桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1989
感想 : 227
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  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061960428

感想・レビュー・書評

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  • 気持ち悪さと美しさが交錯していて更に不気味さを引き立たせている

  • 短編が何作か載っているけど、やっぱり書名にもなってる話が一番好き。桜の花の美しさと残酷さ、明暗の対比、頭の中に広がる色。日本人だから書けた、そんな気がします。暗黒日本昔話という感じ。

  • 要求をすることにより、自分の毎日(人生)を幸せに形作ってくれていた妻、しかし、徐々にその際限のない要求の繰り返される生活に退屈、そして嫌気を感じ始める自分。
    桜の幻影に惑わされ、男が見ていた夢なのか、はたまた誰かの夢なのか。
    虚空。
    ラストの余韻は最高である。

  • 毎年桜の時季になると、必ずこの本を開きます。

    昔はこの作品に恐怖や畏怖の念を強く感じていましたが、
    今は結末の印象によって寧ろ清々しく、
    浄化されてゆく感覚を抱いています。

    読後、夢幻能に似た神聖さを感じ、
    「嗚呼、序破急の次には○が訪れるのか。」
    なぞという思考が沸き起こりました。
     (○は敢えて申し上げませんが、
      結末付近で繰り返される単語のうちの一文字です)
    左様に考えると、この作品を能楽の演目にしたら
    中々趣があるのではないでしょうか。

    散りもせず、無くなりもせず、唯あるべき処に還ったとすれば。
    桜の満開のその後に、哀しみを覚える理はないと感じるのです。

  • 審美社から出ている福田庄助さんの絵本が珠玉!!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「福田庄助さんの絵本」
      おー!
      図書館をチェックしたら、蔵書されていたので予約しました。。。
      「福田庄助さんの絵本」
      おー!
      図書館をチェックしたら、蔵書されていたので予約しました。。。
      2013/09/20
  • 芸術性という寓意をわざわざ探すことなくとも、歴史や風土といったモチーフのファンタジーとして十分に興味深い。その上でさらに寓意の意味するところを探っていくと空恐ろしい雰囲気を読み取ってしまう。

  • 恐ろしいものは美しいし、美しいものは恐ろしい。
    坂口安吾の作品2個目だけど、恐ろしいものを描写するときの生々しさが凄まじいな。体の芯が冷えるほど恐ろしくて、でも美しくて、儚くて。
    桜の樹の下には死体が埋まってるなんて話は聞いたことあるけど、桜をこんな風な見方をするのは初めてかも、、!

  • 「バカだね。私が殺さないでおくれと言うのだよ」何人もいた女房たちを男に斬り殺させた上で、一人だけ生かしておくこの場面は、何度読んでもため息が出るくらい巧い。支配するはずだった女に、男は端から完全に主従を逆転されているのである。

  • 初の坂口安吾。

    短編と侮るなかれ。読後に振り返るとあらゆる思索に耽ることになる

    さぁ頭の無い怪物どもよ、いつまでも慣れ合うがよい。

  • 昭和から平成になる頃は坂口安吾ばかり読んでました。今ではもう、開いて読むことはないけれど、この表紙を見るとあの頃の想いを、心の形として明確に思い浮かべることができます。
    この本に若い頃に出逢えて本当に良かったと思います。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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