生まれる森

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122061

感想・レビュー・書評

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  • 人は必ず暗い部分というか、繊細な部分をもっているのに自分はつよい人間だと勘違いしてる。それで、人の光となって迷える人を救いだしてあげたい、救い出す自信があるとおもってしまうのだ。でもそれは傲慢で不毛な考えだと気づいた時にはもうぼろぼろになったときなんだろうな。

    そんなことを思った。

  • 少しどろっとしたところもあったけど、全体に淡白なお話でした。

  • 大学の夏休みに、友達のアパートを借りて一人暮らしすることになった。

    予備校時代に、恋とはいいがたい関係だったサウトウさんのことが忘れられなくて
    だけど傍にいると気持ちが安らぐどころか不安定になっていく自分を
    彼を失った今でも、行き場のない思いを持て余していた。

    キクちゃんの優しさ、雪生さんの温かさに励まされながら
    再生していくことが怖くて、だからといってもう戻れないサイトウさんとの記憶だけを頼りに

    少女は周りの人に転げ落ちそうになる足元を何度も救われながら
    やがて経験を糧に大人になっていく。

    妙に潔癖で些細なことにも敏感な、少女時代か~。

    高校生くらいのときかな、何年か前に読んだことのある本だったけれど
    読み返してみても意外と内容忘れていたりして新鮮で面白いね。

    著者の傷つけられた自分みたいな設定が読んでいて疲れるけれど
    どういうわけか嫌いじゃない)^o^(

  • 携帯小説や、少女マンガの、半歩先くらいの位置。
    半身はまだ、恋愛、友情、青春にずぶずぶに浸っていて、「出会い→告白→ラブラブ→喧嘩→難病(!?)→一生一緒だよ?」みたいな(なんだこれ)
    直視するもの恥ずかしいような乙女の恋愛の中にあって、もう半身は、そういうことは卒業して、冷静に現実的に、日々の生活を送っている、そういう、ちょっとお姉さん的な小説なのかな、と。
    山崎ナオコーラが書いたら、もっとサイトウさんとか、主人公の父とかにフォーカスするんじゃないかな。

  • 高校時代の失恋を引きずった主人公が
    立ち直る手前くらいまでを描いた話

    主人公とサイトウさんの関係性
    (依存と身勝手さ)が
    ナラタージュに似てるなと思った
    でも今作の方がもっと救いがあるし
    恋愛だけじゃなくて
    キクちゃんとその家族たちとの交流が
    半々くらいの割合で描かれてて
    爽やかなかんじにはなってます

    話はあまり入ってこなかったけど
    この人の文章は個人的には好きな方
    綺麗なんだけど
    なんて事ない言葉も重くしてしまうような
    気だるさが含まれてるなと思う
    夏の湿った空気とか上手です
    本やCDの固有名詞を出したがるところは
    あまり好きじゃないかな笑

    これが自分の恋愛のイメージ、と
    あとがきで書いてましたが
    この時まだハタチなのに
    どんだけ不毛で
    生々しい恋愛してきたんだろうと
    ちょっとびっくりしてしまいました笑

  • この方の恋愛チックな話って
    どこで話が急転するかと冷や冷やしながら読んじゃうんだけど、
    これは意外と爽やかなお話だった。

  • 高校時代、塾の講師と恋愛関係になり失恋した痛手を引きずっていた
     「わたし」は、夏休みで帰省する同級生の下宿を借りて期間限定の独り
     暮らしを始めた。別れた恋人への思いを断ち切れず鬱々とする「わたし」
     を救ってくれたのは高校の友達「きくちゃん」とその家族だった・・。

     島本さんの本は「ナラタージュ」だけしか読んだことなかったけど、
     この作品と「ナラタージュ」は同じテーマだったのでびっくり。
     「生まれる森」の後に「ナラタージュ」が書かれているので、島本さんが
     「生まれる森」で書ききれなかった思いを「ナラタージュ」で完成させた
     って感じなのかなあ・・・。ただ、「ナラタージュ」読んでからではどうも・。
     ほかの作品読んでないからなんとも言えないけどいつまでも引きずって
     ないで新しい境地を作品をどんどん書いていってほしいと老婆心ながら
     思ってしまった。

