3種類の日本教 日本人が気づいていない自分の属性 (講談社+α新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062724975

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  • ・就職活動がシュウカツとなったのは、それが一つのシステムとして機能するようになったからである。(企業側からも学生側からも、流れ作業として)

  • 著者はオウム事件のときにオウムを擁護したとしてバッシングされたことで有名な宗教学者の島田裕巳。
    日本には大きく分けて3つの宗教というか属性があることを説いた一冊。

    ・サラリーマン系
    ・公務員・教員系
    ・自営業・自由業系

    そしてこの属性が様々な分野で大きな影響力を持っているという分析。

    確かに自分はサラリーマン系の家庭に育ったので、自営業になることに全くリアリティが持てなかった。
    また、自営業系や公務員系に憧れはあるけれど、そういう道に転職することには躊躇する。

    逆に自由業に生きてきた人にとって(例:スポーツ選手)、サラリーマンに転職するのが難しいのもよく理解できた。

  • 宗教学者による日本論。
    日本人をサラリーマン系、自営業・自由業系、
    公務員・教員系の3属性に分類して、
    さらに大学との対応関係にまで言及。

    まぁなんというか、「文系的」であんまり根拠のない
    話である。
    特に、慶應はサラリーマン向き、早稲田は自由業、
    東大は起業に向かない、とか、
    思い込みにちょうどいいサンプルを拾ってきただけだと
    思うような話も(笑)。
    そこまで考えて高校生たちが受験しているのだろうか。

    まぁでも、中にはもっともだな、ってことも書いてあって。
    以下抜粋。

    p.190
    サラリーマン系として生きるということは、
    企業という集団に対する適応力を高めるということでもある。
    (略)
    ところが、ここが難しいところだが、国際化、情報化が進む
    現代の社会においては、世界を相手にした競争に打ち勝っていかなければ
    ならず、その競争で勝者になるためには、たんに組織に対する
    適応力を増し、順応性を高めても、それでは足りない。

    p.212
    労働条件の苛酷な小さな企業などでは、厳しい労働環境に耐え、
    それでも頑張り通す人材を育成するために、意図的に忠誠心を高め、
    企業の目的を自らのものとして内面化させるために、宗教団体の
    研修会で使われる、自らを犠牲にしても組織に尽くさせる手法に似たものが
    使われているようだ。

    p.213
    現代の社会では、広大な世界がつながり合っていて、個人は世界大に
    広がったネットワークにからめとられている。その状況のなかで、
    自立性を保つこと自体が難しい。

    以上抜粋。

    特に宗教に関する言及は、さすがに宗教学者、鋭い。
    有りもしない神を信じ込ませ、そこに自己犠牲を強いるというのはまさに
    宗教のなせる業であろう。
    欧米などの一神教社会では、宗教そのものがビッグにその役割を果たしているから、
    それに染まっている人にとっては、逆に仕事・企業というところでは
    それを担えないとも考えられる(2つの神は持てないから!)

    逆に無宗教である日本では、なにがしかを信じ込まされやすい人に、
    企業理念だとかカリスマ経営者像だとかが宗教的位置づけで強烈に
    降り注いできたら、なるほど、洗脳みたいなモンになりえるのかもしれないと思う。

    まぁ、このへんについても本書では事実引用がされているわけでもなく、
    私自身も明確な実例を知らないし、
    結局のところ無根拠な推測の域を出ないのではあるけれど(笑)。


    というわけで、まぁ「宗教と日本」というテーマを考えてみるときの
    ひとつの材料としては面白い本だと思うけれど、
    実際に悩んでいる人を救える本ではないと思う。

  • まさにサラリーマン系の自分、わかるわかるとうなずきつつ読了 大学で影響されたこと、あまりないと思っていたが、もともと、サラリーマン系、やや体育会系の自分の気質にぴったりだったから、しっくりはまっただけ、だったのかも。

  • [ 内容 ]
    格差社会が到来したと言われ、勝ち組と負け組との差が大きくなったとも伝えられている。
    このまま将来性のある職につかなければ、負け組になってしまうのではないか。
    そうした恐怖心を抱えている若い世代も少なくない。
    では、どうしたらいいのか。
    この本では、自分の生きる道をどこに見出したらいいのか、それを考えるヒントを与えることをめざしている。
    その出発点になるのが、三種類の日本教、三つの属性ということであり、自分がそのどこに属しているのかを知ることで、考えるための道筋がはっきりしてくるはずである。

