- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062739894
感想・レビュー・書評
-
浅田次郎の自衛隊・兵隊モノが好き。ちょっと抜けたバディの話とか何度読んでもいい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
名誉も誇りもない、そして戦闘を前提としていない、世界一奇妙な軍隊・自衛隊。世間が高度成長で浮かれ、就職の心配など無用の時代に、志願して自衛官になった若者たちがいた──。軍人としての立場を全うし、男子の本懐を遂げようと生きる彼らの姿を描いた、著者自らの体験を綴った物語。
軍記物ではないが、軍の姿を描いているものは、読んでいて無意味に腹が立つことがある。特に、自分の機嫌次第で部下を殴る上官に対して強く感じる。自衛隊のことはよくわからないにしても、「怖い」というイメージはどうしてもあった。
けれども、この小説では、必ずしも上官みんな殴るだけが能の嫌なヤツではないことがわかる。普段は厳しく、暴力ばかりしている上官も、時にはちゃんと部下を気遣い、同期を気遣う姿も描かれていて、彼らも血の通った人間なんだということに改めて気付かされた。 -
自衛隊の若手隊員を題材にした小説。時代設定は1970年頃、というから、ちょうど三島由紀夫が市ヶ谷の駐屯地で自決した頃だ。
実際に、小説の中に1箇所だけ、その事件に言及した部分がある。少し長くなるけれども引用する。
去年、市ヶ谷駐屯地のバルコニーで自衛官の名誉と尊厳を説いた末に腹を切った小説家がいたが、彼の口にした「正論」に当の自衛隊員たちが誰も賛同しなかった理由は、彼がおのおのの存在責任にまったく関与しない、他者(よそもの)だったからだ。すなわちすべての時間とすべての道徳とを共有しない他者である限り、自衛官は誰ひとりとして彼の説くところに耳を傾けるはずがなかった。
全くその通りだろうと思う。この小説には全く関係のない話になるけれども、これを読んで、いったい三島由紀夫はどんな成算があって事件を起こしたのだろうか、ということが気になった。
ある日突然、自衛隊に乗り込み演説をして決起を促し、本当にそれに乗ってくる自衛隊員がいると思ったのだろうか。クーデターみたいなことをやりたかったのだろうと考えると、三島由紀夫の主張に「賛同」する自衛隊員がいるだけでは全く不十分であり、自衛隊という戦闘力全体をその目的のために操ることが出来る状態になることが必要だったわけだし、それでもまだ不十分で、その戦闘力を使って、どのようにクーデターを展開するのか、という戦略や戦術が必要だったはずである。4人で自衛隊に乗り込み、実際にそんなことが可能だと考えていたのだろうか。そんなはずはない、と思うのだけれども、そうであれば、この事件を起こした意図は何だったのだろうか、ということが気になった。 -
好き。特になんにもない日常が描かれている、ただそれだけの本だけど、
浅田次郎独特の書き方で、すごくバカらしいことをみんなまじめにやっている、そんな実世界の亜空間を覗いているような気にさせる本。
短編集で、それぞれのハナシが根底でつながっている、そしてサクサク読める、アタマのリラックスにもってこいの本です。 -
7/9:1970年代の自衛隊員の短編集 大戦の生き残りやヤクザくずれ、大学受験に失敗した浪人くずれといった色んな背景を持った隊員が悩んだりにげたりと
7/7:ジロリアンの本領です。 -
一昔前の自衛隊の話です。
三島由紀夫の自決について、ほんの少し触れています。
著者は三島に憧れていて、彼の自決が自衛隊入隊の動機だったと言われているそうです。それを思うと、あの2行がよけいに興味深いです。
W士長とW一曹のコンビがいい(*^_^*) -
1970年代の自衛隊、そこにいる様々な隊員が主人公の短編集。作者が自衛隊に実際に在籍していただけあって細部の描写まで面白い。特に士長達が一筋縄ではいかない人達だけど、とても良かった。
-
軍隊の話。浅田次郎さんは時々こういう話を書かれるけれど、こんなに抵抗感なく読めると、なんだか不思議。軍隊の中の人間関係が中心だけど、暴力を抜きにすれば、どこにでもありそうな人間関係でもあるね。
-
面白い!
結構何回も読んだけど飽きない。
劇的な何かが起きるわけじゃないけど、知らない世界を覗き見て共感して、というのがいい。 -
ちょっと異次元の青春群像。若いんだけど渋い。大きくないんだけど最後はかっこいい