クトゥル-怪異録: 邪神ホラ-傑作集 (学研M文庫 H き 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784059000075

作品紹介・あらすじ

邪神族と人類の壮絶な戦いを描く"クトゥルー神話体系"は、偉大なる創造主ラヴクラフトの死後も、世界中の作家達により今なお書き継がれている。本書は、ホラー、ミステリー、SF、映画界の精鋭たちが腕を競う、史上初の日本人作家によるクトゥルー神話作品集である。巻末に、菊地秀行・佐野史郎のクトゥルー神話対談を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年1月20日読了。94年に編纂された日本の作家によるクトゥルフ神話関連のアンソロジー。記録にある限り日本で最古のクトゥルフものという高木彬光の「邪教の神」などを収録。俳優佐野史郎による短編も収録されているが、彼が主演したインスマスのドラマを昔TVで見たことを思い出した、懐かしい。いわくありげな神々・怪物にガジェット集といかようにも解釈できて誰でも参加しやすい雰囲気がクトゥルフ神話の最大の魅力なのだな、と再認識。作品の中では菊池秀行の短編が短いが密度・恐怖感などが出色の出来と感じた。

  • クトゥルフ神話をモチーフとするホラーあるいは
    ミステリ短編のアンソロジー、文庫版。
    執筆者が各々とても楽しんで書いていたに違いない、
    そんな様子が目に浮かぶ、愛好家のためのコレクション。

    収録作は……
     佐野史郎「曇天の穴」
     小中千昭「蔭洲升を覆う影」
     高木彬光「邪教の神」
     山田正紀「銀の弾丸」
     菊地秀行「出づるもの」
     友成純一「地の底の哄笑」

    ぎこちない筆致(失礼!)ながらも
    ランドルフ・カーターを登場させたヘンテコなホラー
    「曇天の穴」と、
    脚本家がドラマ制作後に自らノベライズした
    「蔭洲升(インスマス)を覆う影」が、
    なんといっても面白い。
    「地の底の哄笑」はラヴクラフト「ダンウィッチの怪」と
    クラーク・アシュトン・スミス「ヨー・ヴォムビスの地下墓地」の
    ハイブリッドのように感じられた。

    佐野史郎×菊地秀行両氏の対談も興味深い。

    ※例によって後でもう少し細かい話をブログに書きます。
    https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/

  • 曇天の穴 佐野史郎
    学習研究社「クトゥルー怪異録」 1994年8月

    蔭州升を覆う影 小中千昭
    TBS「インスマスを覆う影」 1992年8月25日放送

    邪教の神 高木彬光
    小説公園 1956年2月、3月

    銀の弾丸 山田正紀
    小説現代 1977年4月

    出づるもの 菊地秀行
    恐怖省 第3号 1984年

    地の底の哄笑 友成純一
    小説CLUB 1994年8月臨時増刊号

    対談 菊地秀行 佐野史郎
    ラヴクラフトに魅せられて

  • 「蔭洲升を覆う影」視聴済み

  • 再読。

    どれも王道クトゥルー物で満足です。どれも程よい長さですっきり読めました。

    佐野史郎作品、幻想度がやや強めで雰囲気抜群。
    小中千昭作品、伝説のTVドラマの小説版できっちり読ませてくれます。
    高木彬光作品、異色の推理もの。この作者さんはこうゆうのも書いてたんだなぁ。
    山田正紀作品、これはシリーズ物で読みたい。いや、短編だからこそのこのオチか。
    菊地秀行作品、こうゆうのが読みたいのですよ。オチも最高です。
    友成純一作品、怒涛のスプラッター、クライマックスは定番。

    巻末の菊池氏と佐野氏の対談は楽しさが十分伝わってきて微笑ましい。話に出ていた企画はいつかどこかで実現しないものだろうか。本当に見てみたい。

    最近の作者さん達でもこの手のアンソロジーを編んでもらいたいな。

  • 久々の『クトゥルー』。日本人作家のみなので読みやすいこと読みやすいこと。いずれも「っぽさ」は感じられた。
    面白かったのは『銀の弾丸』『出づるもの』。前者は設定が、後者は演出が良い。あかんかったのは『地の底の哄笑』。いや、行こうよ地の底に。

  • 小説
    図書館

  • 1994年、学研ホラーノベルズから刊行された日本人作家による初のクトゥルー神話小説アンソロジー『クトゥルー怪異録』の文庫版。1992年にTBSスペシャルドラマ『インスマスを覆う影』の脚本を担当した小中千明による初の同ドラマのノベライズ版をはじめ、同作主演の俳優であり怪奇小説マニアでもある佐野史郎の処女作『曇天の穴』、高木彬光、山田正記、菊池秀行といったビッグネームによる短編が収録されるというクトゥルー神話、怪奇小説ファンにとっては非常に贅沢な一冊である。
    怪異神話譚の日本版としても貴重であり、是非再版を求めて止まない。

  •  クトゥルー神話そのものには疎いので、あくまでホラーとしての感想だけど、アンソロジーとしてはよくまとまっている印象。
     やや論理的すぎて、不可解な部分は少なく感じる。

     余談だが、色仕掛けを好む身としては、山田正紀氏の銀の弾丸はどストレートだった。高く評価したい。

  • えっ、書影ないの?
    なんか笑った。

    それはさておき、以下個別感想。

    「曇天の穴」
    幻想文学っぽい。作者の好きな要素やワードを思うままに積み込んだ一品。クトゥルフ神話が好き、という気持ちは伝わってくる。が面白さは中途半端。

    「蔭洲升を覆う影」
    和製インスマス。漁師町の魚臭さが文面から伝わってきた。

    「邪教の神」
    人間が一番怖いよね、というミステリ。

    「銀の弾丸」
    クトゥルフ神話の邪神から人知れず世界を守る組織の活躍。暗躍とも言う。

    「出づるもの」
    占い師の災難。

    「地の底の哄笑」
    これはいいクトゥルフ。実に名状しがたい。
    福岡県飯塚市が舞台。実に想像しやすい笑。実在の場所が舞台になると得体の知れない緊張感が出て良かった。

    「対談」
    クトゥルフの映像化の難しさについてなど。

    総評。
    朝松健氏の「闇に輝くもの」が収録されなかったのは残念である。

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著者プロフィール

1949年千葉県生まれ。青山学院大学卒業後、雑誌記者を経て82年『魔界都市〈新宿〉』でデビュー。以後、20年以上にわたりエンターテインメント小説界を牽引し続け、著作は300冊を超える。著書に『吸血鬼ハンター“D”』『魔界都市ブルース』『妖獣都市』等多数。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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