分に向けられる偏見には敏感。でも、自分の中にある偏見にはなかなか気づけない。そこのところがうまく描かれている。
    「osaka. sora」 ゆるい感じが日常あるある。同僚って大事だよなと思う。

  • 全て別に収録された作品の抜粋。キーワードは男性主人公で仕事の話という点。
    「ダリア・ダイアリー」夏川草介/『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』収録
    「泥舟のモラトリアム」一穂ミチ/『砂嵐に星屑』収録
    「彼は本当は優しい」古市憲寿/『文學界』2018年4月号
    「わたれない」彩瀬まる/『川のほとりで羽化するぼくら』収録
    「osaka.sora」小山健/キノブックス『osaka.sora』より抜粋
    既読は一穂ミチだけ。どれも結構面白く読めました。お仕事小説というよりは、人生の岐路小説って感じでしょうか。ダリアは確かに医者としての仕事の悩みって印象ありますが、泥舟~と彼は~はどっちもマスコミ。仕事と捉えたら偏りすぎじゃん?って突っ込み入れました。寄り添ってこその面白味のあるタイプの小説集なのに、女性目線で読むと、男性主人公、そこ違う~っていう気持ちになる半端感はあるかも。だから、「わたれない」という、男性育児負担小説面白かったという感想多いのかもしれません。ちなみに私は騙されませんでしたよ。でも、なんとなく分かってても面白かったです。やっぱり彩瀬まる、今年はもう少し読むようにしよう。最後のは生理ちゃんを書いた人の作品でマンガでした。なかなか目の付け所面白い作品でした。

  • いまいちピンとこず…合わなかったかな。と思う中、印象に残ったのが彩瀬まるさんの「わたれない」

    意外だった。
    昔と違って男性も育児参加が当たり前の昨今。
    なのに主夫や男性育児がこんな目で見られる事があるのかと…。
    生きる世の中や職場環境、諸々の条件が昔とは違う。
    人々が求める幸せのカタチも違えばやり方が違って当然のように思うけど。
    色々あって色々良い!
    大切なのはそこで生活している家族が上手く回っていて幸せであればそのカタチはどんなものでも構わないと思うんだけどなぁ。

    まだまだ固定概念を覆す事に理解が示されず、窮屈な思いをしている人がたくさんいるんだろうなぁ…とても残念。

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著者プロフィール

1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。16年『やがて海へと届く』で野間文芸新人賞候補、17年『くちなし』で直木賞候補、19年『森があふれる』で織田作之助賞候補に。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『骨を彩る』『川のほとりで羽化するぼくら』『新しい星』『かんむり』など。

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