生まれる森

著者 :
  • 講談社
3.31
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122061

感想・レビュー・書評

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  • 他の作品を読んだときも思ったけど、この人一人っ子なんじゃないかなあ。一人っ子の気持ちって一人っ子にしかわからないだろうし、すごくそれが作品に反映されてるように思う。とりわけこの作品には。

    毎回きちんとした意思を持って作品を書き上げてるのが伝わる。真面目な人なのだろう。

    ひとつの恋を終わらせて次に進もうとする心の準備を、主人公が少しずつ得ていく様子が心地よかった。爽やかな物語だった。

    (20111122)

  • すごい読みやすい。

  • この本を読んだきっかけは、他の方のレビューに、「サイトウさんが最悪。」「サイトウさんは酷い。」とかさいとうさんとやらが相当ひどい人らしい。。

    どれ読んでみよう。でした。結果。。。う~ん。。確かに。。。酷かった。。。自分を好きだと分かってる人を側において、手を出さない。傷つけてると言ってさっさとフル。

    う~ん…その失恋がショックで自分が壊れて、その結果、ある出来事が彼女をさらに苦しめます。。。

    どこかで諦めなきゃいけない感情をずっと持ち続けて生きる生き方か~う~ん…

    「ただ幸せになって欲しかった。眠る前、明日はどんな1日だろうとわくわくできるような…」

    という主人公に、「自分が他人を幸せに出来ると思う事は行き過ぎなのかも知れない。」

    などと答える彼女を好きな誠実な人の厳しいけど優しい言葉が続きます。。。

    「ずっと一緒にいた人がある日突然いなくなるってどんな気持ちですか?」

    これは妻と別れたばかりのサイトウさんに聞いた言葉。「辛かったよ…死ぬかと思った。ある意味一度死んだかも知れない…」

    ふと島本さんはこの言葉を書きたかったのかな?と思った。。

    この本には「死」と言う言葉が頻繁に出てくる。。いわば失恋を「仮想死」にしている。

    その「仮想死」からの復活のきっかけになってくれれば…と、あとがきには書いてありました。壊れるぐらいの恋愛。。。。。したくないな。。。。(笑)

  • 読み終わった後、特に何もなく「ふーん」という作品。
    サイトウさんがただの気持ち悪いおじさんにしか思えなかった。
    主人公はなぜそこまで好きだったのか。
    また、雪生が初対面から主人公に好意をもっていたのも不思議。
    キクちゃんと、その一家のキャラクターは好感が持てた。

    作者の文章は綺麗で好きだし読みやすい。
    でも「ナラタージュ」を読んだときにも思ったけど、恋愛の描写がことごとく気持ち悪い。
    他のジャンルの作品を読みたい。

    【図書館】 かかった時間:2~3時間

  • 別の本で芥川賞候補になっていたのと作者と自分の年齢が近いので
    島本さんの本を初めて読んでみました。
    これもまた新しい書き方との出会い、って感じ。
    読みやすかったけれど、読みやすかっただけという気もします。
    重みがない、みたいな印象です。

  • 読んだけど忘れたorz
    べたべたの恋愛モノに浸りたくなったときに選ぶ島村さんの著書。
    つかみどころのないさらっとした感じ、なのかな?

  • 恋人と別れた痛手を抱えた私は友だちの部屋を借りて一人暮らしを始める。そんなとき、高校の同級生のキクちゃんと、その兄・雪生と出会う。真っ白で清潔な物語。淡々としている分、想像力がかきたてられます。

  • 久しぶりに島本さん。あまり作風が好きでないんだけど
    読む本がなくなってしまって・・・。
    結構読ませるんだけど、やっぱりおもたーいけだるーい感じが
    物語を通して漂っていて、軽く読める本ではなかったかな。
    読んで損したまでは思わなかったので☆は3つ。
    明るいキクちゃんファミリーがいたから物語が少し明るい方向へ
    持っていかれて良い感じになっていた。

  • 背表紙に惹かれて手に取ったら装丁も美しかった。静かなるレンアイ小説。なのかな。

  • 忘れられない、忘れたい、忘れたくない。誰しもそんな恋をしたことがあると思う。けれど。
    島本さんの文章は、淡々としていて読みやすく、風景や雑貨や食べ物の描写が本当に綺麗。そして何より、ダメ男の表現の秀逸さと言ったら類を見ない。気がする。
    島本作品にしては(「クローバー」除く)、最後に希望がある終わり方なので好きです。

  • 読後感:疲れた…。

    好感の持てる登場人物たちだし、筋運びも巧みで
    読みやすいステキな一冊でしたが
    とにかく、サイトウさんがまじで卑怯でいやな男すぎて
    そして彼の仕打ちや思い出に振り回されて心の傷になってしまった
    主人公の心理描写がリアルすぎて、疲れちゃいました。
    島本さんの小説を思春期に読んでしまっていたら
    ますます男性不審に拍車がかかっていたことであろうよ…
    あとがきで著者が仰っている
    「少女時代の終わり」という言葉がぴったりの小説でした。