  • サイトウさんを引きずる繊細な女の子の話。雪生さんがなんだか大人でいい^^

  • 図書館で、タイトルに惹かれて、初めて島本理生さんの作品を読みました。

    いまいちよく分からなかったです。
    サイトウさんの魅力もよく分からなかったし、妊娠・中絶をしてしまうような子に全く思えなかったな。

    キクちゃんはすごく好き。雪生さんも好き。
    だからできれば、雪生には野田ちゃんを好きになって欲しくなかった。

  • 久しぶりに島本理生読んだー
    やっぱり落ち着くなぁ。内容どうこうより、彼女の文章を読むのが好き。


    これは再生のおはなし。
    でもサイトウさんに惹かれる気持ちがわからなくていまいち入り込めなかったかなぁ・・

    でも雪生さんとの絡みはなかなかったけどね。
    あんな存在いたらいいなぁ

  • 正直よくわからなかった。

    愛についてなんだと思うが、失恋や本当の自分を見せる勇気の辛さは感じた。

    ちょっとガッカリな作品でした。

  • たらたらと書かれているのに、すっと入ってくる文章。
    しかしながら、期待には応えてくれなかった。

  • ほわんとしているようで、残酷。自分の友達が、サイトウさんみたいな男性に惹かれてたら全力で阻止したい。

  • 前に読んだのにブクログに登録漏れててまた読んだ。
    先生すきになるなー
    雪生さんもてそう

  • 怖がって閉じこもらずに少しずつでもいいから前に歩こうという気持ちになって貰えたら嬉しいと最後のあとがきに書いてあった。私をその気持ちにしてくれたこの本に出会えて良かった。

  • 塾の講師であるサイトウさんに恋をした野田。
    サイトウさんとの別れで自暴自棄になり、複数の男性と関係を持ち
    誰の子ともわからない子供を堕胎することになる。
    そんな野田は大学の友人が帰郷する間、友人のアパートを借り、独り暮らしを始めることになる。
    サイトウさんを忘れられないのに、再会を拒否する体。
    人に頼れない性分の主人公を見越して、
    見返りを求めず彼女のそばにいる友人キクちゃん一家。

    話は重いが、島本理生の淡々とした言葉は心地よく読むことができる。
    一人っ子とは、我儘だというイメージが世間のどこかにあるが、
    野田のような主人公がリアルな一人っ子の像のような気がした。

  • だれかを救いたいと思うこと。その相手を手放すか、それとも摑むかの一瞬の違いが恋愛の残酷さでもある。

    これはあとがきの島本さんの言葉です。

    自分自身の中にある恋愛のイメージがもっとも強く反映された作品になった。と彼女は述べています。

    主人公の野田さんは女子大生。
    彼女は予備校時代の先生であるサイトウさんが忘れられずにいる。
    彼が離婚したという噂を耳にした彼女は、彼のそばにいようする。
    しかし、彼のそばにいることで感情が不安定になり一睡もできない日が続くようになる。
    食欲のなくなり、食べても吐くようになってしまう。
    それに気付いたサイトウさんからもうここへ来てはいけないと言われてしまう。


    大学生になってからも彼女はその予備校に行って彼に会おうと思うのだが、吐いたり腹痛を起こしたりしてしまう。

    そんな彼女と仲良しのキクちゃん。
    彼女は主人公とは正反対の女の子。
    高校時代はさほど仲良くなかったが、大学生になってから親しく付き合うようになる。

    そんな彼女のお兄さんの雪生さんは主人公が辛い時に、いつも優しくしてくれる人。
    「なにか困ったときや悩んだときには、自分だけで解決しようとしないで、絶対にだれかに頼るんだよ」
    いつも主人公を気遣ってくれます。
    そんな彼につきまとう淋しさはお母さんのこと。
    詳しくは明かされませんでしたが、彼もどこか淋しさを抱えています。


    作中の登場人物はみんなどこか淋しさを抱えているのですが、それを互いが救い出したいと思っている。
    雪生さんはそれを傲慢だと言っているけど、彼もまた同じ。
    これが作者の恋愛観なのでしょう。
    傲慢だとは思うけど、誰かを救いたい。
    こういう恋愛観はわからなくはないけど、これだけで始まった恋は破綻してしまうのかなと思ってしまいました。
    主人公と雪生さんには結ばれてほしいけど、淋しさに飲み込まれてしまわないようにと願いました。
    お互いが互いの淋しさから救い上げることができればいいと思います。

    最後にはかならず森から出ていくことができるはず。
    生まれる森とはそんな彼女の気持ちにぴったりなタイトルだと感じました。

  • 似てて嫌

  • 終わり方が好き

  • 主人公に感情移入しすぎて読むのが苦しくなった。島本さんの言葉は、自分の中に閉まっていた感情や想いを怖いくらい引っ張り出し思い出させる。向き合わせてくれる。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島本理生の作品

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