- Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061965164
作品紹介・あらすじ
吉岡清十郎と雌雄を決す!武蔵の年来の宿望は、ここに実現の運びとなった。時、慶長10年正月9日。場所は京都・蓮台寺野。もし武蔵が勝てば、その名声は京畿を圧するだろう。――武蔵は思いのままに戦い、勝利をおさめたが、彼の得たものは、心の虚しさでしかなかった。一方、蜂の巣を突いたような吉岡一門から、一門きっての暴れん坊、吉岡伝七郎が鎌首をもたげてきた。
感想・レビュー・書評
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あっという間に3巻を読み終えた。
武蔵は剣だけでなく、生活の中に潜む自身の弱さに負けることも許さない。自分自身を磨き高めようとする姿は、どこまでも愚直で一途でブレることはない。
「踏み敷く草も木も氷も、武蔵の足にかかるもの、敵でない物はない。勝つか負けるか!一歩一歩が勝敗への呼吸であった。神泉の中で氷化した五体の血が、今は熱泉のように毛穴から湯気を立てていた」
吉岡清十郎と1対1の真剣勝負では、誰も助太刀のいない場所で戦うことになる。武士として真剣に向かい合う臨場感が見事に描かれ、生死をかけて戦う緊張感がひしひしと伝わってくる。
また、書家であり陶芸家であり茶人でもある、本阿弥光悦との出会いが描かれる。優れた芸術に出会い、武蔵の芸術的な感性は刺激される。
自身を表現する手段があるということは素敵なことだなと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
脇役に光が当てられている三巻。
武蔵とすれ違い、人生を翻弄されている、お通、朱美、お杉婆の三人。
武蔵は、ひたすらに剣の道を究めんとする。
そのストイックな姿勢が万人の支持を得ているのではないだろうか。
中弛みなんか無い。
ひたすら全力で吉川英治の筆が冴え渡る。 -
映画化・ドラマ化・漫画化など、様々なかたちで紹介されてきた大人気歴史小説の第三巻。ここでは武蔵を追いかけている二人の女に焦点を絞ったエピソードが多く、やや中だるみしたような印象を受けた。
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武蔵は基本的に不戦敗か完勝。
ただし婆と釘には負ける -
武蔵は、鎖鎌の使い手として知られる宍戸梅軒のもとを訪ねます。梅軒は、かつて武蔵によって殺された辻風典馬の弟であり、手下をつかって武蔵を葬り去ろうと画策します。
その後、一年の時を経て武蔵と吉岡清十郎の決闘がおこなわれます。決闘目前になって、武蔵は彼を慕う朱実に出会い、彼女の心のうちを明かします。しかし、二人の面会を城太郎とお通が知り、お通は武蔵への思慕に心を乱されます。さらにお杉まで登場し、お通は彼女に身柄を預け、又八と再会することになります。
他方、清十郎は朱実に強引にせまりますが、彼女の心は彼の思いのままになりません。そんな清十郎の心の弱さを見て取った佐々木小次郎は、武蔵との決闘で彼が敗れることを予期します。
清十郎との決闘は一瞬でかたがつき、そのくわしい描写は吉岡の門人の目撃談としてえがかれるだけとなっています。ストーリー展開上、こうした描写が効果的なのは理解しているのですが、そのぶんやたらにぎやかなお杉や又八の印象が強くなってしまっているのはどういうものかという気もします。 -
青木丹左の再々登場には思わず「また!?」とツッコミをいれてしまった
朱実が青木丹左だけでなく、小次郎やお通にまで絡んでくるのには脚本臭さを感じずにいられない
それで又八やお婆がサクッと成敗されればいいんだがそうでないから、イライラが募っていく感は否めず
(作者の思惑どおりか)
全人物の運命を狂わせている当の武蔵は、ただひたすら剣のこと自分のこと
清十郎の運命を変えてしまったことには同情もし、後悔もしていたが…
すぐ忘れようとしていたし
今さらながら、いいご身分だ
決闘後の清十郎の、朱実への想いと、吉岡家への憂いに胸を打たれた -
吉岡清十郎との戦いや佐々木小次郎との邂逅など面白い章もあるので一気に読めるが、お杉の武蔵&お通に対する怨念やお通の引っ込み思案にいい加減ウンザリしてくる。
様々な人々があまりにも偶然(以上に)袖振り合うのは面白いが、同じ町に住んでてすら滅多に会わないのに、諸国遍歴をしている者同士がこうしょっちゅう会うのも、物語の腰を折る。
もっと武蔵中心になればいいのだが。 -
一巻に記載
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宍戸梅軒との対決、吉岡清十郎との対決、本阿弥光悦との出会い。
武蔵を追うお通と城太郎、お杉ばば。
時折姿を見せる朱美や又八。
見え隠れする佐々木小次郎。
物語はどんどん進んでいきます。
吉岡清十郎に勝利をおさめましたが、次は弟伝七郎が登場です。
理想のない漂泊者、感謝のない孤独、それは乞食の生涯だ。西行法師と乞食とのちがいは、心にそれがあるかないかの違いでしかない ー 178ページ -
昔読んだ本