邪魔

著者 :
  • 講談社
3.54
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本棚登録 : 865
レビュー : 161
  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062097963

作品紹介・あらすじ

始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやる-現実逃避の執念が暴走するクライム・ノベルの傑作、ここに誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 夫の会社で放火事件が起こった。
    第一発見者の夫は、警察やマスコミに張られている様子。
    新築の一軒家の庭づくりに励むパート主婦恭子の胸はざわつき始める。

    小さなズルをする夫に気づいていたのに、ずっと幸せだと信じていた恭子。最後にあんな展開になるとは、想像もしなかった。
    とは言え、職場の環境と戦うようになったり、マスコミに対抗し始めたり、夫に乱暴な口をきくようになったりと、どんどん転がり落ちていく様にはドキドキさせられた。
    子供達を守ると起こした行動だったのに、最悪な結果になってしまい、子供達が心配。

    警察内部のあれこれは、なんだかなという気分です。

  • 刑事とヤクザのくだりに目新しさは感じないのだけれど、主婦・恭子が少しずつ少しずつ変わっていく様がとにかく生々しくて、読んでいてゾクゾクする。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやる―現実逃避の執念が暴走するクライム・ノベルの傑作、ここに誕生。

  • 邪魔な存在。不都合な存在。こういうものは生きることと不可分だ。
    邪魔なのに、端折るべきかもしれないのに、避けられなかったり、やりこまれたり、時には自ら背負い込んでしまうのが人間なんだろう。
    読了後、一番に、なんのためにこんな本書いたのだろうと悩んだ。
    平凡な主婦から転落人生を余儀なくされる恭子さんが可哀想過ぎやしないか?
    確かに人生助手席のような生き方しかしてこなかったのかもしれないけど、それにしても試練が多過ぎる。試練というより、なんだろう。地獄?

    あと子供なんてこの先どうすんだよ、というくらい可哀想。
    世の中には救いようのない人もいるんだってことなのか。
    どんなに辛くても生きていかなければならない!泥臭くっていい、ずる賢く、地味でもいい、でも生きろ!ってことを伝えたかったのか?
    刑事さんは素敵な仲間たちがいるようでよかったわ。

    ストーリーはひとまず置いておこう。この本は二段組なうえに450ページもあるのに、止まらず読み進められた。
    それほど引き込まれる文章で、ユーモアもきいていて、無駄な描写が心地よいくらいに無かった。そして妄想を許さないというような生々しさ。私の母が恭子とほぼ同じ境遇のパートタイマーだから、なぜここまで的確に描けるのかと息をのんだ。それに恭子の人格の変貌っぷりも、すごくリアルだった。人間ってこういうふうに壊れていくのだと思った。
    桜桃の会で活動していた頃からの彼女の普段の会話の理屈っぽさというか、まくし立てる感じは、宗教に洗脳された知人そのもので衝撃を受けた。
    政治思想も行き過ぎればカルトなのかもしれない。

    しかし、うまいなあ。ミステリ書く人は、要所を簡潔に書くのに長けてるのかな?
    後味は良いとは言えないけれど、面白く読めた。後味というか、後味なんだろうけれど明日は我が身だと思ったらすごく不安になった。
    欲を言えば、被害者とも言える恭子と子どもたちは救われてほしかった。ご都合主義がよかった(笑)

  • 【昔読んだ本】
    徐々に盛り上がり、気づいた時には大混乱。
    映画でも見てるかのような感覚。最高です。

  • 些細な事件をきっかけに、人生の歯車が狂い出し追いつめられて行く様を描いた作品。こんなに地味なシチュエーションでここまで息詰る展開を組み立てる手腕は見事である。特に平凡な主婦、恭子が追いつめられた末に取る行動は鬼気迫るものがあるが、それでいて感情の描写がリアルで説得力があるので首を捻ることなく読み進むことができる。主人公達がどんどん不幸になって行く展開は「最悪」にも似た雰囲気であるが、物語の組み立ての完成度は本作の方が数段高いという印象を持った。それにしても伊良部シリーズのような軽快で笑える作品と、本作のような重く読み応えのある物語を描き分ける引き出しの多さには驚き。

  • 奥田英朗の長編の犯罪小説。なぜこの作者はこんなにも上手に職業や人物の感情を書けるのだろうか。警察署で働く人々の濃密な刺激や、スーパーで働く主婦の平凡な悩みや喜びをどこまでも細かく書いている。これが作家の想像力なのだろうか?だって警察署の内部を本当にリアルに描かれていて、空気観まで伝わってくる。海堂尊が大学病院の実態を克明に描いてるのとは訳が違うのだ。
    ディテールはすごいが、そのぶんストーリーがいまいちだった。ちょっと主婦パートが長くて間延びした印象。

  • いろんなタイプのお話が書けるのねーって改めて奥田さんすごいなぁと感心してしまった

    読後感はいまいちだけど、相変わらずさらさらよめる

  • おもしろかった。
    刑事のごたごたしてるところは読んでてかなり持て余してたけど、軌道に乗ればかなりすいすい進んだ。
    旦那さんの弱さというか、どうしようもなさに関して、そういう人いるんだよねって思った。
    どうしようもない人と、気付かずに一緒になっちゃったら最悪だな。どうしようもなくなるかは自分次第なのかな?うーん

  • 誰も救われない1冊。

    みんなが少しずつ罪を犯している。
    それが絡み合いどんどん深みにはまっていく。
    どんどん壊れていく。

    何を守ろうとしているのか
    守るために何が邪魔なのか
    見栄や体裁や世間体や面子
    本当に守りたいもの、守るべきものが、どんどん遠ざかっていく
    窮地に立たされたなか、守り方をこうも誤ってしまうものなのかと思う。
    それがきっと人間のよわさ

    結局邪魔なのはなに?

    2001年 写真:高橋和海 装幀:鈴木成一デザイン室

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2017年 『新装版 ウランバーナの森』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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