- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062177191
作品紹介・あらすじ
ベルリンに集った留学生たちを撮影した一枚の記念写真。彼らのその後は、そのまま近代日本医学の歩みとも重なる。森鴎外と同時期に学んだ群像の波乱に富んだ軌跡を追う。
感想・レビュー・書評
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明治21年にベルリンで撮影された一枚の写真は、そこに若き日の森鴎外や北里柴三郎が写っていることから、歴史に残るものとなった。しかし、その19人は、当時日本から洋行していたというだけでも、エリートであるが、その後の人生は色々で、多くは日本で然るべき地位に着いたが、中にはドイツに客死し、名を残さなかった人もいる。著者は、その全員を探し当てるとともに、鴎外との関係を中心に、各人の一生を描いてみせた。中々の労作であり、ドキュメンタリーのようでもある。登場人物の多くは、医者であり、また、軍関係者であって、全体的には同質的であるから、一人一人の個性が記憶に残るというものでもないが、鴎外の日記を繰り返し引用することで、鴎外には詳しくなった。
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一葉の写真がある。明治二十一年六月三日。ベルリンで撮影されたその写真には19名の日本人が写っている。官費・私費でドイツ留学を果たした医学留学生達である。
当時の留学生達は皆選ばれしエリートであり事実、帰朝後は「日本○○学の父」と呼ばれた者が大多数を占める。
写真の中では若輩に当たる森鴎外をキーパーソンに、写真の19人と4人の鴎外ゆかりの友人を生まれから留学に至る経緯、そして帰朝後の生涯までをつぶさに描くことによって当時の日本の医学界の様子が見事に描き出される。 -
『舞姫』の登場人物のモデルについての考察が良かった。あとは正直…。