失はれる物語 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044253066

感想・レビュー・書評

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  • 目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。

  • 失はれる物語が印象でした。
    主人公の奥さんが離れていく、話ですが
    悲しい話です。

  • 切ない物語だけどその先には温かさ明るさを感じる
    初・乙一で、すっかり好きな作家さんになりました。

  • 作家は女性と思いきや男性

  • 個人的には「しあわせは子猫のかたち」が一番好きです。ラストの部分は読むたびに涙が出てきます。個人的に自己嫌悪が酷い時程泣けます。何度も読みたいです。
    主人公もものすごく共感してしまいます。

  • 数年前「失はれる物語」映画版を観た時以来の再読。

    「Calling You」脳内で妄想していた携帯電話が他の人と繋がってしまうという、「少し」「不思議」なお話。相手が実在するのか。致命的な事態をどのように回避するのか。そうしたいろんな点を楽しめた佳作。

    「失はれる物語」交通事故で右腕の肘から先の感覚以外を失った男の話。映像が無い分、肘から先以外で感じ取れる情報が無い、という状況は映画以上の臨場感があります。その恐怖感、絶望感はかなり強烈なものがありました。

    「傷」やさしい人ほど、この世の悪意の犠牲になる。アサトはその象徴のように思われ、心が痛々しくて辛い本作。

    「あまりに無垢だから、何度も人に裏切られ、傷ついて絶望するかもしれない。」「お前は大勢の人間の救いなんだ。」「お前がいつも優しくて、他人のことばかりを考えているということが、はるかに多くの人間を暗闇のような場所から救い上げるんだ。」

    現実的には、アサトのような優しい人は受難者になりがちで、辛い思いをすることが多いかな、と。本作はそうした人たちが読んだときに、少しだけ救われる気分になれるんじゃないかと思ったりしました。

    「手を握る泥棒の物語」押し入れの壁越しに、見知らぬ女と相対することになった泥棒。そのスリリングなやりとりから目を離せず。意外な再会にはちょっぴりニヤリとさせられました。

    「しあわせは子猫のかたち」これも「少し」「不思議」系なお話。住み始めた部屋に住まう幽霊とのやり取りは微笑ましく、それが終わってしまう際の寂しさは何とも言えない切なさがありました。

    「ボクの賢いパンツくん」なんじゃこりゃ(笑)って印象しかないですw こうしてみんな大人になっていくんですかね?

    「マリアの指」好きだった女の指をホルマリン漬けにするというシチュエーションが、中村文則氏の「遮光」を連想させます(本作の方が古いかもですが)。内容はそれとは全く異なり、その女が自殺した真相を解き明かすミステリちっくなお話。謎解きの場面は何とも言えない心地悪さが……

    各作品、キラリと光るモノがある佳作ぞろいで、かなり楽しめました。

  • 現代に沿いやすいテーマが多いので読みやすい。
    とんとんと展開も進むのでわかりやすい。
    が、「言葉で言い表されないデザインである。」って…それはどうなんだろう。
    そこを言い表すのが小説家なのでは。


    Calling You
    世にも奇妙な物語、的な感触。
    現代の女の子のやりとりを感受性豊かに描いてある。
    将来の自分、同じような状況の好きな相手にかかる電話。

    失はれる物語
    事故で右腕の人差指しか動かせなくなった男。
    ピアノの教師である妻は、その右腕でピアノを演奏する。
    しかし、だんだんと妻が追いつめられていることに気づく。
    そして、男が選んだ選択は、もう、指を動かさないこと、であった。


    傷を自分の体に移動させることのできる少年アサトと、アイロンを押し付けられた痕でけんかをし、特別学級に入ることになった少年。
    父親に傷を移そうとしてアサトはできず。
    全ての傷を負って死のうとするも、二人で「半分こ」をする。

    手を握る泥棒の物語
    腕時計デザインをする男は、経営難に苦しみ、伯母のネックレスや現金を盗みに入るが、盗みに入った先は伯母ではなく、芸能人の部屋であった…。

    しあわせは子猫の形
    幸村サキは、幽霊となってこの家に住んでいる。
    死んだ原因は強盗に入られたから。
    彼女のおかげで温かい気持ちを思い出す主人公が一興。

    パンツ君。
    コメントなし。笑

    マリアの指
    姉の友達が自殺した。
    その友達がひそかに好きだった主人公は、猫がその友達の指をくわえているのに気づく。
    その指から死の真相を突き止めていく。

  • 短編集。
    乙一の創る世界観にはいつも引き込まれます。

    失はれた物語は、他の短編とは違った趣向。

    個人的には、ミステリーっぽい、マリアの指が一番好きかな。

  • 妻がピアニストの話、あれが印象に残ってる。短編集だったよね?
    また読んでみよう。

  • 『しあわせは子猫のかたち』と『マリアの指』が好き。
    『しあわせは~』の方は泣いた。自然と涙が出てた。
    全体的にやっぱり乙一さんのは綺麗なグロやなぁ…と思いました。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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