頼子のために (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.60
  • (95)
  • (167)
  • (255)
  • (25)
  • (3)
本棚登録 : 1317
感想 : 142
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061854017

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 法月綸太郎シリーズです。
    今回は、色々な圧力がかかる中での推理となりましたが、それらに全く屈しない綸太郎が格好良かったです。
    綸太郎は、純粋なまでに真実を追い求めます。
    例え、それが辛い真実でも。
    今回も、犯人は全く分かりませんでした(笑)

  • 少し古いミステリーだが、正統派の探偵という感じで良かった。最初の手記を読んだ時点ではこの事件がどう転がるのか全く予想がつかなかったが読み進めているうちに次々訪れる意外な展開に飲み込まれてしまった。
    ただハッピーエンドが好きな自分にとっては最後はもうちょっと違う結末を期待したなぁ。
    事件の発端が14年前の交通事故だったということで普段仕事でハンドルを握る身としては改めて車を運転する怖さを感じた。
    それと頼子がなんだかとことん可哀想だったなぁ。

  • 月末に意外性はあったが読後感が悪い。もっと良い結末を迎えることができたのでは?

  • デビュー作からの4作品、全く作風が違う。
    だが、ユーモアのある端正な文章、雰囲気はやはり好き。法月綸太郎の探偵としての変化も描かれている。

    本作は『雪密室』、『誰彼』とは違ってパズラー要素はほとんどない。
    日記の長さの違い、推理があまりにも当たりすぎているという不自然さ、「一昨々日」という書き間違い、といった要素から推理しているわけだが、やや強引さは見られる。
    まぁそこに重点を置いているわけではないので問題はないが。

    父親が実は頼子を愛していなかった、という事実にも驚いたし、
    「実の娘と体の関係を持ち、終いには殺してしまった酷い父親」という姿を隠すために、柊に悪役を押しつけ、自分は「愛する娘の敵を取った父親」を演じる、という動機も面白い。

    ラストに明かされる真実は予想の上を行くものであり、このドロドロとした読後感も自分は好み。
    実は真の黒幕が操っていた、というのは他の作品でもよく見るが、あまり好きではない。
    だが、この作品ではなぜか抵抗を感じなかった。

    自分の好みのタイプの作品ではないが、思っていた以上に面白かった。

  • 2020.5.13

  • 「あんたは一体どちら側の人間なんだ」
    「真実の側の人間です」

  • 読み応えありました。
    『二の悲劇』で地の文の陶酔っぷりと法月綸太郎(探偵の)の無能っぷりに嫌気が差してもう探偵法月シリーズは読めないと思ってたけど、振り切って読んで良かった。
    評判高いだけのことはある。

    すごく元をただせば誰も悪くないんだけどね。
    事故だし。
    でも当事者はやるせないよね。
    なんかみんな可哀想。
    あと女怖い。

    本作品の綸太郎(探偵の)はすごく冴えてたけど、強いて言えば、解決に死人を出さないで欲しい。

  • 〇 概要
     「頼子が死んだ。」17歳の愛娘を殺された父親は,通り魔事件で片付けようとする警察に疑念を抱き,ひそかに犯人を突き止めて,相手を刺殺,自らは死を選ぶ―という内容の手記を残していた。政治的な思惑から,「名探偵」法月綸太郎に捜査が依頼される。「対スキャンダル用の緩衝装置とは!」。法月綸太郎は,全く気のりをしないで,手記を読むが,手記に違和感を感じ,捜査に乗り出す。その裏には驚愕の真相が…。

