生まれる森

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122061

感想・レビュー・書評

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  • 好きだと言って、そばにいてくれと言って、
    でも恋人とは違う感情をもって接していたサイトウさんみたいなやつは実際いたら、張り倒してやりたい。

    キクちゃんが、すてきなキャラ。
    キクちゃんの家族もすてきだけど、
    おにいさんは見ててもどかしいな。

  • 昔に既に一回読んでいるのだけれども、図書館で手にとってつい読んでしまった。テスト前なのに‥。
    ついこの間行った駅の名前が作品の中に出てきて、なんだかあまりにタイムリーだったので、読まなきゃという気分になってしまったのです。
    面白くはあったけれども、少しラストが物足り無い感じもする一冊でした。

  • 図書館で見つけた1冊。島本理生が結構揃っててびっくり!儲けた気分。嬉しくなって読んだことのある『クローバー』も借りて来ちゃったけど(笑)

    読後感は『ナラタージュ』に似ているかな。
    でも読んでて辛くなかったのはキクちゃん・雪生さん兄弟のお陰だよね。
    島本理生さんって若いのに普通の幸せを手に入れられないような、そんな一筋縄では行かない恋愛絡みのストーリーが多いのでピンと来ないけど毎回それなりに面白かったのがすごいと思う。

  • 20100619読了。
    鬱々とした内容がちょっと苦手でした。

  • 上手に言えなかったさよならが、胸につっかえている。でもそれもいつか、氷砂糖みたく、溶けてく。

  • なくした心に、温かい風が吹いていてやっとそれが届いた話。
    現実でも他人に優しくする余裕なんてない。
    友達の家族に優しくされた時、申し訳なさとくすぐったさを感じる。
    下心のない彼等の行動が胸にゆっくり届いていく。
    キクちゃん達家族がみんな優しくて、最後まで読みたくなった。

    キャンプのシーンから読み進むスピードが上がりました。

    雪生さんにはまだ謎があるような気がしてならない(苦笑)

  • 不思議な本でした。とても暗いようで、実は手探りで明かりを探していたり、ふっと、急に天真爛漫になったり。本の中の物語が生きているかのようでした。

    途中から思ったのですが、この、丁寧に状況を描写する書き方は北村薫さんに似てるなぁ、と思いました。北村さんが優しさをベースに書く小説家だとしたら、島本さんは悲しみをベースに書く小説家さんだと思いました。

    読みながら、もう少し暗くなったらヤバイな・・と、思うところで、唐突に話が区切られて、明るいキクちゃんや加世ちゃんが出てきてプラス要素を振りまいて、読者に『もう少し読んでみよう』という元気を与えてくれます。

    ただ、暗い、暗い、と言っても、この物語が高校~大学へ成長していく女性の恋を描いているので、そうなるのかな?とも思いました。暗い中をさ迷っているさまは、ノルウェーの森を思い出しました。

  • キクちゃん(元キャバクラ)
    夏生(キクの弟・バンド)
    雪生(キクの兄・公務員27歳)
    野田ちゃん(主人公・堕胎)
    サイトウさん (予備校教師・40歳・元恋人・バツイチ)
    加世ちゃん(部屋を貸してくれた子。ストーカーに悩む)

    う〜ん。島本さんの作品を読み過ぎて
    もはやどのタイミングでどうなるのか予想できるようになってしまった。
    静かな感じは相変わらずだなぁ。

  • 初読:2008年春分

    先生のお宅を漁って頂いた本、その3。

    やっぱり恋の傷は新しい恋で癒すしかないんでしょうかね?
    そんなことばかり考えてしまいました。

  • とらえどころのない想い。
    それが恋愛感情、気持ちなのですね。
    自分の恋愛を思わず振り返ってしまいます。
    人は一人だけれど、独りぼっちではないな。

  • 島本さんの文章は美しくて、すき。
    真面目過ぎで不器用な女性。
    内容はナラタージュに似てますね。
    傷つけあう痛い恋愛も通過儀礼ですよね。

