- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062145367
感想・レビュー・書評
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空ってタイトルについてるのに、真っ黒な装丁で。そこに惹かれた。
とても興味深いお話だった。
何回も読まないと輪郭がつかめない、感触がつかめない。
そうでもない?そうでもないのかな?
人に勧めてみたいな。落ち着いたらもう一度読みたい。
全く違う感性に触れることが出来た。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
心がざわざわして仕方ない。自分が知り得ない「男性」という物がすこし見えた気がする。すべてではないしすべての男性でもないけど。
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2009.5
「空で歌う」
妻に内緒で亡き兄の元カノと旅に出る。
少々不思議な関係の二人の旅。
兄の幻影を求める旅、決別の旅、どっちを望んでいたのか、ちょっと気になる。
彼女に惹かれていく想い。
妻を想う気持ち。
いろんな気持ちが入り混じって複雑。
かなり複雑。
でもロードムービー的に読むと面白い。
あまり親しくない人が旅をする設定ってけっこう好きだ。
「木曜日に産まれた」
苦しすぎる。
見守ることしかできない男の立場。
バランスを保つために平静を装う。
ラスト、ちゃんと泣けてよかった、と心から安堵した。 -
変わり者だった兄との思い出を振り返りながら、兄の元恋人と種子島に向かうロードムービー風の表題作の他、流産してしまった妻との関係性を計りかね、いっそ自分が妊娠し産みたいと思う男の心の動きを追った中篇の2つの物語が収められている。
どちらも、挿入されるエピソードが印象的。
死んだ金魚を凍らせて、5つの風船に赤い糸で結わえ付けてクリーム色の空に放つ少年の姿は目にまざまざと浮かぶようだし、「木曜日生まれの子は遠くへ行く」という意味ありげな言葉も印象的。この格言(ではないか)、はじめて知ったけどマザーグースの一節らしい。
表題作『空で歌う』のラスト、なぜこのタイトルになったのかというのがわかるくだりのエピソードも、ああそういうことなのか、とはっとさせられた。 -
表題作は、回想でしか登場しない「兄」の人物像が最後まで読んでも謎だった。物語の設定としては好きなのだけど。
もう一つの短編は以前文芸誌掲載時にも読んだが、やっぱりぐっとくる。主人公と同世代だからかもしれない。
装丁も素敵だし(帯が良し)、次回作も楽しみな作家。 -
ん?
って感じ。捉えている世界も、空を題材とした話も、好きなはずなんだけれども。
はじかれてしまった気がする。
「32歳の男が、死んだ兄の恋人と旅をする。」
それだけなんだけれど。
別に、何をしても良いとは思う。
それでもひっかかるのは、多分、夜の部分の描き方。
「男ってさぁ…。何でこう、情けないの?」と何もわかってない私ですら、うんざりする図々しさ。
これが書きたいものの1つだったとしたら、それはそれでよいのかもしれないけれど。
誰に、伝えたくて書いたのだろう??
一緒に入っていた「木曜日にうまれた」の方が、迫ってくるものがあった。
赤ん坊を産めるか産めないかは、男女の大きな分かれ道。 -
事故死した兄の,元彼女とふたりで、種子島へロケットの打ち上げを見に行く32歳の男
年上の妻の流産をきっかけに
心のやり場を失っていく青年
中編2編
どちらの「男」もじわじわと情けない -
表題作と「木曜日に産まれた」の二篇。
個人的には「木曜日に産まれた」のほうが印象的。
語り手の男性の目線で描かれる、作中のまとわりつくような人の営み、匂いが読んでるこちら側にも迫ってきて気持ち悪くなった。
この著者の作品は初めて読んだけど、あまり肌に合わないかなあ。特に表題作は説明のための描写が多い気がして気になった。