    〇 総合評価 ★★★★☆
     まれに見るほど,ひどいプロットの話である。妻を愛するがゆえに,妻が交通事故に遭う原因になった,娘を愛することができず,娘が父をだまして父の子を妊娠したと言い,そのために娘を殺すというのがプロット。そして,最後に父は自殺し,裏で糸を引いていたのは妻だと推理する名探偵…。いやはやひどい。しかし,人間がさっぱりかけていないので,あまりえぐさを感じない。それが救いになっているかも。人間が描けていたら…トラウマになりかねないほどの作品。ミスディレクションがほとんどなく,名探偵が出てくる作品である以上,犯人となり得るのは頼子の父である西村悠史しかいないのである。それでも驚けるほど,この作品のプロットは見事である。それだけに,人間が描けていないのが惜しいような…これでよかったような。ミスディレクションがもっと巧妙で,ミステリとしての技術があれば,また違った傑作になっただろう。そういった意味では究極に惜しい作品のような気もする。★4で。

    〇 サプライズ ★★★★☆
     西村悠史が自分の娘である西村頼子を愛していたのではなく,憎んでいたという点はかなりのサプライズである。そのくらい,最初に描かれている手記のミスリードは確かなものだし,「親は,子を愛するもの」という思い込みは強い。頼子を殺した犯人が,父である西村悠史であるという真相は,これが本格ミステリである以上,それ以外に驚愕の真相がないというメタ的な読み方をしたとしても,それでも,驚ける。その上で,この一連の事件を裏で操っていた,心理的な意味での真犯人が母親の西村海絵だというのは…。もう少し,ミスディレクションがあれば,もっとサプライズはあったと思う。そういった意味ではちょっと惜しい。

    〇 熱中度 ★★★★☆
     最後まで一気に読めた。読みやすく,熱中度は高い。人間が描けていない小説は,読みやすいという傾向があるかもしれない。読解力がいらないというか…。ただし,捜査の経緯が少し冗長に感じる部分がある。その点は割引き。

    〇 インパクト ★★★★★
     父親が,愛する妻のために娘を殺害であり,インパクトは抜群である。法月綸太郎の存在価値も独特。全体を通じて,この作品を忘れることはなさそう。インパクトは文句なしの★5。

    〇 読後感 ★★★★☆
     悪い。父親が娘を殺す話なので,読後感がいいはずがない。最後に,犯人に探偵が自殺を進めるというのも…。ただし,いつまでも心に残るような嫌さがない。それは,人間がさっぱり描けていないからだろう。犯行を裏でコントロールしていた心理的な意味での真犯人が母である西村海絵であるというのは,インパクトはあるが,海絵がそのような人間に描けていないのが致命的。頼子の存在も希薄。犯人である西村悠史すら,あまり人間が描けていない。話としては最悪の読後感なのだが…。★4どまり。

    〇 キャラクター ★★☆☆☆
     人間が描けていない。プロットとしては,最低のデキなのだが…。相沢紗呼とか,島田荘司とか,米澤穂信とかが書いていたら,もっとえぐい話になっていたと思う。まぁ
    ,あまりにひどい話なので,人間が描けていないという点が,逆に救いとも思えるが…。

    〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
     法月綸太郎の初期の代表作だし,法月綸太郎が,人気作家になっていることもあって,希少価値はない。

  • 頼子のためにかぁ。恐ろしい話だった。

    最初は溺愛する娘を亡くした父親の独白から始まり、このまま復讐劇でラストまでいくのかと思いきや、推理作家、法月綸太郎の登場から物語は一変。このどこにでもありそうな事件が違う顔を見せ始める。

    楽しく読めたが、頼子が浮かばれず、読後感はサッパリとはいかない。

  • 2016.11

著者プロフィール

1964年島根県松江市生まれ。京都大学法学部卒業。88年『密閉教室』でデビュー。02年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。05年『生首に聞いてみろ』が第5回本格ミステリ大賞を受賞し、「このミステリーがすごい! 2005年版」で国内編第1位に選ばれる。2013年『ノックス・マシン』が「このミステリーがすごい! 2014年版」「ミステリが読みたい! 2014年版」で国内編第1位に選ばれる。

「2023年 『赤い部屋異聞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

法月綸太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×