- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061975637
作品紹介・あらすじ
《一篇の詩が生れるためには、/われわれは殺さなければならない/多くのものを殺さなければならない/多くの愛するものを射殺し、暗殺し、毒殺するのだ》(「四千の日と夜」)現代文明への鋭い危機意識を23の詩に結晶化させて戦後の出発を告げた第一詩集『四千の日と夜』完全収録。『言葉のない世界』『奴隷の歓び』表題詩「腐敗性物質」他戦後詩を代表する詩人田村隆一の文庫版自撰詩集。
感想・レビュー・書評
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「言葉のない世界」は衝撃だった。書き写して一時期携帯していたこともあった。
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強烈な自己否定の詩、痺れる
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古書店に立ち寄って開けたページが「遠い国」でした。そして、続く「細い線」が堪らなく好きです。
心に炎のような女が住んでる。彼女がいつも見張りに来る。 -
一篇の詩を生むためには、
われわれはいとしいものを殺さなければならない
これは死者を甦らせるただひとつの道であり、
われわれはその道を行かなければならない
—「四千の日と夜」
いわゆる「戦後詩」のなかで初めてまともに読んだのが田村隆一の詩。
田村隆一の名前は一応知っていたのだけれど、“有名な詩人”というほどの認識で詩の言葉は読んではいなかった。
以前観た園子温監督『恋の罪』劇中で『言葉のない世界』のなかの「帰途」を繰り返し朗読していて、そのフレーズが脳内にこびりついて離れなかったの思い出し、文庫なのに高い講談社文芸文庫を手にした。
そしてさらに衝撃をうけたのが上に引用した詩だった。
詩人の言葉に対して感じることはその都度、読む毎に違うのだけれど、田村隆一の詩を読んだときに浮かび、感じた言葉は「切迫」。
もちろん詩人の紡ぎ出す詩の1行1行にはどれも緊張感があるし、その語の並べ方や選び方も同様なのだけれど、浅い詩体験のなかでも田村隆一の詩は、読んでいると刃の先端で鼻先を触れられているような気がした。
いくつかの詩に繰り返し出てくる何やら不吉なモチーフ、決然とした語調がその要因の1つなのだと思う。
もうこの本は通しで4度か5度くらい読んでいるけれども、まだまだ読み足りないし、読みきった気もしない。
「田村隆一全集を本棚に並べてぇな〜」という教養主義的欲望がわき起こってしまうのだけれど、この文庫本1冊でさえ手に余っているので、全集など(経済的にも)まだまだだな…と日々思っているのであった。 -
最高に痺れる自己否定の詩、こりゃ読み返してカルマに刻むぜ
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再読
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3.99/309
『《一篇の詩が生れるためには、/われわれは殺さなければならない/多くのものを殺さなければならない/多くの愛するものを射殺し、暗殺し、毒殺するのだ》(「四千の日と夜」)現代文明への鋭い危機意識を23の詩に結晶化させて戦後の出発を告げた第一詩集『四千の日と夜』完全収録。『言葉のない世界』『奴隷の歓び』表題詩「腐敗性物質」他戦後詩を代表する詩人田村隆一の文庫版自撰詩集。』
(「講談社BOOK倶楽部」サイトより▽)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000168368
『腐敗性物質』
著者:田村 隆一(たむら りゅういち)
出版社 : 講談社
文庫 : 268ページ -
詩集。硬質で灰色がかった印象があり、読めば読むほど、小雨の中を蝙蝠傘さして歩いている気分になった。そもそも雨の日は苦手で、淡々と文字を目で追うばかりになり、素直に感じ入ることができず残念な限りである。
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言葉なんかおぼえるんじゃなかった
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読了。四千日と腐敗性物質を含む、田村隆一は割と多作だったと思うが、この一冊で事足りる。四千日については、ネットで全編読めるため、買う必要は何処にもなかった。ここ何年か、三ヶ月に一度は目を通すほど読んだものであるため、本当に買う必要はなかった。今更感想を書くのもおかしな感じがする。特に沈める寺が好き。