ひとりの夜を短歌とあそぼう (角川ソフィア文庫 D 102-2)

  • 角川学芸出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044054038

感想・レビュー・書評

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  • 女優や漫画化、絵本作家など異業種の言葉の天才たちが詠んだ短歌を、人気歌人がコメント。


    様々な職業・年齢の方々が一つのテーマに対して詠んだ短歌に対し、歌人の穂村さん・東さんと雑誌編集者の沢田さんがコメント・批評をするという形式の歌集です。

    それまでに積み重なったいくつもの歌から、詠み人の人間性まで丸裸にされてしまうようなコメントが、興味深いとともに少し怖い。言葉のプロフェッショナルってやっぱりすごい。
    「べたべた」や「自慢する」、「芽きゃべつ」といった一風変わったお題や、特定のホラー映画などを詠むという題が出てくるのも面白いです。

    読んでいて思ったのが、あるテーマに対して感じる事というのは人それぞれ違ってしかるべきだと思うのですが、それでも詠まれている内容にはどこか共通する本質のようなものがあって(例えば「芽きゃべつ」に対する歌だったら集団性のようなイメージ、内に何か秘めている印象など)、そこに共感したりしているのではという所。
    実は短歌というのはイデアにとても近い所にある文化だったりするのかななどと感じました。

  •  例えば、梅干しの種には毛が生えていることとか。そう言われればそうなのだけど、言われるまで忘れていることを掬いとってくれる短歌にハッとさせられる。このシリーズを読むのは二作目なのだけど、詠み手の個性や特徴が分かるようになってきて、自分のお気に入りの方が見つかるのもまた楽しい。タイトル通りひとりの夜に本作を読むと、心がしんと静まりかえって、温かいのだけど少し寂しくなりそう。でもそれも含めてとっても良かった。

  • ほかの2人(東直子 沢田康彦)に比べて、穂村弘の解説だけが際立っている。短歌そのものは理解できなくても、穂村のふくらみのある解説を聞いてるだけで楽しい。

  • ねじには悲しみがあるらしい。そして、乱歩が読みたくなる。

  • 同じ言葉でも、その並べ方や提示の仕方によって、思わぬ効果を生み出すものですねぇ。十七文字や三十一文字という、短く限られた表現であるからこそ、より一層広がりや深さを持つのでしょう。それだけに、たいへん難しい表現の仕方ではあるのですが、感情やものごとの本質を語るには、かならずしも多くの言葉は必要としないってことですネ。

  • 「短歌はじめました」「短歌があるじゃないか」は既読。
    時系列からいうと「短歌はプロに聞け」がその間に入る作品。本屋で見付けられなかった、その本が文庫になった。

    編集者の沢田康彦さんが主宰する短歌同人、猫又の歌をプロの穂村氏、東氏が読み方を教えてくれる。
    本の雑誌でお馴染みの吉野朔美さんなど、素人とは言えなかなかの詠み手の同人達の作品。正直、意味が判らない歌もあり、解説でそういうことかと思う。あ~。歌道に暗いなあ。
    同人の皆に作風があって、その人となりが、薄らほの見える。
    だけど、見えすぎるのもどうなんだろ。

    皆さん、巧いなと思うけど、「短歌はじめました」の千葉すずさんのような破壊力のある作品が少ないのが不満かな。無いものねだりと思うけど。
    穂村、東の両プロの作品もあり、流石プロは凄いなと感心。「月光よ …」
    なんて5文字出ないよ。映像が浮かぶよう。シビれた。

    「仕事柄肌色下着ばかりでどれをえらんでも全くサエない」
    女優さんなのに下着が地味って、そうなの。
    オジサンは変な処にひっかっかりました。

  • 『短歌はじめました』の続編といった感じ。
    回数を重ねる毎に、素人歌人の方々の個性が浮き上がってきて面白い。

著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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