ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2014年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048691895
感想・レビュー・書評
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今回は太宰治についてのトリビアが多い作品となっている。太宰治について研究している人たちが多いであろうことを想像させるストーリーになっている。
主人公たちのルーツも徐々に明らかになってきているが、古書への想いは血縁と関係があるのだろうか?
そろそろシリーズが完結に向かっているらしい。丁度良い頃合いかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太宰治の本の謎解きに迫る。店長の栞子とアルバイトの五浦大輔のシリーズ6作目。
このシリーズも、栞子の母親が登場した辺りから話がシリアスになってきた気がします。二人の関係がどんどん、近づいていくのは嬉しいですが。
今回は、太宰治の作品、晩年を中心に本の謎解きを進めます。話の中で太宰治に関する逸話が登場しますが、何かを作ったり為す上でベースとなる体験が必ずしも喜から来るものとは限らない。むしろ、人の死や挫折から来る方が名作には多い気がします。常に、前向きな人も悪くないけど、こう言う酸いも甘いも経験して、そうである人の方が好きですね。
話の方は栞子のお祖父さんの話が出てきたりと、家族のルーツも明らかになっていきます。栞子の母親へは、特に怖さを感じてしまいました。
このシリーズも後1、2作で見納め。 -
まるまる太宰編
「軟弱とか女々しいといった批判に晒されてきました・・・若い頃はいいけど、大人が愛読するのは恥ずかしいというような」ってあるけど、そうかそういう見方もあるのか・・ 男性と女性でもまた見解が別れるのかなぁ
う〜ん 妹の文香ちゃん、いまは味方キャラだけど実はダークサイド側で・・ で母の智恵子は実は味方なんてオチが ないようによろしくお願いします。 -
このシリーズには震撼させられてしまう。
繋がりなどなかったはずの栞子と大輔。幾度となくもつれては、栞子の明晰な頭脳で解きほぐされたかのように見える謎…人をとらえて放さぬ強い思念や、年を経て明かされる深い情念の綾の中で、二人はその祖父の代からの因縁に絡めとられた者同士…逃れられない必然の邂逅ではなかったかとさえ思わせる、濃密な繋がりに支配されていた。
作者の三上延氏の綿密な取材とここまでの集中力には並々ならぬものを感じる。第1作に始まった古書をめぐる因縁は、今なおその全貌を明らかにしないどころか、その陰翳を恐ろしく濃密なものへと深めてきた。
次か、その次でビブリアは完結すると三上氏は言う。見届けずにはいられない。
願うはただ一つ。大輔のまっすぐな想いと正しい行いが、栞子を血の呪縛から救い出してくれること。二人の幸せと明るい前途をどうしてもこの目で見たい。
このシリーズはテレビドラマにもなったし、装丁もアニメ調の流行りの表紙絵だったりするが、それだけで手に取るべき小説ではないことを、まだ読んでいない方には伝えさせてください。
多くの弾圧や悲運にさらされながらも生き続けてきた活字文化…書物の持つ底知れぬ力に畏敬の念を忘れてはならない…その対極においては、その魔的な魅力に憑かれ、人の世の業に身と心を灼きつくされてしまってはならない。
書物畏るべし。
侮るべからず、囚われるべからず。
ただ清純に、正しい心で愛すべし。
読み始めた頃には思いもしなかったほどの強さで、私は活字の文化を…本を守りたい。守らねばならないと感じています。
作者の意図するところからは乖離しているかもしれませんが、私はこのシリーズに少なからず触発されました。 -
もしかしたら、このシリーズは太宰に始まり太宰に終わるのかな?
