誘拐児

著者 :
  • 講談社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062149181

感想・レビュー・書評

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  • これ、図書館にリクエストしたの私が1番だったの!
    賞を取った本だし、図書館もすぐに購入してくれました。
    1番ってなんか嬉しい〜!
    私の後にもたくさん予約が入ってると思うけど、なんか
    私のために買ってもらったって感じがするな。


    さて、内容ですが・・・。
    なかなかよかったです。
    ミステリーというか、人の心の動きを上手に描いてる。
    なかなか奥が深い作品だと思いました。

  • せめて昭和40年代に書かれていれば、もっと緊迫感があっただろうな。

  • 戦後間もない混乱期に、5才の男児が誘拐された。犯人は身代金百万円を持ち去り、男児の身柄は戻らず、15年の月日が流れる。
    惣菜屋と家政婦の仕事を掛け持ちで勤める女が殺された。
    事件を追う刑事、自分は誘拐された子供だったのではないかと疑う青年、複数の視点で物語は展開する。
    直球でサスペンス劇場の世界。
    設定も展開もオチも、見事2時間ドラマだなー、と感じた。

  • 江戸川乱歩賞受賞作品ということで書店に平積みされており、POPでも結構賞賛されていたので気になって入手。話の運びがドラマチックで、読んでいて飽きさせない。ミステリの醍醐味を十二分に味わえ、充実の読書時間が堪能できた。青年と彼女と刑事二組が徐々に確信へと迫る描写は迫力すら感じた。

    が、登場人物の二組(四人)の刑事の区別がつきにくかったのが残念。また、途中で犯人のめぼしがすぐに付いてしまった(だって他にいないもん)。いずれにしても、誘拐児が誰なのかがすぐにわかってしまうあたりで興味は半減してしまうことから、これって倒叙法で書かれたほうが面白かったんじゃないか......などとえらそうなことを思ってしまった。すごく面白かっただけに、読後感が「うーん、なんか惜しい」だったので、欲が出てしまったのかも。

  • 戦後の動乱のさなかに起きた誘拐事件が、時効間際に新たな事件を引き起こす。時代背景に疎い自分も、一気に読まされた。乱歩賞、やっぱり凄かった。

  • 今年の乱歩賞受賞作品その1。

    選考委員の東野圭吾も言っている通り、犯人の証拠物件の扱いに疑問が残ります。この物件こそが事件の発端なのでなおさら。不自然なご都合主義で興ざめでした。

  •  今年の乱歩翔受賞二作のうち一作は本書である。

     戦後に起こった誘拐事件、帰らなかった誘拐児。それから15年経った現在、新たな殺人事件が、時効迫る誘拐の真相に関係する、という戦後東京を舞台にした、実に斬新なプロットである。幼少の頃、吉展ちゃん誘拐殺人事件というのが世間を賑わしており、これが1963年、ぼくは小学校に上がったばかりだったが、あの時代のあの匂いといったものを強烈に覚えている。母が涙声で、残忍な事件をぼくに伝えたのだ。

     翔田寛は新人作家ではなく、既にデビューしている。作品リストだけ見るとちょっと毛色の変わった題材が多いのかもしれない。本書では巻頭の挨拶で、作者自身が出張の車内などで夢中になって乱歩小作品を読んでいたこと、だから自分の本もそういった出張族に読んで愉しんで欲しい、というようなことを書いている。

     日曜日に自宅で読んだのだが、巻置くあたわずの面白さであった。これなら長い車中の時間を忘れてしまうことだろうと思う。

     戦後闇市で起こった誘拐犯逮捕未遂、その捜査に携わった刑事たちの思いを、15年後の捜査陣が引き継ぐきっかけになったものは、平凡な独身女性がある夜の路上で、残忍な手口で殺害された事件であった。彼女は何を知り、誰に命を狙われたのか?

     一方で、母の死に際に、自分の出生の秘密をほのめかされた二十歳の青年は、母の隠していた過去を探ろうと奔走する。恋人の看護婦は横浜の病院勤務だが、その病院で運命の出会いが待ち受ける。

     二つの、別々と思われるストーリーが進み、どちらのプロットも謎を解明すべく歩き回る者たちによって展開される。多くの戦後の人間像が浮かび上がると同時に、かつての闇市での包囲網をかいくぐった時効間近の誘拐犯罪との関連性が浮かび上がる。

     既に作家デビューしているだけあって、筆力には安定感があり、実に巧みなストーリーテリングぶりを発揮している。人間たちの動きそのものがドラマであり、戦後すぐから始まって、本書の現在形も昭和36年というたまらなくレトロな時代に綴られる。

     まるで松本清張のような味わいを今、この現代に読めるというだけでも、一読の価値あり。おそらく、年末のベスト・ミステリ・リストの目玉になってゆくだけの作品であろう。

     戦後の苦しみの上に、それから遠い平成の今が立っているのだ、ということを改めて思い出させてくれるとともに、人間の営為は時代が変わろうとも、いささかも進歩がなく愚かであり、一方で無償の愛というものも永遠に変わりようがない、そんな裏と表とをひらひらと返してみせた、実に質の高い作品である。

  • 15年前に起こった未解決の誘拐事件。

    死に際の母の言葉で動揺する良雄。5歳の時の記憶も思い出されてきて……。

    一気に読み終えた。

  • (200808)

  • 2008/08/16読了

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。2000年「影踏み鬼」で第22回小説推理新人賞を受賞し、デビュー。01年「奈落闇恋乃道行」で第54回日本推理作家協会賞(短編部門)候補となる。08年『誘拐児』で第54回江戸川乱歩賞受賞。14年「墓石の呼ぶ声」で第67回日本推理作家協会賞(短編部門)候補に。17年『真犯人』で第19回大藪春彦賞候補になり、18年にWOWOWで連続ドラマ化。他の著書に『人さらい』『左遷捜査 法の壁』『左遷捜査2 迷宮入り事件』『冤罪犯』など多数。

「2022年 『時効犯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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