  • 見た目は平凡そうな女の子が、
    大人の恋愛をかじってしまうお話。

    “子供のときに大人の恋をすると、その後も無垢な心には戻れない”
    という引用がやけに胸に残りました。

    その人のために何かしたい。
    けれども、
    その何かには限界が必ずあること、、
    それが甘いだけじゃない、
    恋愛の苦さなんだろうな。

    at.+all of me for you+.
    http://alice-alice16.jugem.jp/

  • (2004.12.16読了)(拝借)
    主人公は、野田さんという大学生。高校三年生の冬、大学受験が終わってすぐの頃、子供ができ、両親に話し子供を下ろした。誰の子かはわからないほど、相手が多かったようだ。
    予備校に通っていた時、サイトウさんが小学校の頃に仲の良かった理科の先生に似ていることから親近感がわき、何度か話しかけているうちに親しくなった。
    (仲の良かった先生という表現は、ちょっと違和感がある。先生は友達じゃないんだけどねえ。今の世代はこういう感覚なんでしょうか。)
    サイトウさんは、予備校の教師だけど、何の科目を担当してるとか言うことが書いてないので、具体性に欠ける気がする。
    サイトウさんには、少し年上の奥さんがいたのだが、離婚したという噂を夏期講習の合宿中に他の子から聞いた。
    模試の結果が悪かったので、分からない所をサイトウさんに質問していて帰りが遅くなった時、一緒に駅まで帰った。電車を待つ間、サイトウさんに「ちゃんとご飯食べてますか?」「いつも思ってたけど、本当は無理してませんか?一人になると急に辛くなったりしませんか」と言ってしまう。
    結局、サイトウさんと一緒にいるようになるが、楽しいこともあるが、いつも洗い流せない疲れを心のどこかに感じており、次第に感情が不安定になり、眠れない日が続き、食欲も落ち、結局分かれた。サイトウさんと一緒にいると疲れるのは、「彼がふとした拍子に見せる攻撃的なものの言い方や神経質な性格が原因ではなくて、もっと奥のほうに抱えた強い不安が一番身近な人間の心を容赦なく揺さぶるから」だった。
    (小説家なんだから、具体的な会話や事件でどういうことなのか分かるように表現して欲しい。この本が賞をもらえなかったのは当然と思う。大人が表現できていない。「シルエット」とかにあったうまいなあという文章にこの本ではお目にかかれなかった。)
    サイトウさんと別れた後、男の子たちと適当にくっついたり離れたりしている中で子供ができちゃった。サイトウさんとは一緒に蒲団に入ったけど、関係は持たなかったので、子供ができる可能性はなかった。(サイトウさんは40歳を過ぎていたからという表現があるけど、男の40歳はまだそんな年じゃないと思うけど。)
    野田さんは、今もサイトウさんを引きずっている。高校のお友達のキクちゃんが、コーラの懸賞に応募したらキャンプ道具一式が当たったので、キャンプに行こうと誘ってきた。キクちゃんの家族とキャンプに行き、キクちゃんの兄の雪生さんと交流が始まる。
    キクちゃんの弟も野田さんを楽しませてくれる。サイトウさんの呪縛から逃れ元気を取り戻してゆきそうだけど・・・。
    (この本はあまりお勧めできる本ではない。同世代はまだしも、大人が描けていないと思う。)

    ☆島本理生さんの本(既読)
    「シルエット」島本理生著、講談社文庫、2004.11.15 (2001/11)

    (「MARC」データベースより)amazon
    今度あの人に触れたら、きっとわたしは死んでしまう…。初めて知った恋の深い痛みとゆるやかな新生を描く20歳の恋愛小説。『群像』掲載を単行本化。

  • 終わった恋がテーマっていうのは珍しいですね。体が壊れてしまいそうとか、触れられたら死んでしまうとか激しい描写があるわりには全体的にどこか冷めているような文体なのが物足りなかった。

  • こういう登場人物さんすごく好きです…←

    島本さんは先生に恋する女の子の話が好きな気がする
    (これは先生への恋がメインの小説では無いけど)

  • 大学生の「わたし」は、同じ学科の加世ちゃんが里帰りしている夏休みの間、彼女が一人で暮らしているアパートの部屋を借りて、束の間の一人暮らしをしている。高校生の頃通っていた予備校の先生、サイトウさんとの恋――この深い森から抜け出せるときは来るのだろうか。

    「たとえば街中で一緒に聴いた曲を耳にすると体が壊れそうになったり、思い出すたびに何度も走り出そうとしてしまったり、そんなふうに気持ちは湧き上がるけど、だからって、もう一度繰り返す気はありません。今度あの人に触れられたら、わたしたぶん死んじゃいます」

    なんて切ないのだろう。このセリフには胸が締め付けられた。しかし、高校の同級生キクちゃんと、彼女の兄弟との交流の中で、徐々に森の中から抜け出そうとしていく「わたし」の姿は、とても痛々しいけれど清々しい。とくにキクちゃんの兄雪夫との関係には、お互いの心の傷を癒し合い、救い合える、前向きなきらめきを感じた。

    本書も『リトル・バイ・リトル』同様、芥川賞候補となったことに納得できた。一作ごとに才能が開花していくように思える。微妙な心理描写が本当にうまい。『シルエット』のイマイチ感が嘘のようだ。また、表紙のイラストがとてもきれいだと思ったら、絵本画家のミヒャエル・ゾーヴァによる絵だった。文庫になってもこの絵が表紙になるといいな。

    キクちゃんたちの父親の、酔ったときの口癖が、なんだかぐっと来たので引用しておく。
    「努力は自分の好きなことにだけ使え」
    「なんでもあせったら負けだ」
    「死ぬ間際に、嫌だったことやつらいことなんか、なに一つ思い出せないように生きろ」(2005.4.19)

  • この雰囲気は島本さんの専売特許ですね

  • 芥川賞候補になった作品ということで
    図書館で借りてみました

    なんだか
    ハッピーな物語のようで
    とてもものさびしい気持ちになる

    恋愛が終わるってどういうことなんだろう…
    その人をずっと好きならば
    恋愛は終わりなのかな…

    なんとなく感傷的になってしまった…

    でも頼れる誰かがいるって大きいことだな
    私には近くに頼れる誰かはいるだろうか。

  • 2009.4.14
    大学一年の夏休み、京都に帰省する、友だちの加世ちゃんのアパートを
    借りた野田ちゃん。
    高校の時のクラスメイト、キクちゃんとその兄雪生さん、弟夏生くん、
    高校の頃通っていた塾の講師サイトウさん  のお話。
    この人のお話は、再生途中の人がよく出てきますね。

  • 友達が帰省する夏休みに、一人暮らしの部屋を借り受けた大学生の過去の恋愛と、成長を描く。
    全体的に、静かな話ではあった。
    引きずるほどの恋愛も失恋もしたことのない私には主人公の心理はよくわからなかった。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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