- Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061965218
作品紹介・あらすじ
当初、二百回ぐらいの約束で新聞連載が開始されたが、作者の意気込み、読者・新聞社の熱望で、五年がかり、千余回の大作に発展した。一度スタートした構成を途中から変えることは至難だが、さすがは新聞小説の名手。ただし、構成は幾変転しようと、巌流島の対決で終局を飾ることは、不動の構想であった。作者が結びの筆をおいたとき、十二貫の痩身は、十貫台に-文字通り、鏤骨の名作。
感想・レビュー・書評
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最終巻は、小次郎の「力と技の剣」と武蔵の「精神の剣」の闘いである巌流島の決闘が描かれる。決闘が近づくと街は騒がしくなるが、それでも武蔵の周囲に保たれている静謐さが印象的。ブレない姿とはこんな姿なんだなと思う。
虚しさや苦悩を原動力として凄まじく成長する宮本武蔵、意志が弱く堕落していく又八、この2人は1−8巻を通して対照的な人間として描かれているが、2人で1人の人間のように思える。人は様々な性質を持っており、常にせめぎ合っているものだと思う。それでも、自身の弱さを制して内面的な完成を目指そうとする大切さを、吉川英治の「宮本武蔵」から学んだ。また時間をあけて読み返したい本だ。
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何回読んでも、武蔵と伊織の再会の場面、武蔵とお通の別れの場面では、必ず涙が流れる。
極上の物語を生んでくれた吉川英治には、本当に感謝したい。
昭和、平成と時代を超え、次の時代にも、永遠に語り継がれる大名作。 -
映画化・ドラマ化・漫画化など、様々なかたちで紹介されてきた大人気歴史小説の最終巻。伏線回収のため、あっちへヨタヨタ、こっちへヨタヨタという印象が否めない。ラストも息切れされたのかな?と思われる中途半端さがあったのも残念。
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宮本武蔵最終巻。
お杉婆が山姥のようであった。
初めてこの本を読んだのは、伊織や城太郎に近い年齢の頃であった。読むと言っても、当時の自分にはこの物語を読み解く力はなく、視線が文字を上滑りしただけだったらしい。どんな話だったか全然覚えていなかった。途中で挫折した可能性も十分に考えられたが、全巻にしっかりと手垢がついていたので頑張って捲ってはみていたらしい。
武蔵の年に近くなった今となっては自分も少しは成長したようで、さらさらと楽しく読むことができた。
正直、内容がどうこうではなく、しっかり話を理解しながら読めたということ自体がうれしい。
今後も過去に読んだ作品を読み返してみると一層楽しめるかもしれない。 -
魅力的なキャラクターが多く構成も含めて引き込まれる内容。新聞小説らしく、都合の良い展開や最後に急激にハッピーストーリーに向かう点などは気になるが、それも含めて楽しめた。
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船島で終わってしまったのが正直 残念
ここからも彼の人生は続くのに
いやむしろここからなのに
又八は朱実と慎ましく子育て
お婆もすっかり憑き物が落ち、武蔵ともお通とも和解
彼らが手をついて武蔵を船島に送り出すシーンはよかった
廻船問屋父娘の武蔵への思慕にも胸を打たれた
決闘シーンは終始静かに読めた
武蔵が落ち着いていたからか
読後も静かな心持ちのままだった
愚堂和尚にただただくっついて、「一言ください!」と叫び続けるところだけはわからなかった
ラストが気になって、知らずわたしの気が急いていたからかな
迷う武蔵も人間くさくてよかったが -
武蔵と別れた伊織は、商家に引きとられていたところを長岡佐渡に発見され、彼のもとに身を寄せることになります。又八は江戸を追放されたあと、頭を丸めて真人間になることを誓い、武蔵と再会を果たします。その後、彼は朱実が自分の子どもを産んだことを知り、彼女とともに生活することを決意します。お杉はあいかわらず武蔵とお通への恨みを捨てず、お通に復讐する機会をうかがいますが、城太郎がお通を救出し、その後両者は和解するにいたります。
こうして、これまで武蔵の周辺を騒がせていた登場人物たちの処遇が定まり、いよいよ武蔵が船島で巌流小次郎と決闘をおこなう手はずが整います。武蔵にゆかりのある人びとは彼の身を案じますが、武蔵は彼らの心配を知りつつも心を乱されることなく、佐助の漕ぐ舟に乗って島へ渡り、櫂を削った木刀を手に、小次郎の待つ決闘の地へと向かいます。
クライマックスに向かってこれまでのさまざまな登場人物たちが落ち着きどころを得るという、エンターテインメント作品らしい締めくくりでした。 -
一巻に記載
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剣の道を磨き続けてきた武蔵。
ついに因縁の相手、佐々木小次郎との決戦が決まります。
お杉ばばとお通、又八と朱美、城太郎、伊織、夢想権之助らが、物語の最終に向かって、次々と武蔵のもとに。
お通との邂逅、お杉ばばとの和解。
全てが最後に繋がり、ついに舟島で佐々木小次郎と決戦の時を迎えます。
10年ぶりに通して再読しましたが、何度読んでも、感動します。
またどこかで、再読しようと思います。 -
昔読んだ本