    [ 目次 ]
    序章 本書がなぜ人生を変えるのか
    第1章 サラリーマン系に属すべき人々
    第2章 自営業・自由業系に属すべき人々
    第3章 公務員・教員系に属すべき人々
    第4章 三つの属性が伝えられる過程
    第5章 三つの属性に対応する大学
    第6章 一流企業に入ると不幸になる人々
    終章 正しい属性で生きる人間の可能性

    [ POP ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • なるほど、と思わせる内容。 日本人が重視する「仕事」の面から、サラリーマン系、自営業・自由業系、公務員・教員系の3タイプに分類してみる試みは面白い。 ただ、タイトルの「日本教」はほとんど無関係。 あと、筆者の経験や推測に基づく主観的な意見が多く、説得力に欠ける点が気になった。 [more] <li>サラリーマン系 組織での成果重視、組織への同化(空気を読む、協調性、群れる)、仕事と家庭の分離(子供に仕事が見えない)、堅実な金銭感覚、慶應 </li> <li>自営業・自由業系 個人・家族(仲間)での成果、他人との協力(空気を読む、交渉力)、仕事と家庭の同化(子供が仕事に親しむ)、豪快な金銭感覚、早稲田 </li> <li>公務員・教員系 個人での成果主義、試験を通過する(自学自習)、仕事と家庭が一体化(家庭も公的な制約を受ける)、俗世から一歩引いた視点、東大(旧帝大) </li> ・サラリーマン系は戦後の高度経済成長で急激に増えた。そのため、社会のバランスが崩れているし、新たな問題も生じている。サラリーマンが一般的な仕事、と考えるのは危険。 ・サラリーマンの子供は、親の仕事を体感できない(組織で仕事をするため、個人を見ても仕事の全体は分からない)。このため、シュウカツで初めて「仕事」を意識する若者が増えている。 ・昔は「紹介」によって就職することが普通だった。(仲介者が真面目であれば)雇用者・求職者の双方に大きなメリットがある。特に、サラリーマン系以外の人間によっては「紹介」こそが最も安全な職探しの方法。

  • ドライな人間関係がサラリーマン系の普通の姿。
    慶応がサラリーマン系に強いのは基本が体育会系だから。会社という言葉を日本で最初に使ったのは福沢諭吉。
    慶応出身の橋本、小泉は改革に熱心だった。
    早稲田出身の首相は明確な政策を掲げない。周囲の考えや意見を汲んでその時、もっとも求められる政治を実行する。

  • んー。

    日本人の系統を、

    - 公務員・教員系
    - サラリーマン系
    - 自営業・自由業系

    の3通りに分けて説明する、
    というご本です。

    この分類、結構的を射ていて、自分の育った環境を
    自分も、そして周りの人も良く踏襲していることが
    分かります・・・。

    ちなみに、この本にのっていないこととして、
    私の実感は、

    それぞれの系統は特に若いうちは、自分の持っていない
    系統の特性にあこがれて、それになりたいって
    思ってしまうって傾向が意外と強いって事かな。

    結局最後は自分の出自に戻るわけだけど・・・。

    ステレオタイプで、ざっくりしすぎの議論展開では
    あるけれど、これはこれでわかりやすいと思います。

    ※ちなみに、"日本教"ってワードをこの本で使うのは、
     ちょっと違う気がします・・・。
     売れる名前をつけたんでしょう・・・。
     ユダヤ人と日本人を読んだ身としてはね・・・。

  • 日本人の属性をサラリーマン系、自由業系、公務員系にざっくり切って分析をされています。
    切り口はなかなか面白いのですが、内容は「てめーの思い込みやん?」って突っ込みどころが5ページに1回くらい出てきます。
    もちろん納得できるところもありますが。
    少し期待はずれだったかな、図書館で借りて読むか立ち読みする1冊です。

  • 読みやすい。

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著者プロフィール

島田裕巳(しまだ・ひろみ):1953年東京生まれ。宗教学者、作家。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任し、現在は東京女子大学非常勤講師。現代における日本、世界の宗教現象を幅広くテーマとし、盛んに著述活動を行っている。 著書に、『日本人の神道』『神も仏も大好きな日本人』『京都がなぜいちばんなのか』(ちくま新書)『戦後日本の宗教史――天皇制・祖先崇拝・新宗教』(筑摩選書)『神社崩壊』(新潮新書)『宗教にはなぜ金が集まるのか』(祥伝社新書)『教養としての世界宗教史』(宝島社)『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)等多数あり。

「2023年 『大還暦 人生に年齢の「壁」はない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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