- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041851043
作品紹介・あらすじ
永遠の命とはなにか。不死の〈火の鳥〉を軸に、人間の愛と生、死を、壮大なスケールで描く。天才手塚治虫が遺した不滅のライフワーク。各巻カラーイラストの表紙、巻頭に十六頁カラーを掲載。
感想・レビュー・書評
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宗教と政治が結びつき絶対権力者となる…いつの時代にもこの恐れは潜んでいる。たまたま安部元総理襲撃事件で浮かび上がった統一教会問題が今現在大きく報じられいている。
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火の鳥の中に一貫して流れている
テーマのひとつが宗教と政治
人を精神的に安らかにさせるのが
本来の宗教なのに
いとも容易く人をしばつけ
支配するものとして使えるものだと
恐ろしく思う
ブックオフにて取り寄せ
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舞台は奈良時代。仏像彫り師の茜丸と、生きるため多くの人間を殺してきた片目片腕の我王、2人の男のお話。彼らはいわば「善」と「悪」で対比されるかの様に描かれていくのですが、我王は速魚(我王に救われたテントウムシの生まれ変わりの女性)の愛に触れ、僧正の輪廻転生の話に心を動かされ、仏像を彫ることで初めて他人から感謝される喜びを知り、変わっていく。
一方茜丸は鳳凰の像を完成させた後、後世に自らの名を残すことだけを考える様になります。我王との彫り物勝負で負けるも、我王の過去を引き合いに出し自分の勝利を手にする。
理不尽な理由で簡単に人が死んでいきます。また、この巻で初めて輪廻転生についてハッキリと言及されます。
「なんになるかはだれも決められん…ただいえることは前世でどんな生き方をしたのかの報いが来世にかかわるのじゃ」
茜丸は今後この世が終わるまで人間に生まれ変わることは無いと火の鳥に告げられます。一方我王は、苦しみ続ける業を背負いこれから何度も人間として転生し続ける…。これはどちらもキツいです。最終的に我王が善の心を持ったとしても、彼がこれまで人を殺してきた罪は消えない。火の鳥に我王は苦しみ続ける自分の子孫を見せられるのですが、その中には未来編の猿田博士も出てきます。
自分の人生は怒りで満ち溢れていたと振り返る我王に、火の鳥は
「お前だけでは無い。人間はすべていかりにつつまれた人生を送った」
「いかりをその苦しみを力いっぱいに訴えなさい!」と語りかけます。
理不尽なことばかり、怒りでいっぱいの人生の中で、その苦しみを生きる力に、何かを作り出す力のエネルギーにしろと読みとれました。
両手を失った我王は太陽の光を受け、世界の美しさに涙します。
読み終わって何とも言えない気持ちになりました。茜丸だって悪人ではなかった。
ブクログで発見したのですがファミコンゲームで「火の鳥~我王の冒険~」というソフトがあるらしく興味をそそられました…笑 -
言わずと知れた超名作。
中でもこの鳳凰編はマンガのひとつの完成型だと思うのです。
速魚の死と、茜丸の死の場面の美しさといったらもう。 -
火の鳥シリーズの中で一番好きな1冊です。我王と茜丸の人生が交差しながら、それぞれに変わっていく様が味わい深い。
「虫魚禽獣死ねば... どれもみんなおなじ!
人が仏になるなら... 生きとし生けるものはみんな仏だ!」
生命は全て円となり循環している。
仏教の宇宙観に基づく物語の時空間の大きさに圧倒されます。 -
人間の業と輪廻転生の物語。ふたりの主人公の生き様がいい。
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読むのが苦しい、でも読みたい、読まなくちゃと思う巻だった。
怒りは原動力となるんだなぁと思った。輪廻転生について深く知ることができて世界観が広がった。 -
「生きる? 死ぬ?
それがなんだというんだ。
宇宙のなかに人生など いっさい無だ!
ちっぽけな ごみなのだ!」 -
有名作『火の鳥』であるが,この「鳳凰編」は,出色の出来と思う.
正直なところ,手塚治虫氏の作品は濃厚とは思うがちょっと優等生的にも感じられて,クレイジーさや予測不可能さでは他の作家のほうが好きだ.でも,この作品はとても好き