実は私個人は太宰はリタイヤしているので、こんな作品もあるのかとあまりピンとこなくて……。
私も古書が好きだし、集めているものもあるけれど、この本を読んでいると狂信的な収集家は怖いと思う。(自分の中にそう言った部分があることがわかっているだけにね) -
面白かった!古書的な価値とその本にまつわるビブリアシリーズの中でのキャラクターの人間関係より、実際の作品とか作家を語ってくれるのが好きだから今回の巻楽しかった。あと1巻か2巻でシリーズ終わるみたいだけど、ほかの作家さんにもこういうの書いていただきたいなーーー、と思う。
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ラブラブファイヤー(笑) 今作は太宰の稀覯本をめぐる物語。太宰の知識が無くても楽しく読めました。後半は手に汗握る展開。次か、その次の巻でシリーズは終わるとのこと。残念ですが、最後まで楽しみたいと思います。
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読み終わって、「栞子さんと巡るさだめ」というサブタイトルにめちゃくちゃ納得。あと一巻か二巻で完結するそうですが、どう着地するのでしょうか。
今回取り上げられたのは太宰治。「晩年」の珍本を探して欲しいと因縁ある人物から依頼を受けた栞子さん。「晩年」の謎は大輔と栞子、それぞれの祖父母の過去とも繋がっていき・・・。
相変わらずミステリーとしても読ませどころ満載でした。 -
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しろさん
ご無沙汰しています。
本棚へのコメント、ありがとうございます。
久しぶりにブクログを開いたら、しろさんのコメントにびっく...しろさん
ご無沙汰しています。
本棚へのコメント、ありがとうございます。
久しぶりにブクログを開いたら、しろさんのコメントにびっくり。
あわててコンテストのページにとんでみたら、しろさんも入賞で二度びっくり。
おめでとうございます!!
実は「ビブリア」5巻6巻はまだ読んでないので読んでみますね(なので、しろさんのレビューもまだ読まずに我慢)。
最近、読書もブクログレビューも滞りがちなので、これを機にぼちぼち復活します。
これからもよろしくお願いします。
2015/01/19
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一冊まるまる太宰治関係の話。
太宰の稀覯本をめぐって五浦家、篠川家、田中家の人たちが繋がっていて…
勉強もせずに読んでしまった…(´・_・`) -
今回のは、ハラハラする場面や複雑に色々な事が絡まってきて、読み返す所もありながらも最後まで一気に駆け足で読み終わり、読み終わったあとも満足感でいっぱいでした!
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良い
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うーん、クライマックスに近づいてる感じがする。
正直ミステリーは自分で解こうなんて微塵も思ってないから、登場人物によって解かれていく様を見るのが好きで読んでるんだけど、入り組んでいけば行くほど話についていけなくて、訳わかんなくなってくる。
とにかくビブリア古書堂が終わりそうな気配だけは感じる。とか言って、もう終わってることも、続編やスピンオフなんかも出てることは知ってる。
ブックオフの中古本しかイメージが無かったけど、古書ってそんなに凄いものなんだなぁ、そんな世界があるのか、なんて新たな発見にはなった。
前回のあとがきでビブリア古書堂を書くに至ってどんどん本が増える、と書いてあったけど、こんなに実在する本がバンバン出てくるならそれもしかたがないよなぁ、なんて妙に納得した。 -
岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00584062
太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。
違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。
本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それには二人の祖父母が関わっていた。
過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か?(出版社HPより) -
なぜ大輔は怪我をしているのか?それに関わった事件を解決していくお話し。
太宰治の「晩年」がまた出できたので栞子にも危険が迫るのではと心配にもなりました。
お話しの始めの頃に、紙で指示を出している所や随所に伏線があり、ミステリーとしても、大輔と栞子の二人の関係にも楽しめるお話しでした。
このシリーズは読み進めていく程に面白くなっていくなと感じましたが、昔の登場人物が出てくるので、自分の記憶力のなさに呆れてしまう感情も出てきて、読んでいて、良いのか…悪いのか…複雑な気持ちです。 -
これまでは、日常のミステリーに近かったが、前回に田中敏雄が出てきたかと思わせた時から、日常に収まらない本格的なミステリーな感じになった。今までよりもずっとドキドキして、先が気になる展開となっていて面白い。栞子の母親の背景についても少しずつ分かってきて、より興味をそそるものになっている。
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6巻、大変面白かった!
