魔女と過ごした七日間

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041132258

感想・レビュー・書評

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  • Amazonの紹介より
    その夏、信じられないことばかり起きた。「ラプラスの魔女」シリーズ!
    AIによる監視システムが強化された日本。
    指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事が殺された。
    「あたしなりに推理する。その気があるなら、ついてきて」
    不思議な女性・円華に導かれ、父を亡くした少年の冒険が始まる。
    少年の冒険×警察ミステリ×空想科学
    記念すべき著作100作目、圧巻の傑作誕生!



    「ラプラス」シリーズということで、なんとなくしか覚えていないので、WIKiを参考に物語の世界に入り込みました。
    前作を読まなくても、普通に楽しめましたが、円華のことを深堀りしたい方やラプラスの世界観をもっと楽しみたい方には一作目からをお勧めします。

    というのも、ちょっと東野さんの遊び心といいましょうか、「櫻井」や「ラプラス」などラプラスシリーズに縁のある言葉が登場するので、ちょっとくすぐられました。
    また、もう一人特別ゲストとして、あの人も登場するので、知っている人はより楽しめるのかなと思いました。

    物語の進行としては。少年パートと刑事パート、交互に視点を変えていきます。「少年」にとってみると、少年の危険な冒険であり、「刑事」にとってみると、警察ミステリーであり、俯瞰でみると、空想科学ミステリーとしても解釈できるので、色んな楽しみ方がありました。

    ここ最近の作品は、理系にまつわる言葉が少なかった印象だったので、久しぶり感もありました。どことなく別作品「プラチナデータ」の世界観に似ているなと思いました。

    しかし、「プラチナデータ」が完成形であるのに対して、こちらはまだ準備段階といった印象もあり、物語のその先はもしかして「プラチナデータ」⁉︎といった個人的な楽しみ方がありました。

    元刑事だった父親が殺されて、その事件を少年と円華、そして警察が捜査していきます。警察としては「表」の捜査、少年側は「裏」の捜査といった感じなので、読者としては、それぞれの補填をカバーし合う形で、事件の裏側を知っていくことになります。

    事件としては、宝探しのように一つ一つ手がかりを見つけてわかってきたり、意外な犯人だったりと面白かったです。
    その一方で、AI vs 人間の目ということで、最先端技術によって、今まで培った知能と経験が廃業に追い込まれることに複雑な気持ちになりました。

    また、少年のひと夏の経験ということで、ハラハラドキドキの展開としても楽しめました。

    円華を主人公として考えると、才能としての魅力が少なかったかなと思いました。しかし、主要3人の登場人物の魅力がを均等に満遍なく散りばめている印象があり、全然楽しめました。

  • あたしは魔女だから。『いいことを教えてあげる。あと十五分ほどしたら、この雨は一旦やむ。』図書館で出会った車椅子の子どもを連れている不思議な女性。羽原円華。まさかこんな形で再会して、こんな形で共に事件を解決することになるとは。父親殺しの犯人を探る中学生の陸真くんと親友の純也くんと脇坂刑事に茂上刑事、永江母娘。スリリングに進んでいく物語。国民全員のDNAサンプルを集めるだとか、ゲノムモンタージュだとかは、プラチナデータを思い出すな。あっという間に読了しました。『心してかかれよ。もしかするとおまえは、とんでもないパンドラの箱を開けようとしているのかもしれん。』

  • 元警察官(見当たり捜査員;指名手配犯を街中から探す仕事)で現在は警備員をやっている父が殺された中3の陸真が主人公。母は六歳の時に亡くなっているので、孤独になっている…と思うのだが、偶然出会った円華や、親友の純也、捜査一課の脇坂(あくまで警察なので仲間ではないのだが)らと遺品から始めて、真相を追い求めて行く。近未来の話だったが、もうすぐそこまで来ているような未来の話。そんな世界でも円華は活躍していた。えーっと、前の二冊は絶対読んでからこれを読んだ方がいいと思います。
    ミステリーあるあるだと思うのですが、謎解きはスッゴく面白いのに、殺人動機が納得いかないというタイプだったかも。でも、そこを深く考えなければ気にならないです。
    DNAから、そこまでできるようになるのか、そういえばそんなことナショナルジオグラフィックで読んだ、かも?
    管理される恐ろしさと、メリット、自分はメリットを取ってしまいそうだ。しかし、監視カメラだらけの世の中、近未来でなくても、完全犯罪は難しいですね。

  • 東野圭吾の最新刊は、ラプラスの魔女の続編的な作品でした。何者かによって父親を殺害された息子(少年)を中心に、魔女と呼ばれる特殊な才能を持つ円華とともに父親殺害の真相を追求するという内容でしたが、東野圭吾らしい作風の内容で、なかなか面白かったです!
    このシリーズも続編に期待したいですね!

