- Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062097963
作品紹介・あらすじ
始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやる-現実逃避の執念が暴走するクライム・ノベルの傑作、ここに誕生。
感想・レビュー・書評
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だいぶ初期のものみたいですね。
すでに群像劇がお得意の奥田さん。
いろんな人物が複雑に絡み合って、
邪魔しあって、
苦悩の多く人生ままならない様子が描かれるが、
苦しみの淵から抜け出せそうな者、
懲りずに周遊するような者、
どん底をさまようであろう者、と
色々な結末であった。
この結末としては、やはりそれまでの行いの問題ですかね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学校にも家庭にも居場所がなく、自分の存在感を親父狩りやカツアゲでしか示せない高校2年の渡辺裕輔
7年前に交通事故で妻と義母・お腹の子供を一度に亡くして以来精神安定剤が欠かせない刑事 九野薫
念願のマイホームを手に入れ、庭に花壇を作ることを夢みる平凡な主婦 及川恭子
何のつながりもない三人の人生がある1件の放火事件によって交錯し、少しずつ狂い始める
一瞬のうちに家族を失ってしまった九野の絶望と苦悩
抜け殻のように生きる遺された者の人生
夫の起こした事件によって、何としても子供は守らなければと方向性を間違えてしまう主婦の転落
現実のニュースを賑わせている事故や事件と照らし合わせ、読んでいても胸が詰まる
タイトルの「邪魔」の意味を三人の立場で何が邪魔なんだろうと考えていたが、世の中にとって、この三人が邪魔ということだったのか?
よく分からなかった
こういう形式を群像劇というそうな
2段組454pの長編だが、飽きることなく、最後まで読ませる筆力は、さすが奥田英朗さんだなと思った
先日読んだ「最悪」そして「邪魔」
次は「無理」だ
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不倫、おやじ狩り、放火。何の関連もない小さな事件が積み重なり、関わった人々の人生を大きく狂わせていく。奥田英朗得意の群集劇サスペンス。相変わらず、緻密な構成で読み応えがある。
主要人物の刑事、主婦、高校生の3人が堕ちていく様はあまりにリアル。夫のささいな不良行為がきっかけで、平凡な幸せを楽しんでいた主婦がすべてを失っていくのは、あまりに救いがなく、不運で片づけるには悲しすぎる。
2002年発表の小説だが、努力しても報われない、誰も幸せにならない、そんな時代が近づいていることを予感していたようだ。 -
小さな放火事件をきっかけに、会社員とパート勤めの妻、刑事、不良少年、それぞれが少しずつ追い詰められ、歯車がくるっていく。
面白かった。
タイトルの「邪魔」とは。
生きていく上で邪魔なものを、どのように排除するかということなのか。
(図書館) -
後半に恭子が「自分は今迄他人に運転を任せていた、これからは自分がハンドルを握っていかなければ」(うろ覚え)的なモノローグは私の身につまされました(^_^;)
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夫の会社で放火事件が起こった。
第一発見者の夫は、警察やマスコミに張られている様子。
新築の一軒家の庭づくりに励むパート主婦恭子の胸はざわつき始める。
小さなズルをする夫に気づいていたのに、ずっと幸せだと信じていた恭子。最後にあんな展開になるとは、想像もしなかった。
とは言え、職場の環境と戦うようになったり、マスコミに対抗し始めたり、夫に乱暴な口をきくようになったりと、どんどん転がり落ちていく様にはドキドキさせられた。
子供達を守ると起こした行動だったのに、最悪な結果になってしまい、子供達が心配。
警察内部のあれこれは、なんだかなという気分です。 -
刑事とヤクザのくだりに目新しさは感じないのだけれど、主婦・恭子が少しずつ少しずつ変わっていく様がとにかく生々しくて、読んでいてゾクゾクする。
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内容(「BOOK」データベースより)
始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやる―現実逃避の執念が暴走するクライム・ノベルの傑作、ここに誕生。 -
邪魔な存在。不都合な存在。こういうものは生きることと不可分だ。
邪魔なのに、端折るべきかもしれないのに、避けられなかったり、やりこまれたり、時には自ら背負い込んでしまうのが人間なんだろう。
読了後、一番に、なんのためにこんな本書いたのだろうと悩んだ。
平凡な主婦から転落人生を余儀なくされる恭子さんが可哀想過ぎやしないか?
確かに人生助手席のような生き方しかしてこなかったのかもしれないけど、それにしても試練が多過ぎる。試練というより、なんだろう。地獄?
あと子供なんてこの先どうすんだよ、というくらい可哀想。
世の中には救いようのない人もいるんだってことなのか。
どんなに辛くても生きていかなければならない!泥臭くっていい、ずる賢く、地味でもいい、でも生きろ!ってことを伝えたかったのか?
刑事さんは素敵な仲間たちがいるようでよかったわ。
ストーリーはひとまず置いておこう。この本は二段組なうえに450ページもあるのに、止まらず読み進められた。
それほど引き込まれる文章で、ユーモアもきいていて、無駄な描写が心地よいくらいに無かった。そして妄想を許さないというような生々しさ。私の母が恭子とほぼ同じ境遇のパートタイマーだから、なぜここまで的確に描けるのかと息をのんだ。それに恭子の人格の変貌っぷりも、すごくリアルだった。人間ってこういうふうに壊れていくのだと思った。
桜桃の会で活動していた頃からの彼女の普段の会話の理屈っぽさというか、まくし立てる感じは、宗教に洗脳された知人そのもので衝撃を受けた。
政治思想も行き過ぎればカルトなのかもしれない。
しかし、うまいなあ。ミステリ書く人は、要所を簡潔に書くのに長けてるのかな?
後味は良いとは言えないけれど、面白く読めた。後味というか、後味なんだろうけれど明日は我が身だと思ったらすごく不安になった。
欲を言えば、被害者とも言える恭子と子どもたちは救われてほしかった。ご都合主義がよかった(笑) -
漢字2文字犯罪小説シリーズ、どれも良いです。