化合

著者 :
  • 講談社
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062169820

感想・レビュー・書評

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  • とあるひとつの事件を捜査する警察の姿を描いたミステリ。事件の謎自体はそう複雑なものではないのだけれど。事件に対する警察や検察の思惑がなんだかなあ……いや、解決を焦る気持ちは分かりますが。それでもその決め付けは、怖い。
    その捜査の手助けとなる科学捜査。なるほど、この進歩は大きいです。だけどそれも諸刃の剣なのかもなあ、と思うところもありました。どんな技術も、使う人次第ですし。

  • 板橋の公園で殺人事件が起きた。所轄の滝下と組むことになった本庁の菊川は、烏山検事の強引な容疑者同行に疑問を抱く。それは菊川だけでなく滝下も同じだった。さぼることばかり考えているように見えた滝下がしたたかに事件の真相に迫る。このコンビがすごく良かったです。危うく冤罪事件となるところが後半、あまりに急展開という部分もありますが、それが時間との戦いに拍車をかけて手に汗握るといった感じでした。一気に読めました。警察小説の中でも今野さんのは読みやすくて好きです。

  • 自分がこうと思ったら、検事は証拠など適当につじつまをあわせて、拷問に近い方法で容疑者から自白をとる。最近小説の世界だけではないことに驚愕したばかりだ。 この物語の舞台は1990年の東京だが、テーマはとてもタイムリーだ。 殺人事件を追う菊川刑事と先輩刑事・滝下は最初に浮かんできた容疑者はシロだとにらむが、指揮官でもある烏山検事は絶対にクロだと決め込み、連行して自白を取ることに固執する。 菊川と滝下は重要な証拠・証言を集めるが検察官は客観的な証拠など歯牙にもかけない。 物語は事件の真相より、刑事と検事の葛藤にファーカスが合わされている。淡々とした捜査の描写が続くが、ベテラン刑事・滝下の人物像が興味深いし、終盤の盛り上がりもやっぱりうまい! 20年経った現代ではDNA鑑定は素人でも知る所となったが、それでも冤罪事件はまだまだあるのだろうなと怖くなる。

  • 立件を急ぐ検事と冤罪の疑念を抱く現場捜査官との対立を軸に描かれている。事件自体の面白みよりも先輩刑事の筋の通し方が心地よい。

  • 検事の思惑通りに有罪になっちゃぁかないませんよね。
    冤罪って多いのかな?

  • 検事が臨場し、捜査会議でも指揮を執る。
    斬新な設定。
    情熱ある、真面目な若手と、優秀なのに、どこか全力でないような、ベテラン。
    メインのコンビのバランスもよく、面白く最後まで読む。
    誰もがいい人すぎる感はあるが、読後感もよい。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-b8be.html

  • 今野敏警察ワールド。シリーズものでなさそうなので、人物への思いこみがなくて、気楽に楽しめた。三枝・菊川コンビで、続きの話がありそうな終わり方だったけど、あるのかな。

  • いろんな種類の人間を書くのが上手いなと思う。
    年代が少し古い時代が舞台だけども、昨今検事についての事件もあったから、それについては、時代に合った題材ともいえると思う。

  • 今野敏さんは、警察官を通して「人間」を描いている。

    人間の持つ知情意。心の動き。

    本書でも、人間心理を物語にのせて浮き上がらせて見せてくれた。
    相変わらずのお手並みが心地よかった。

    ただ、その見せ方が今回はかなりざっくりしたもので、驚いたのも事実。

    わかり易くはある。複雑な人間心理を相当に咀嚼した形で小説化しているからだ。

    問題は、このわかり易い登場人物たちを読者がどう捉えるかだろう。登場人物たちが素直すぎるのである。
    否定的な意見も出そうなわかり易い素直さなのである。

  • 面白かったですね。
    なんで、昔の時代設定なのかは不明ですが
    まあ面白ければOKです。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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