- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062187633
作品紹介・あらすじ
最注目作家・伊東潤×戦国の覇者・徳川家康
吉川英治文学新人賞、山田風太郎賞、歴史時代作家クラブ賞。
次々と主要文学賞を制圧する著者が、ついに上洛を果たす!
過酷な乱世を勝ち抜いた天下人、その「生きる力」に迫る。
この世には、凡人にしか越えられない山がある――。
信長でも秀吉でもなく、家康こそが天下人たりえた理由とは?
大胆不敵の大仕掛け、当代無双の歴史長編!
幼き頃、師より「凡庸」の烙印を押された男は、いかにして戦国の世を勝ち抜き、のちに天下を覆すことになったのか。
本能寺の変。信長、死す――。家康の人生最悪の危機は、最大の転機でもあった。
山岡荘八『徳川家康』、隆慶一郎『影武者徳川家康』、司馬遼太郎『覇王の家』。
名だたる傑作のいずれとも異なる、真実の姿を活写する!
感想・レビュー・書評
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どうも、徳川家康です。趣味は鷹狩り、決して何かに秀でてるわけではありません…そんな自己紹介を添えたくなる一冊。
人質から始まる家康の人生は峠の連続、ほんとうに逐一選択を迫られた人生であり、随所で今川家での太原雪斎の教えが頭を過り、彼を一歩ずつ創り上げたのかなとしみじみ。
しかも決して驕る性格ではない、自分で自分を凡庸だと自覚しているところはドラマの家康像にも重なる。
腹を割って話せる家臣との関係も良い。
謎めいた本能寺の変、オセロゲームのような心掻き立てる想像という真相から伊賀越えまでをよく仕立て上げられた作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今年話題の徳川家康。
いろんなキャラクターで描かれる徳川家康は本当はどんな人だったのか -
読みやすくておもしろかったです。
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神君の伊賀越えの話しがメインかと思ってたので、拍子抜けだったが、家康が凡庸だったという設定は面白かった。
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徳川家康が信長との因縁を振り返りつつ、本能寺の変後、伊賀越えを果たす。
本能寺の変について、武田家を滅亡に追い込んだ後、織田信長が徳川家康を暗に打ち果たそうとしたとの仮定で物語は進行していく。
たしかに、充分に考える事のできる話。ある程度までは、事実である可能性も高い。
織田信長の徳川家康への配慮を考えると、徳川家康の心中も察して余りある。
それにしても、これだから歴史は面白い。真実はしりようがなく、歴史は常に塗り替えられるのた。 -
家康が妙に人間臭く描かれていて良い。信長や秀吉と比べ、いまいちパッとしないが、これこそ己の凡庸を知る家康の処世術だったのかも。それでも三河武士の誇りは忘れない。何とも人間臭い家康。德川家の結束の深さもうなづける。
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2017.05.20
徳川家康のファンになるほどの本だった。信長暗殺がこのような視線で描かれてるとは•••。それも斬新だった。どうしてもあの時代は秀吉に向くけど、もう一度、家康の本を読んでみたくなった。 -
家康の本能寺の変前後舞台に過去のピンチを回想しつつ、物語のクライマックスの伊賀越えに臨む家康。回想シーンで展開される駆け引きはもちろん、伊賀越えの迫真の展開は、ぐいぐい引き込まれ度高し。明智謀反の展開のくだりはちょっと強引さも感じたけど、そんなことはどうでもいいのだ!ってどかどか読み進めるが吉。
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本能寺の変についての解釈が面白い。先日放送されたTV番組、世界ふしぎ発見でも紹介された説に基づくもの。耐えに耐えてきた家康がここぞという所で大番狂わせを起こしたのが良い。だけど時系列飛び飛びで分かりにくいし文体は薄っぺらいし、肝心の伊賀越えも短い描写であまり魅力を感じなかった。
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自分の中での徳川家康の3大危機
「三方ケ原の戦い」「長男信康成敗」「伊賀越え」
この3つ、すべてが網羅された1冊で、言うことなし、自分にとって感無量の一冊。
その3つともに伊東さんのオリジナルな視点が入っていて
歴史好きにはたまらない。
こういう新たな可能性を感じさせてくれるだけで最高の夢想になる。
特に歴史最大のミステリーの1つ「本能寺の変」についても
家康の間接的な犯行説がここでは使われていて
それもまたおもしろい。
最後の決死の伊賀越えの描写は、画が浮かぶようで
すごい迫力。
伊東さんの作品、誰か映画化してくれないだろうか、といつも以上に
思いました。 -
織田信長と同盟関係にある徳川家康は、自分が凡庸であることを受け入れているからこそ、強い信長の顔色を伺いながらも次々と立たされる窮地を乗り越えていく。
信長・秀吉の人物像は、読書やテレビの情報でなんとなく知っていたけど、家康のことはよく知らなかった。
知らないけど平凡そうな家康にあまり興味もなかったんだけど、この作品を読んでかなり好きになった。
「鳴くまで待とうホトトギス」に表されているように、忍耐の人だということがよくわかる。
師に「凡庸であることを知っている者は強い」と教えられた家康は、自分がたいした器ではないことを常に肝に命じている。
その謙虚さと我慢で天下を取ったことは意味深いと思う。
傲慢でオラオラなだけではダメなんだろうと思う。
信長に翻弄される家康が可哀想で親近感が湧いた。
いついつ・どこどこで・誰々が・どう戦って・その結果こうなった、という解説の部分が半分以上あって、歴史に疎い私のはその部分が歴史の教科書みたいで読みにくかった。
ただの解説ではなく、もっと物語風にしてもらえたらもっと楽しめたのに、残念。 -
家康の伊賀越えまでの内容でした。家康と光秀は繋がっておらず、穴山梅雪は家康に殺されるという、通説を外した内容で面白かったです。
本能寺の変前後について、後世のボクらはダイナミックな裏話を期待してしまいますが、本当の歴史は、本書のように、その場その場の判断の積み重ねでしかないのだとも感じました。
もっと悪どい家康像があっても良いと思うし、そう意味では、現代に通ずる通説や家康像を綿密に作り上げた徳川幕府はすごいとも感じました。 -
最後の伊賀越えのところで読むのをやめてしまった。
おもしろくない。
家康像は好きだし、なるほどこれが天下を盗る秘訣か?
