政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書

著者 :
  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
4.01
  • (89)
  • (75)
  • (48)
  • (10)
  • (6)
本棚登録 : 732
感想 : 95
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315709

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 政府が発信する情報を鵜呑みにすることに警告を発している。

  • 政府や権力は嘘をつくもの。どうしても腑に落ちないニュースがあったら、金の流れをチェックしろ。アラブの春の真実。グローバリゼーション・TPPの恐ろしさ。堤さんの著書は面白くて読みやすい。201410

  • みなとLib

  • 政府は情報を偽ることがあるので、信じてはいけないという話。
    理由としては、ロビー活動などお金が背景にある。一部のお金持ちが自らに都合の良い方向にもっていこうとする危険性がある。
    非日常の出来事は大きく方向転換するには良いもので、9.11をきっかけにアメリカは愛国者法を4日で制定した。
    情報は自分自身で確かめなくてはいけない。
    アメリカの教育が学力志向で個性を伸ばさなくなり、自分でものを考えない人を育てるようになったと言っているが、これは日本と逆の傾向。
    インターネットをうまく利用すると、情報を作り出すことができ、情報を偽造する技術も向上している。
    何を根拠に日本政府を信じているのかと考えたが、そう考えると根拠がないと思った。

  • お金の流れは水の流れ。

    染み渡って大海に消えて行くものも、たどって行けば事実にありつく。

  • 情報をうのみにしてはいけない。国民は自分たちに頭で考えなくてはいけない。

  • 「ジャーナリストここにあり」といった内容。欧米および日本のメディアが流す情報が政府によって操作されていることを明らかにすることが、この本の主軸になっているが、その内容はアラブの春、カダフィ政権転覆、イラク戦争、TPP、福島原発事故に及ぶ。リビアやイラクを武力攻撃するために行われた情報操作に対しては戦慄を覚えるが、その背景には石油取引の決済方法という自国がつくりあげた国際システムをまもるためと、他国の資源に手を伸ばしたい多国籍企業の存在がある。IMFやISD条項といったルールをつくって他国を取り込むという手法も見えてくる。アメリカ自体がグローバリゼーションとコーポラティズムによって内部崩壊したとの指摘からは、多国籍企業による世界の支配が着実に進んでいるという恐ろしさを感じる。

    TPPに参加するには、全交渉国の同意とアメリカ議会の同意が必要というルールになっている。ISD条項によって提訴されると、裁判はアメリカの支配力が最も強い、世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターで行われる。判決は「投資家にとって実害があるかどうか」によって下される。米韓FTAでは、マスコミの外資規制も撤廃された。

    レーガン政権の前までは、テレビは大統領選の候補者を平等に映していたが、レーガン政権によってメディアの企業所有が解禁されたため、ニュース編集の情報操作が頻繁に起こるようになった。クリントン政権はさらなる規制緩和を行ったため、企業は製造拠点を海外に移転した。その結果、国内の労働組合が弱体化し、民主党は政治献金のスポンサーを失ったため、業界から政治献金を受けざるを得なくなった。

    アメリカは過去に何度も、市民運動という形で他国の政権を転覆させている。アラブの春についても、アメリカが事前にアラブの若者に対してSNSの技術指導をしていた(孫崎享)。セルビアのミロシェビッチを追い出すことに成功したオトポール革命では、アメリカは若い活動家たちにスプレー缶や選挙運動ステッカーを配給した。セルビアはその後、規制緩和と民営化によって市場開放され、ヨーロッパ最大規模の埋蔵量であった天然資源がアメリカの投資家と多国籍企業によって落札された。

    カダフィ政権下のリビアでは、税金はなく、教育や医療、電気代も無料で、住宅購入補助金もあった。NATO軍の爆撃に対しては、トリポリの人口の95%にあたる170万人が広場に集まって抗議した。ベンガジで政府軍によって多数の民間人が殺されたという証拠は、どこからも出ていない。リビアが標的になった理由は、大量に保有する金を原資にして、アフリカとアラブの統一通貨の発行を計画していたため。石油取引の決済が代われば、ドルやユーロの暴落は避けられない。イラクのフセインが攻撃されたのも、石油取引の決済をドルからユーロに変えたためだった。

    東京都が受け入れた東日本大震災のがれきについて、処理する業者を公募した際に付けた条件を満たす業者は、東京電力の子会社1社だけだった。東京電力に天下りした官僚の半数は東京都の出身で、東京都は東京電力の大株主でもある。

    アルゼンチンで2003年に選出されたキルチネル大統領は、IMFによる新自由主義の呪縛から抜け出ることを最優先課題とし、対外債務をデフォルトし、IMFによって民営化された企業と年金基金を再国有化した。これに続いてブラジルもIMFとの融資協定更新を拒否し、ベネズエラはIMFと世界銀行から脱退し、ニカラグアはIMFからの脱退交渉を開始した。

    多国籍企業は、市場にとって邪魔な国家の規制を次々に緩めていき、同じことをアメリカに対しても行った。アメリカはグローバリゼーションとコーポラティズムによって内部崩壊したモデル。

  • メディア情報を摂取する上で必要なのは、その情報そのものよりも発信源の組織なり個人がどういう存在なのか。一番分かりやすい参考資料はお金の流れを調べること。
    政府やメディアの言葉は決して真実ではないし、大衆が必要とする情報は隠蔽される。ただ情報に踊らされて批判したり攻撃したり不安になるのではなくて、自ら調べて考え行動することができるようにならなければいけない。そういう意味では勿論この本の情報もただ鵜呑みにするのではいけない。

  • 読む価値のある本だと思った。

    ショック・ドクトリンや1:99の関係性、資本主義の罪などが一貫していて理解しやすい。この本を読んで「読んだ」で終わらせず、この学びを今後の考える生活に使っていくことがもっとも必要だと感じた。

  • 知りたいことが書いてあってすっきり
    だが海外の専門家ばかりが引き合いにだされてて日本人専門家の率直な意見も載せて欲しかった

全95件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

堤未果の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
池井戸 潤
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×