  • ラプラスの魔女、魔力の胎動に続くシリーズ3冊目
    映画も見たのは、2018年なんですね。
    元刑事の父親を殺された中学生の陸真、友人の純也とラプラスの魔女と呼ばれる超常能力を持った羽原円華が、陸真の父親を殺した犯人を追いかけることになる。

    AIと監視カメラ、DNAの解析が高度に進み、未解決事件に大きく寄与することになる日本社会。監視される社会が、本当にディストピアなのかと考えてしまう。昨今の様に安易な強盗事件ばかり、起きていると強力な抑止力は必要かなと思うので。性善説が成り立つ社会であれば、人のつながりで十分なんでしょうけどね。

    円華の「人には無限の可能性がある。君の限界を決めるのは君じゃない」に、少年の成長は本当に早いと思いながら、若さに勝る武器はないなと思いました。

    勝利の決め手は、「闘」ですね。
    元ボディガードのタケオの登場が嬉しかったです。

  •  中学3年生の主人公の1人親である父がある日河川敷で溺死死体として発見される。

     父は元警察で見当たり捜査員(指名手配犯の顔写真を覚えて街中で探す)で、AIにより仕事を奪われ、警察をやめてからは、潜在員として民間で働いていました。

     そんな父がなぜ、溺死してしまったのか。

     父親の死の真相を知るため、主人公と主人公が偶然出会った謎の美女がタッグを組んで調べる夏の出来事を描いた作品です。

     今、話題になっているAI。あらすじさえ教えれば読書感想文まで書くようになり、コンピューターが人間を超えることは難しいだろうと言われていた将棋や囲碁ですらAIの方が強くなってしまった今、AIは人間にとって変わるものになりつつあると言えそうです。

     しかし、AIが一見人間よりも優れているところがあるとはいえ、人間がAIよりも劣っているのかというとそうではなく、作中の魔女の

    「人には無限の可能性がある。君の限界を決めるのは君じゃない」

     の言葉のように、AIだって人間が生み出したものなんだから、AIに負けてるからダメだとかそういうことではなく、自分は自分として上手く共存しろよというメッセージが込められているのかなと思いました。

     また、父の死を調べていく中で、本当にこういうことが行われているのではないかと思うような闇が見えてくるんですが、確かに闇の部分には光の部分もあり、考えさせられる内容でもありました。

     ただ、上記のような感想を抱いたものの、少年と魔女の夏の冒険ものとして読んでも面白い作品でもあり、とても楽しめました。

  • 「ラプラスの魔女」シリーズ3弾
    さすがの東野圭吾さん、いろいろ盛り込まれているけれどきれいな着地点でした。
    「ラプラス」シリーズはあまり好みではなかったのですが、少年の目線をいれることにより爽やかさと成長感がでてよかったです。
    けれど、この本は必ず前作を読んでからをオススメします。

  • シリーズ3作目。「ラプラスの魔女」より後(少なくとも数年後)の、少し未来の物語。
    中学三年生の陸真(りくま)は、突然父親を失う。元警察の「見当たり捜査員」であった父の不審な死の謎を追う中で、彼は不思議な女性"羽原円華"と出会う。2人を中心に真相に迫る数日間で、陸真は自分にしかできないことに気づいていく。
    少しSF風のミステリ&少年の冒険譚。特に前半はテンポよく、安定の読みやすさです。
    今回は円華の魔女っぷりは少なめで、むしろ大人として得た経験と持ち前の強引さで事件解決に挑みます

  • 東野圭吾さんの新作、ラプラスの魔女シリーズの第三弾をさっそく読みました!
    最近はもっぱら電子書籍で読書していたので、久しぶりの紙の本!
    やっぱり紙の本の方が集中できました。

    前作、前々作ともにうろ覚えではありましたが、ストーリーは独立しているので本作だけでも楽しめると思います。
    序盤から引き込まれて、一気に読みました!

    帯には「少年の冒険×警察ミステリ×空想科学」とありますが、まさにこの3つが見事に融合しています。
    自動運転の車にAIの監視システム、DNA鑑定による捜査やマイナンバーカード(本作品内ではIDナンバーカード)など、すでに今の日本で実現しつつある社会が描かれており、近未来的でありながらもリアリティがありました。
    その一方、AIに負けてばかりではない人間の可能性みたいなものも感じさせてくれます。

    そしてやっぱり円華が良いですよね〜
    映画で円華役をつとめた広瀬すずちゃんの顔がチラつきますが、改めてぴったりだなと思いました!

  • 大ファンの東野圭吾さん作品です。【ラプラスの魔女】シリーズですね。魔女はレディに成長していました。さすがに東野圭吾さん、私達のここ数年コロナ禍で様々に生活変容を迫られて、お国の言う事を盲信して来た今、そして今後の私達の生きる指針を考えさせてくれる作品になっています。 
    物語の内容はそんな様々な粗雑を丁寧に書いていて
    親子関係、友人関係等人情感を忘れずに書かれていて感激しました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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