ヴィクトリア朝が教えてくれる英国の魅力 (読んで旅する地球の歩き方)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784058015445

作品紹介・あらすじ

ヴィクトリア女王、シャーロック・ホームズ、ウィリアム・モリス、アフタヌーンティー。英国の魅力満載のヴィクトリア朝案内。※本書は、2019年9月4日にダイヤモンド社で発売されたものを、学研プラスが引き継いで販売しています。

感想・レビュー・書評

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  • ヴィクトリア朝は、ヴィクトリア女王が即位した1837年から崩御する1901年までを指す。産業革命が最盛期を迎え、イギリスが世界に対して一番影響力を持っていた時代である。
    本書では、10のキーワード(ヴィクトリア女王、ウィリアム・モリス、シャーロック・ホームズ、ビートン夫人、コックニー、建築、アフタヌーンティー、食、シェリー酒、ヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアム)から、ヴィクトリア朝の魅力を伝える。

    私が特に興味を持ったのは「ビートン夫人」「コックニー」「アフタヌーンティー」。
    「ビートン夫人」は、中産階級向けの家政本を書いたカリスマ主婦で、イギリスでは現在でもこの本をベースにした家事の本が多く出版されているという。インテリアからウェディングパーティの内容、使用人の統率まで、さまざまな家事の手法が書かれていて、当時の中産階級の暮らしぶりを垣間見ることができそうだ。
    「コックニー」は、ロンドンの下町に住む労働者階級を指す言葉で、独特のスラングを発達させたため、上流階級の人たちには会話が理解できないほどだったのだという。単に嘲笑される対象としてだけでなく、頓智のきいたスラングで上流階級の人たちを煙に巻き、自分たちの立場に矜持を持っているのがよい。
    「アフタヌーンティー」は日本でもおなじみの文化だが、もとはガス灯の発達で夕食時間が遅くなり、空腹を癒すために始められたのが起源なのだそう。イギリスといえばアフタヌーンティー、というイメージだったので、意外と歴史が新しいのに驚いた。

    ページ数の制限からか、本書には写真が少なく、各キーワードの説明も簡略化しすぎているきらいはあるが、複数の切り口から一つの時代を理解するという構成は面白いし、おぼろげながら時代の雰囲気を味わえたように思う。
    限られた時代の話ではあるが、イギリスの入門書としておすすめである。

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著者プロフィール

君塚 直隆(きみづか・なおたか):1967年、東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒業。英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・コレッジ留学。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了。博士(史学)。専攻はイギリス政治外交史、ヨーロッパ国際政治史。現在、関東学院大学国際文化学部教授。著書に『ヴィクトリア女王』『立憲君主制の現在』『ヨーロッパ近代史』『エリザベス女王』『女王陛下の影法師』『貴族とは何か』など多数。

「2024年 『君主制とはなんだろうか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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