    伏線?や最後まで明らかにされない、ぼんやりとした示唆的な記述、
    そういうのは個人的にニガテなので、ちょっと残念だったな。

  • 高校3年生の時、学校の図書館でみつけた。

    当時先生に恋していたこともあり、夢中で読んだ 笑


    島本理生さんは、10代の感受性豊かな少女の複雑な心をリアルに描いているので好き。

  • 2006.2.28

  • 悲しい話。だけどすごく心が暖まった。

  • 言葉の表現がきれいで、読み始めに新鮮さを感じました。

  • 読みやすかった。抵抗もまったくなく、読み進むことができた。
    日常的描写と主人公、周りの人間関係に温かさを感じる。

  • 少女時代にした
    大人の恋から立ち直れず
    自暴自棄に陥った野田。
    胎児と一緒に感情も半分堕してしまった彼女は
    ぎくしゃくする家族と距離を置くために
    1人暮らしを始める。
    彼女の目に
    キクちゃん一家の見返りを求めない愛の光景は
    どう映るのか。

    設定もストーリーもナラタージュと似た感じ。
    悪くないけど、ナラタージュのが良い。

    野田ちゃんが上手く像を結ばなかったな。
    こんなに純粋な恋をするのに
    沢山の人と寝て
    自己主張しないのに、
    こんなに執着して。

    簡単な言葉で心理描写をするのが
    とても上手い作家さん。
    私は今きっと島本さんと出会えて幸せ。
    一年前では全然理解できやんだやろし、一年後では遅すぎる(ようにしたいw)



    今度あの人に触れられたら、
    わたしたぶん死んじゃいます

    自分ではそうしたつもりだったけど、
    ケジメをつけたのか
    突き放しただけなのか
    今でもよく分からないとも言ってたね

  • 大学の友達が帰省している間
    アパートを貸してもらえることになった。
    これで一時的にだけれど家から出られる。
    誰の子かも分からない子どもを下ろしてから居づらくなった家。
    この話を相談できたのはキクちゃんだけだった。
    高校を卒業してからなんとなく仲良くなったキクちゃんに誘われて
    お兄さんの雪生さんと弟の夏生くん、そしてお父さんの5人で
    キャンプに行くことになった。
    その後も雪生さんとの仲は続いたけれども
    わたしはどうしてもサイトウさんが忘れられないのだ。
    装画:ミヒャエル・ゾーヴァ 装丁:坂川栄治+藤田知子(坂川事務所)

    ぼんやりとしている。
    あとがきにもあるように失恋から立ち直るまでの話なのだと思うけれど
    いろいろな些細なことがありすぎてぼやけてしまっている感じ。
    キクちゃんだけが強すぎるのかもしれない。

  • 正直、物語にあまりインパクトはなかった。終わった恋の痛さは伝わるが、ヤケになって誰が相手かも分からない子供を堕ろす人物像が主人公とは結びつかない。登場人物は皆、静かで冷静で清潔なイメージ。
    ただ、誰かを救いたいと思う気持ちが、救いたい誰かがいることが、羨ましいと思えた。

  •  おそらく夏に出るナツイチとかの文庫のカタログで見た気がする作品。島本作品では初めて。10年夏休みに読んだシリーズその11。

     主人公「わたし」は高校時代、予備校教師のサイトウさんに想いを寄せており、彼の部屋に行くような仲だった。だが、彼と別れ、大学進学後も彼への思いを捨てきれない「わたし」はある日、高校の同級生キクちゃんからキャンプに行かないか、と誘われる。そこで彼女の兄、雪生(ゆきお)と出会うことになるのだが…。恋の終わりと始まりを描いた作品。

     私は本作を華奢な感じだがとても洗練されいて余計なものがないように感じた。まるで添加物、保存料0的な。しかし、キクちゃんの主人公への呼び名「ノダちゃん」が『GA芸術科アートデザインクラス』の「ノダちゃん」とかぶり、私の脳内で背が低くてピンク髪の女の子がちょこまかと動き回るのが時々再生されたのはナイショ。だが、どう考えても本作の雰囲気にそぐわないはずなのに、こーいうのがふと浮かんできてしまうのはどうしてだろう。もし、映画化されるとしたら…、と一瞬考えてしまったが、蒼井ゆう、昔の沢尻エリカあたりなら主人公に合いそうな気がした。

     私は本作のタイトルを、サイトウさんへの思いを断ち切り、「森」のように込み入ってごちゃごちゃしているところから、一歩を踏み出して新しい自分に「生まれ」変わる…みたいな意味なのかなーと思った。しかし、現在・予備校時代・小学校時代といろいろな時間軸を行ったり来たり、という描写が多く、混乱してしまったり。個人的には最初にキクちゃん一家とキャンプに出掛けるところが一番おもしろかった。

     つまらなかったわけではないが…、なんだか主人公に感情移入できず、いまいち話にのれなかった。

     しかし、この作者15歳でデビューってすごい!大学在学中の21歳のときに本作を書いたそうだが、ミラクル大学生がかつて池袋にいたとは本作を読むまで知らなかった。『シルエット』『リトル・バイ・リトル』も今度読んでみたい。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島本理生の作品

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