主君「押込」の構造―近世大名と家臣団 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597853

作品紹介・あらすじ

「御身持宜しからず御慎しみあるべし」-主君の悪政・不行跡に対して家臣団が執る最後の手段「押込」。君臣間の上下秩序が絶対の近世武家社会において、遊蕩・大酒あるいは専制に走る主君は、家臣にとって憂慮すべき存在であった。御家の永遠性への忠義からなされる主君強制隠居の内談、実行、幕府側の処置の論理など、主君廃立の隠された慣行を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の半ば以降の政治家の頭の中って、けっこう現在までつながってる感じがした。読むの大変だったけども面白かった。

  • 江戸時代の大名は、専制君主ではなく、家臣団をないがしろにすると、家臣団によって幽閉、蟄居などというハメになることがあった、という話。真面目な歴史書。
    「フォトリーディング」した。

  • 「愛国・民主・革命」に出てきて面白そうだったので。

    「押込」と聞いて何を思い浮かべるだろう?
    「押込み強盗」なんて物騒な言葉もある。
    しかし、私が思い浮かべたのは、
    親戚の子供たちが、法事で田舎の大きな家に集まり、
    使われていない押し入れで遊んでいるうちに、
    無理やり押し込められた子が泣き出し、
    それぞれの親に怒られる、そんな昭和の光景だ。
    それゆえ、「押込」と聞いて、くすっと笑ってしまった。

    実際には、
    主君の「押込」には、暗殺の懸念が伴う場合もあったらしいし、
    「押込」から復活した主君に復讐されて命を絶たれることもあったようだが、
    西洋の近世が、
    ルネサンス、宗教革命から産業革命までの血なまぐさい時代だったのに対して、
    家老他の合議で、家のためにならない主君の隠居を迫る「押込」の、なんとのどかなこと。
    さすが、鬼をも福と成す国、日本。

    前半は、
    家老が言うこときかないから、後継ぎもいないのに隠居すると脅かす殿様やら、
    藩主に反意を示すために正月の儀式を一斉に欠席する藩士やら、
    面白い話が満載だった。

    後半はちょっと難しくなってしまったが、
    まじめに読む人には面白いと思う。

  • さすが名著。とても面白い。

    主君「押込」は、追い詰められた家臣のクーデータではなく、近世国制のなかできっちりと位置づけられた正当な行為だったという。

    それから、武士のアイデンティティは主君への絶対的忠誠でなく、個の確立にあった(山崎派だけは除く)というくだりも、武士のイメージが変わって面白かった。はたして、これは「武士道」の精神を現代の日本人のあるべき姿として理想するような論法を、すでにこの時点で喝破していたのかもしれない。

  • これは面白い!超おすすめ!!

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター名誉教授、大阪学院大学法学部教授。博士(文学)(京都大学)。専攻は日本近世史・武家社会論。主な著書に『主君「押込」の構造』(平凡社)、『士(サムライ)の思想―日本型組織・強さの構造』(日本経済新聞社)、『武士道の精神史』(ちくま書房)、編著に『徳川社会と日本の近代化』(思文閣出版)、『徳川家康─その政治と文化・芸能』(宮帯出版社)ほか多数。

「2020年 『信長の自己神格化と本能寺の変』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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