猛禽の宴 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043765058

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    前作のクーデターよりは面白かった。
    やっぱり朝倉恭介はカッコ良すぎる!!

    ただ、本シリーズ全てに言える事だが、あれだけ作中で強さを誇示させまくった悪役の最期がいつも呆気なさ過ぎて、尻すぼみ感が拭えないのは如何なものか・・・・
    途中で、「こんな強敵どうやって倒せるんだ」と読んでいて絶望感を覚えさせるクセに、今までの凶悪さが嘘のように呆気なく、かつドジな終わり方で悪役が死んでハッピーエンドっていう展開は、次回作からは御免ですね。
    「ちょっとした偶然」くらいはイイけども、重なりすぎると興醒めしちゃうよ。。。

    朝倉恭介シリーズはあと3巻か!
    次回作「クラッシュ」に期待してます。


    【あらすじ】
    日本でコカインを売り捌く朝倉恭介のビジネスは順調に推移するかにみえた。
    だが、この頃、NYの裏社会では新興組織がマフィアの領域を荒らし始めていた。
    マフィアのボス、ファルージオは抗争を諌めるが、部下のコジモが新興勢力の排除を強行、その報復としてファルージオが襲撃されてしまう。
    機に乗じてボスの座を勝ち取ったコジモは、恭介のビジネスを手中に収めようとするが…。

    「朝倉恭介VS川瀬雅彦」シリーズ第3弾。


    【メモ】
    猛禽の宴


    p92
    チャイニーズは、そもそもが風に飛ばされる種子のように世界中に散らばり、その地に根付く華僑の血を持つ人間たちである。
    その行動原理はずばり金であり、テリトリーなどといった概念は極めて希薄だ。
    金になることならば、それが他人の領域であろうともお構いなし。
    そうした民族的特性は、ここにおいて一気に爆発し、活動の範囲を広げていった。


    p110
    「親父も焼きが回ったもんだぜ」
    部屋のドアが閉まるなり、コジモが低く唸った。
    コジモの言葉を咎め、あるいは批判する者は一人もなく、むしろその顔に苦々しげな表情を浮かべながらわずかに首を縦に振り、同意を示すばかりだった。

    猛禽の群れの頂点に立つ者には絶対的な指導力、財力、知力、そして恐怖の力が要求される。
    そのどれもが絶対的な必要条件であり、どれ一つ欠けても群を統率することは難しくなる。
    そしてそうした兆候が現れたときには、必ずそれに取って代わる若い猛禽が現れるものだ。
    この摂理がこの組織に於いても例外ではないことを、ファルージオはまだ気づかなかった。


    p297
    コジモは、無表情の中にも値踏みをするような目つきで恭介を見ると、その手を握った。
    人間の出会いに「合う、合わない」という感情の芽生えはつきものだが、その殆どは最初の印象で決まると言っていいだろう。
    顔の造作、仕草、声、言葉遣い、そして身なり。
    瞬間的に視覚が捉えた印象がそれを大きく左右する。
    そして握手とはいえ、肌の一部が触れる行為はそうした視覚的印象をさらに決定づける働きをする。

    それは気のない握り方だった。
    自ら恭介に会うことを望んでおきながら、どこかこの男の手から伝わってくる感触には不愉快極まりないものがあった。
    生理的に相容れない違和感、そうした感覚が肌を通じて伝わってくる。

  • まさに猛禽がウヨウヨ。
    読みながら顔をしかめてしまう場面がチラホラ・・・

    朝倉恭介。
    Cの福音では知的でクールな印象が強かったが、
    猛禽の宴では力強くて熱くい印象も受けた。

    シリーズものだと、
    主要人物のいろんな面を小出しにできるからか、
    どんどん魅力が増してくるなぁ、という感じ。
    残りも楽しみ!

  • 昔読んだ本

  • 朝倉恭介の2冊め。まったくこの世は猛禽にあふれていて猛禽天国、最後は猛禽インフレを起こしている。
    著者はなんでも書き、世界を創ることが可能なのだけれど、やや無理があったり、強引なところも散見される。時に自分に酔ったような饒舌な修飾語なども垣間見れて、自分が創りだした神をさらに称えるような、自己自演が表現としては気になりました。
    全体的に行けば、世界は自分が思っているようには動かず、まさに、明智光秀と織田信長の構造をそのままに、組織についていなかった恭介がどうなっていくのか、が今後の展開につながっていくのでしょう。恭介は人をバンバン殺しますが、何故か正しい方に向かっていく。手段は悪であっても、心は正義、なんていう二面性をもっているんでしょう。真っ黒にはなりきれないダークヒーロー。自分の人生の舟を漕ぐことはできるのであろうか。このままだと、真っ逆さまに落ちてしまう。
    それを止めるのが、本当の愛だった、とかはやめて欲しいけど。さて、次、4部目に突入!

  • ニューヨーク在住のイタリアンマフィア

    湾岸戦争の裏事情が暴露されながら
    NYイタリアンマフィアの内部抗争、そして新興組織との争いが繰り広げられる

    確かに面白いんですけど、ちょっと描写が長々しく感じてしまった

    悪のヒーロー「朝倉恭介」
    強すぎるなぁ

    順番を間違えてしまって
    3作目を先に読んでしまった!?(苦笑)

  • 面白いけど、少しイメージが変わって来てる気がする。

著者プロフィール

1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。著書に『介護退職』『国士』『和僑』『食王』(以上、祥伝社刊)他多数。

「2023年 『日本ゲートウェイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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