バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫 い 1-4)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 1031
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048688192

感想・レビュー・書評

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  • “でもこれは話すべきなのか?ああ勿論、『僕』なんて実在しない……と思うぜ。これの真偽は内緒、ってことにしとこう。それで、『僕』のその後なんだが……例えば、推理小説ならこういうオチはどうだ?実は『僕』として描かれていた行動は全部、最後に描かれた『オレ』だった、とか。ほんとは大学で『オレ』が甲斐抄子と張り合い、小説家への道を歩む。つまり『僕』と対話していた『オレ』の行動と言葉は……みたいなさ。どう?
    あれ、でもそれだと『僕』だか『オレ』だかのその後を語ってるわけじゃないよな。おっと失敗。あーでも、そんなの決まってないんだよな。だから物好きな人が好き勝手に想像してくれ。それがきっと『僕』のその後になる、んじゃないか?まぁ、先のことは分からんね。
    分かる小説も面白くないし。よし、そろそろ切りがいいし、ここであとがきお終い。
    この本の一章をもう一度読み返したくなったら、オレの勝ちだ。じゃ、またな。”

    え?
    ええっと、これは、つまり、その、
    え?……ああ、そっか。
    自分なりの理解は下せるけどそれが正解かはわからない。
    だけど、つまるところは……ああ、駄目だ。うまく言い表せない。

    ちと引っかかるのは、『橘エイジ』と、『自称殺し屋の親戚のおにいちゃん』。
    これが出てくるところを、この物語内での現実世界と捉えると……。

    面白くて、混沌として、だけど不可解ではなくて。
    バカ最高。

    “僕が居酒屋の入り口になんの経緯もなく注目した直後。
    居酒屋の扉が力強く蹴り倒される音と、芯の一本通った伸びのある悲鳴が響き渡る。
    事件と不安と絶望と、ほんのちょっとの好奇心をくすぐる非日常の音。
    そして日常を覆う肌色が押し寄せる。
    『そいつ』は、
    『僕の前』に、
    『全裸』でやってきた。
    ……フルティンである。
    完全に直接的な言及は避けるけどティン丸出し。
    前も後ろも包み隠していなかった。
    びんぼっちゃまの全裸バージョンだ(それならだれでも裸です)。
    そんなやつが全力疾走で現れて居酒屋の入り口を蹴り飛ばして、飛びこんできた。
    ……ここ、昨日まで僕が住んでいた日本だよな?”

  • 最初の勢いのまま読み切ってまた読みたくなるような締め。おもしろかったー。

  • こういう方向の入間人間もかなりいいと思う。
    とりあえず、こういうのが好きだということはとても伝わった。

  • 今回もいい入間人間作品。
    私小説とも思える内容のある種の群像劇作品。
    とにかく全編が「小説」のことで埋め尽くされていて
    なんだか苦しいくらいにその切実な想いが伝わってくる。
    息苦しいよ。その息苦しさは好ましい苦しさだけど。
    きっと20代で読んでいたら、自分ももっと近い感情の温度で
    のめり込んで、もっと気持ちを動かされたかもしれない。
    言葉、語感、単語、語呂の多様を極力排除したまさに
    「全裸」の作品なのかもしれないですね。

    今、このタイミングで今作が出ることに今後の入間人間氏の
    作品がどうなるのか期待値アップ。これでハードル上がって
    しまってますよーw。

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著者プロフィール

電撃文庫『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『電波女と青春男』シリーズなどを執筆

「2023年 『安達としまむら(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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