最後の方まで全然犯人がわからなくてドキドキしながら読み進められた。
物語はやや複雑な動きをするので、何度も前を見返したけど。
本が好きな所以、本の中に出てくる本というのはかなりの大好物。
ビブリア古書堂シリーズはどの作品にも必ず古書が絡んでくるので、自然、近代文学周辺の作品が出てくる。
私は日本文学に関してはだいぶ不勉強で、でも興味はあるので、とっても良いガイドブックにもなっている。
ところで個人的には栞子さんと五浦くんの恋愛模様は不要なんだよなぁ…ミステリにドキドキしてる最中に恥ずかしいドキドキ描写は要らんのよ…あとこの本を手に取るときに引っかかるのはこのターゲット不明な表紙の絵…あと目の裏にチラつくランチパック(剛力彩芽)…キャスティングって切実に大事。
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ストーリーとしてはいろいろと展開があった巻ですが、"軟弱とか女々しいといった批判に晒されてきました……" の太宰をちゃんと読んでいないな、と思いましたし、その後に「セレクトブック」で『道化の華』を読んで、やっぱり面倒だな、、と思いましたが、よいきっかけになりました。
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太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それには二人の祖父母が関わっていた。過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か?
(2014年)
— 目次 —
プロローグ
第一章 『走れメロス』
第二章 『駆込み訴え』
第三章 『晩年』
エピローグ
参考文献(敬称略)
あとがき -
6巻も内容はいつも通りおもしろかった。ただ、この巻ではかなり多くのキャラクターが出てくるので、誰がどういうキャラだったのかを読んでる途中に忘れてしまったりすることが多かった。ビブリアやその他の読んでみたい本を読み終わった後にまだ気力があれば、もう一度読み直してみようと思う。太宰治に関する知識が豊富に詰まっていたのは良かった。
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本の紹介とエピソードを読むものだと割り切れば読めないことはない。
話自体はマンネリの極みな上に複雑化の一途を辿っているのでおすすめはしない。 -
第六巻になると題材の書籍の所在よりも二人の行方の方が気になる。
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作者さん曰わく、『ビブリア』シリーズは次かその次の巻で完結となるそうです。もう少し続けていただきたいというのが本音。栞子さんと大輔さんの関係も進展し、色々な関係性が明らかになりつつあるのでラストの雰囲気が漂い始めているのは分かるのですけれど。
さて今回、1巻でも出てきた太宰治さんの『晩年』がまた重要になっております。最後のあの人の理由、確かにその気持ち分かります。が、それは勿体無いと思うのです。本は読まれてこそ、かもしれないですけれども。
お母さまの智恵子さん、彼女は何をお考えなのでしょう。不思議な方。 -
読んだ〜とても惹きこまれた
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太宰治の「晩年」の2種類の初版本をめぐり、栞子さんと大輔にまつわる人の過去が明らかになる。古書を手に入れるためにあらゆる手を使う人が誰なのかがわかったときに、登場人物の繋がりの複雑さがまた露見する。次の巻ではどんな結末が待っているのか楽しみだ。
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太宰の「晩年」再び。
古書を巡る物語は祖父母の時代から続いていた。
紙にでも書かないと人間関係がよくわからなくなってくる。
現実でも身勝手な理由で他人を傷つけても平気な人や謝れない人が増えた気がする。
いつでも心を占めるのは自分のことばかり。相手にも心があると言うのに。
暗い気持ちの時、せめて本の中では心温まりたい。 -
太宰治はやはり好い、と思わせる一冊だった。
淀野隆三の名前が出てきたので驚いた。
「走れメロス」の元となった一件、作中では師・井伏鱒二のところからなかなか帰ってこない太宰を檀が見に行ったところまでしか本書には書かれていない。が、その後金を借りたいと井伏に言ったが、井伏も金が足りず、師・佐藤春夫の元へ行くがこれも金が足りず、結局複数人から金を借りて宿代を返したーーその中に淀野もいたと記憶している。
年代としては太宰の先輩に当たるはず、いや、淀野は仏文翻訳をしていたから、帝大仏文科の太宰にとってまさに先輩だったのであろうと思う。
淀野は文学者でなく翻訳家であり、梶井基次郎の全集を生涯にわたり刊行し続けた出版者・編纂者であるから、淀野の書いた文章をまとめた本というものがない(はずである)。淀野が書いた『晩年』についねの随筆、ぜひ全部を読んでみたいと思った。