クトゥル-怪異録: 邪神ホラ-傑作集 (学研M文庫 H き 1-1)
- 学研プラス (2000年9月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784059000075
作品紹介・あらすじ
邪神族と人類の壮絶な戦いを描く"クトゥルー神話体系"は、偉大なる創造主ラヴクラフトの死後も、世界中の作家達により今なお書き継がれている。本書は、ホラー、ミステリー、SF、映画界の精鋭たちが腕を競う、史上初の日本人作家によるクトゥルー神話作品集である。巻末に、菊地秀行・佐野史郎のクトゥルー神話対談を収録。
感想・レビュー・書評
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2015年1月20日読了。94年に編纂された日本の作家によるクトゥルフ神話関連のアンソロジー。記録にある限り日本で最古のクトゥルフものという高木彬光の「邪教の神」などを収録。俳優佐野史郎による短編も収録されているが、彼が主演したインスマスのドラマを昔TVで見たことを思い出した、懐かしい。いわくありげな神々・怪物にガジェット集といかようにも解釈できて誰でも参加しやすい雰囲気がクトゥルフ神話の最大の魅力なのだな、と再認識。作品の中では菊池秀行の短編が短いが密度・恐怖感などが出色の出来と感じた。
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クトゥルフ神話をモチーフとするホラーあるいは
ミステリ短編のアンソロジー、文庫版。
執筆者が各々とても楽しんで書いていたに違いない、
そんな様子が目に浮かぶ、愛好家のためのコレクション。
収録作は……
佐野史郎「曇天の穴」
小中千昭「蔭洲升を覆う影」
高木彬光「邪教の神」
山田正紀「銀の弾丸」
菊地秀行「出づるもの」
友成純一「地の底の哄笑」
ぎこちない筆致(失礼!)ながらも
ランドルフ・カーターを登場させたヘンテコなホラー
「曇天の穴」と、
脚本家がドラマ制作後に自らノベライズした
「蔭洲升(インスマス)を覆う影」が、
なんといっても面白い。
「地の底の哄笑」はラヴクラフト「ダンウィッチの怪」と
クラーク・アシュトン・スミス「ヨー・ヴォムビスの地下墓地」の
ハイブリッドのように感じられた。
佐野史郎×菊地秀行両氏の対談も興味深い。
※例によって後でもう少し細かい話をブログに書きます。
https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/ -
曇天の穴 佐野史郎
学習研究社「クトゥルー怪異録」 1994年8月
蔭州升を覆う影 小中千昭
TBS「インスマスを覆う影」 1992年8月25日放送
邪教の神 高木彬光
小説公園 1956年2月、3月
銀の弾丸 山田正紀
小説現代 1977年4月
出づるもの 菊地秀行
恐怖省 第3号 1984年
地の底の哄笑 友成純一
小説CLUB 1994年8月臨時増刊号
対談 菊地秀行 佐野史郎
ラヴクラフトに魅せられて -
久々の『クトゥルー』。日本人作家のみなので読みやすいこと読みやすいこと。いずれも「っぽさ」は感じられた。
面白かったのは『銀の弾丸』『出づるもの』。前者は設定が、後者は演出が良い。あかんかったのは『地の底の哄笑』。いや、行こうよ地の底に。 -
小説
図書館 -
1994年、学研ホラーノベルズから刊行された日本人作家による初のクトゥルー神話小説アンソロジー『クトゥルー怪異録』の文庫版。1992年にTBSスペシャルドラマ『インスマスを覆う影』の脚本を担当した小中千明による初の同ドラマのノベライズ版をはじめ、同作主演の俳優であり怪奇小説マニアでもある佐野史郎の処女作『曇天の穴』、高木彬光、山田正記、菊池秀行といったビッグネームによる短編が収録されるというクトゥルー神話、怪奇小説ファンにとっては非常に贅沢な一冊である。
怪異神話譚の日本版としても貴重であり、是非再版を求めて止まない。 -
クトゥルー神話そのものには疎いので、あくまでホラーとしての感想だけど、アンソロジーとしてはよくまとまっている印象。
やや論理的すぎて、不可解な部分は少なく感じる。
余談だが、色仕掛けを好む身としては、山田正紀氏の銀の弾丸はどストレートだった。高く評価したい。