この書き方には納得がいったけど・・・ -
表現は大したことはないが、新たな家康像が見えておもしろかった。
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【借りて読んだ本】
後に天下を取る家康が今川、朝倉・浅井、武田親子
との戦で
うまいこと利用されながらも自分を過大評価、過信せず
うまいことギリギリのラインで生き残ってきたことを
本能寺の変のミステリーを使用して読ませる。
日本史・時代物に詳しくないが
家康はしたたか/苦労人の両イメージがあったけど
これは苦労人が一皮むけてしたたかになる過程かな? -
本能寺の変の解釈が面白い、信長が家康を打ち取るつもりで丸腰で安心させ、京にに家康を呼ぶ。それを家康が気が付き、光秀に丸腰の信長を打ち取らせるようにする。今川の軍師雪斎の言葉「乱世では、己を知る者ほど強き者はおらぬのだ。そなたは凡庸な自分をよく知っておる」いくつもの峠を越えてきた徳川家康の伊賀越え。
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本能寺の変後、家康が京・大阪から本拠地である三河に必死に逃げ帰る。その行軍が、徳川家康の伊賀越えです。
家康最大の危機といわれる伊賀越えですが、それ以外にも多くの危機を人生で乗り越えてきています。峠越えにたとえて、人生を振り返るカタチで語りは進んでいます。
その人生訓めいたことよりも、本能寺の変勃発の設定がとても面白いです。メインが家康なので、あっさりと解説されているだけですが、とても面白いです。
この本能寺設定で、別の作品読んでみたいですね。 -
この本、お話自体は面白いんだけど
読むのに、すんごい時間かかっちゃったよ。
何でかって~と、理由は明白。
主人公が好みでなさ過ぎ。
これが現代で、リアルで、ってなら
家康セレクトもアリっちゃぁアリ。
身の程知ってる、凡庸でも世過ぎの達者な男。
でもさ、お話の中でくらい、ワルくてもイイ男と出逢いたいんだよぅ。
腐っても女子だもん(笑) -
戦国時代、最後の最後に勝者となったのは徳川家康。しかし、それは家康が戦国武将の中で、一番の才能を持っていたということではない。むしろ、彼の才能は織田信長や武田信玄には遠く及ばない。織田や武田に囲まれ、三河地方の小さな領土の一豪族に過ぎない家康は、自分の才能のなさと不運さに嘆く劣等感の固まりだった。
特に織田信長との関係。同盟を結んだものの、実質は配下扱い。忠誠を試され、戦場でこき使われ、あげくに最愛の長男を殺すことを命じられる。
しかし、家康は自暴自棄にならないし、一発逆転も狙わない。己を知りつくした家康は、実力、才能全てに信長にかなわないことを自覚して、耐えることに専念する。目の前の峠を越えても、次なる峠がそびえ立つ。それが己の人生だと悟っていた。
そんな家康の前に現れた最大の峠が自身の暗殺計画。家康は、時に慎重に、時に大胆に、最後には開き直り、その人生最大の切所を乗り切ろうとする。
本願寺の変には家康が深く関わっていたという、フィクションならではのエンターテイメント性もありつつ、新たな家康像を描いた男臭い歴史小説。 -
メジャーな家康前半生を斬新なストーリーで描いているのは良かったが、本能寺変で家康のトラップが軽すぎるのと信長殺害に至った(至ってしまった)光秀の行動過程がかなり強引だなと感じた。また、エンディングも消化不良感があり、斬新なストーリーが良いだけに、残念感たっぷりという読後だった。