- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061155053
感想・レビュー・書評
-
学生のときに読んで本の内容にそんなものかと納得したが、働き始めてから本で言っていたことが実感できた
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初版は昭和42年、東京オリンピックが終わって数年経過した頃。図書館で借りたのだが、なんと平成元年で80刷となっていた。流石のロングセラー。
タイトルと目次を見ても内容が想像できず、恐々読み始めた。まだ3章を読んでいるところなのだが、面白いかもしれない。一般人向けに平易に書かれているのに、理論的であり、ぶれることがない。
読み終わった。
日本人として生きてきた経験より頷くことしきりであり、約50年経っても本質は変わらないのだと感じた。著者は「日本人の特質」ではなく、「単一社会の理論」だという立場であるので、当然かもしれない。本書の主張は、まったく驚くほど的を射ている。新しい見識を得たわくわく感ではなく、社会を見る適切な定規の教示を受けたという意味で、本書に対する評価は高い。
たとえばヨコ=資格での繋がりは身の回りを見ると、本当にない。学生時代の友人だって、「場」の繋がりだ。卒業後も親しみを感じていたとしても、それは付き合いを続けていた場合、つまり「場」を設けていた場合であり、会うことがなくなれば親しみは薄れる。「疎遠になる」という言葉が、そのものを表現している。数年単位ならまだしも、何十年も会っておらず、再会した日に一気に時を越えることはあり得ない。ぎこちなさ、噛み合わない感じ、どことなく感じるずれがあるはずだ。
上司におもねる、「ウチの会社」意識(会社単位で感じるものであり、会社内での職業は気にされない)、論理的ではない感情の赴くままの会話等、身に覚えがあることばかりだった。
単一社会である日本社会を渡っていくにあたり、本書の教示は重要な指針になるだろう。仲良くしたけりゃ、「場」を共有しろってことだね。 -
日本の社会の特性をついている。
日本は、自分の資格よりも自分の会社を自慢する。
自分の意見を言わないと生き残れない。 -
この本を読むのは初めてです。もちろん、その存在は知っていました。しかし、読む気にはなりませんでした。この本を読むきっかけは、Harvard Business Reviewに掲載された中根先生へのインタビューに興味をもったからです。非常に興味深い著作でした。また、読みやすい文章でした。日本と西欧の組織の相違を「資格」、「場」をキーワードにして、説明しています。西欧は、「資格」に帰属します。たとえば、「大工」、「インテリ」、「銀行員」等です。それに対して、日本は、「場」に属します。たとえば、「三井物産」、「大蔵省」等です。僕の実感とあっているのですが、疑問も残ります。日本でも、「場」を重視する組織がほとんどですが、「資格」を重視せざる得ない組織も存在するはずです。そのような組織でも、日本的特質が現れるのでしょうか。また、戦前の企業に関する著者の認識は、明らかに間違っています。
-
なんか、山川出版の歴史教科書と同じくらい、書いてる事が頭に入ってこなかった。
「ウチの者」「ヨソ者」についてもっと書いてほしかった。
「能力平等主義と序列偏重は相関関係にある」とか、「本当に能力主義が実行されているとすれば、序列意識は後退しなければならないはずである」とか、「実力主義=序列の否定」といった事が何度も書かれて違和感を感じたが、「実力の高低による序列」について言及がないのがその違和感の原因だろう。
日本では表現に対する評価(書評など)が人間関係によって決まる傾向があるというのは、実感を伴って理解できるものだった。
共同体の「ソト/ウチ」に関する話と、共同体内の構成員の能力の高低によるヒエラルキーの両方について書かれた本があればいいのになぁ、と思いました。 -
次回の講読会は9月8日です
-
西欧などと比較しながら日本のタテ社会の組織構造を分析した作品。
歴史や過去の背景に基づく分析は、一つずつ丁寧な論理の積み重ねており、感心する。
特に納得がいったのは、日本の組織は論理よりも感情を優先させているというところ。本書は日本型組織に身を置くものがどう振舞えがいいのかを教えてくれる。
140208再読
気になったワードが「単一性」。多様性という言葉が流行する今日、逆を意味する言葉を考えもしなかった。
日本人だから…という考えに汲みせず、日本に存在するある条件を設定すれば、他国でも似たような社会構造が出来るのではという問題意識は参考になった。当たり前と思われるものに切り込んでいく姿勢は、大前氏のいう戦略家のものと同様。
日本は、単一性があったからこそ数回にわたる復活を遂げられたのかもしれない。日本の強味が機能しにくいのが現代なのかもしれない。 -
本書は日本社会の人間関係の考え方、日本的社会構造について述べられています。
初版は1967年ですが、全く違和感がありません。
私は僅かな期間ですが中国出張を経験しており、中国人の人間関係の在り方や組織に対する姿勢など間近で見てきました。
それからといもの、周りに対して感じてきた疎外感・違和感・閉塞感・・・など常に感じていたのですが、本書を読んで納得できました。
ある組織(会社でも、地域のコミュニティー等)に所属し、私と同じように感じていいる人にお薦めしたい本です。 -
人間関係に悩むことが多い毎日だが、この本を読んで少しすっきりした。
日本では、タテの序列による関係でできており、個人の能力よりも所属している集団によって評価が決まる。
日本人は人間との関係に依存している。日本で転職があまり盛んではないのは人間関係という財産を失うことに大きなリスクを感じるからだ。そして、個々の関係は論理ではなく感情でつながっている。感情が共有できなくなると、関係も自然と破綻する。
私が社会から孤立しやすいのは、他者との感情の共有が下手だからであろう。論理的に話そうと心がけているが、そのことがかえって孤立を生む状況に陥らせているのかもしれない。
会話では愛想笑いの1つもしなくてはいけないが、つまらない話はやはりつまらないんだよなあ。 -
日本論の古典。
格差論とか貧困問題とかを読みあさっていたら,よく引用されていたので,今更ながら読んでみたが,確かにこれは古典だ。
全然古くない。
今読んでも,日本社会の在り方を理解するのに非常に役に立つ視点が明解に示されている。
そして,古典なのに読みやすい。
凄いなあ・・・。