メルカトルかく語りき (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061827783

感想・レビュー・書評

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  •  メルカトルという名の一風変わった名探偵が主人公のミステリ短編5編。
     単純に事件を解明するではなく、自己中心的で自信過剰なメルカトルが、自分の推理と名声を最優先させるために行う、証拠隠滅や強引な解釈が読みどころ。
     長編での大どんでんがえしが有名な著者だが、短編になると、もはやミステリを読んでいるというよりも思考実験に付き合わされている気がして、どれも納得がいかなかった。

  • 麻耶先生がデビューしてすでに20年。一作目から一貫して本格ミステリの枠組みをぶち壊すような作品を生み続ける姿勢には、もうファンとして頭が上がらない。願わくば、もう少しペースを上げて欲しい気もするけれど。

    本作に収録されている5つの短編は、どれも「犯人が特定されない」という点で共通している。もっとも前半の作品は、単純にデータが足りず、犯人が特定できないというもの。しかし作品を追うごとに不合理さが加速していき、「密室荘」に至ってはもはや論理的に破綻しているように思える。

    本作品集の白眉は何と言っても「答えのない絵本」。精緻なロジックを大胆に詰め込んだ先に待っている結末は、本格マニアであればあるほど呆然とさせられるはず。

    一般読者には到底薦められない、というか投げ出されそうな作品ばかりだけれど、本格マニアにとっては刺激的で堪らない作品ばかり。これぞ麻耶 雄嵩と言うべき、問題作揃いの傑作。

  • 良いから早くその部屋を出ろ、と読みながら思っていた『九州旅行』と、犯人が明かされているものの良く読むと大分投げ遣りな『収束』が好み。
    性格が悪く正義感の無い2人の掛け合いが楽しいけど、ミステリに解決するスッキリ感を求める人には決してお薦め出来ないww

  • このミスの紹介文読んで気になってた本。
    おもしろかった。
    なんか麻耶さんの本もっと読みづらいイメージがあったのだけど、案外すらすら読めた。
    他の麻耶さんの本も読んでみようかしらー。
    こういうちょっと変な探偵が(探偵なんてみんな変だけど)好き勝手に喋ってハイ、おしまいねーっていう話、好き。

  • これは…ミステリと言っていいのか…?このミスランキングに載ったらしいが、あの賞自体がミステリとして疑わしいから、純粋なミステリと思って読んだ私が間違っているのだと思う。メルカトル大好きな人には好評なようだが、私には納得のいかない本だった。
    読みやすいしサクサクいけるのだけど、やはりミステリーと思うとむむ、っとする。

    ※ここからネタバレ注意※


    まず、短編だと知らずに読んだ私は、「死人を起こす」の続きだと思い混んで次の話を読み進めていた。それもそうだろう。犯人が暴かれていないんだから。普通のミステリなら、探偵は犯人をきちんとあげてくれる。それがどうだ。メルカトルは犯人特定が面倒だと他の証拠物を使って有耶無耶にしている。
    さらにはラストの「密室荘」。メルカトル世界ならありらしいが、私はなし派。「答えのない絵本」も理屈をこねられまくって論理的にはこうだよね?と言われたはいいが、だから?と返したくなる…。犯人のいないミステリなんてあっていいのか…。
    殺人事件には犯人がいなくてはいけない、という基本概念を崩されたのはよかったのだけど、やはり納得いかない話だった。

    ラストの話で全部の短編の犯人を挙げてくれたらすっきりしたのに!という勝手な希望を言ってみる。
    エンターテイメントとして読めば、意外性があってよかったよーとなるのかな。ミステリと少しでも期待して読んだのが大失敗だった…。

  • キャラ萌え色が強いが、どれもこれもロジックがしっかりしてて面白い。

    2番目の話とか、最後美袋がアッーーーーーになるんでしょ(笑)

  • メルカトル鮎シリーズの短編集。 犯人当てに興じた作品としながら、犯人をぼかしたまま終わるアンチミステリーである。 突拍子もない帰結がなんとも楽しい。 美袋君が毎度の如く危険な目に当っているのだが、美袋君は探偵役以上に強い存在なので安心安心。 むしろアンチミステリーよろしく、探偵役の方が危険なポジションにいることが多いのだ。

  • えっ。これは、メルカトル鮎の理解者でなければ楽しめないぞ!

    読者は美袋くんと同じように、メルカトル鮎に振り回される。解決どころか…… この世界観はそもそもなんだ!!?これ、ミステリー小説とかいって、軽い気持ちで貸し出せないよ。ほとんどの人は結局、これは、どうなったの?とボカーンとするだろう。

  • メルカトル鮎……なに??????
    いや、この短編集は何小説なんだ??????

  • 噂に聞く皮肉というかアンチミステリの世界に仰け反る。
    短編集だからと読む順番も崩してしまうとダメでした。他の同シリーズにも触れてみようかな、こわいけど。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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