- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062756839
作品紹介・あらすじ
中学生の獅見朋成雄はオリンピックを目指せるほどの駿足だった。だが、肩から背中にかけて鬣のような毛が生えていた成雄は世間の注目を嫌い、より人間的であることを目指して一人の書家に弟子入りをする。人里離れた山奥で連日墨を磨り続けるうちに、次第に日常を逸脱していく、成雄の青春、ライドオン。
感想・レビュー・書評
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初めての舞城さん。
なんだこれ…評価しづらい。
文体、設定、展開、擬音語、人物などなど…どれも新鮮。
よく分からないけど、印象的な作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
成雄シリーズ。舞城版不思議の国のアリス。『千と千尋』って言ってる人もいて、確かにと思った。スピードボーイよりは好きかなあ。相変わらず起承転結とかかなぐり捨てててめちゃくちゃで、でもそこが面白かった。次は獣の樹、読みたいです。
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久しぶりの舞城ワールドを楽しんだ。
本作品も福井が舞台で福井弁で、いつもながらの圧倒的文圧で見開き2ページが文字で埋め尽くされてて、スピード感満載で、擬音だらけだけど的確なので本当に音が聞こえてくるようで、それでいて純文学ぽくもあってでも最後の方は結構しっちゃかめっちゃかで、しっちゃかめっちゃかなんだけどなんか爽やか系のようでいてでもグロテスクな場面もあったけど、やっぱり舞城王太郎は好きな作家の1人だ。 -
舞城王太郎にしては読みやすいように感じる作品(笑) 色々と謎は残るけど,ミステリでもないしまぁそれはいっか,と割り切れば面白く読めます。分量的にもさくっと読む分にはいいかと。
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背中に鬣のある成雄くんが、書道家に弟子入りしたり馬を追っかけたり変な集落に迷い込んじゃったりして走りまくる。けれど他の舞城作品に比べれば穏やかで、少しファンタジーっぽくもある。
……などと呑気に読んでいたら、さらっとグロくなってさらさらっと自分が自分でなくなってしまい、うわぁ油断した、やられた、と思った。
舞城作品の登場人物たちは、頭がよくても間違う。きちんとリスクを考えて、その上で自分の頭で物事を決定するのだが、それでも現実はさらにその上を行くのである。成雄くんが鬣を剃ってしまう場面は、彼の判断の上の予期しない間違いとして非常に印象的だ。
何をどうするか、目の前のことにどう対処するか……これまで築き上げてきた「自分」がそれを決める。しかし、その主観が昨日までと全く変わってしまったら?
過去の自分に囚われない、ということは実際に可能なのだろうか。過去の自分を失うということは、現実とのつながりを失うということなのではないだろうか。
失敗して、間違っていくからこそ、私は私でいられるのかもしれない。昨日までの自分に振り回されること。形式を失わないこと。走り続ける成雄くんは、一体どこへ行くのだろう。 -
鬣とカニバリズムとエトセトラ。めまぐるしく変わるスピーディーな展開で成雄の疾走は続く。そのままのスピード感で終わったのが気に入った
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相変わらず凄まじい勢いとスピード感
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『僕のレースはいつも先行逃げ切りタイプで、それは百メートルでも四百メートルでも三千メートルでも一万メートルでも変わらなかった。』
『ナルちゃん、書には興味ないんか?俺が教えてやるで』
『いいな、それ。モヒ寛、頼むわ』
『「しゅりんこき しゅりんこき しゅりんこき」が「しゅわりぽちん しゅわりぽちん しゅわりぽちん」に変わったくらいが僕の墨で』
『馬?』
『鬣がなければ僕はもう僕じゃなくなるのだろうか?』
『判らない。』
『今のところは?じゃあいつ僕は僕の、鬣に頼らない自分自身ってやつを獲得できるんだ?』
『判らない。』
『判らない判らないで考え続けて来年再来年十年後を待つつもりか?』
『ニザン。ニイイイザン。ニイイザン。』
『何も悲しいことはない。でもこのときここで、何かが圧倒的に失われていって、絶望的に終わっていくのを下半身で感じて、僕は泣く。』
『ゆっくり去勢されていく。しぞりりりりんに。しぞりりりりんに。』
『僕は新しい僕になる。端的に言うと、もう僕の背中の上に、毛がない。』
『ヒトボンは人盆だよ。今日の人盆はアベナオキ君。』
『私が言うてるのは、盆っていう芸術を、書を究めようとする杉美圃さんなら否定できんやろ、と言うてるんや』
『人は人を食うたらあかんっていうこの原則が盆を否定してるやろうが』
『成雄君はいいの?』
『いいんや。俺の人生、よう判らん展開が多いんや』
『よう判らん展開のまま突っ走って、後悔しないでね』
『いや、不思議なことに、後悔だけは俺、したことないんやわ』
『君、目の前にあるもの、とりあえず全部丸呑みにするっていうの、やめた方がいいよ』
『そんじゃあさ、とりあえずこのトンネルから出たらさ、まずはそこから直していこっか。どう?』
『墨を磨るために僕が求める「しゅりんこき しゅりんこき」という音が出てこない。鬣を失って、僕は墨まで無くしてしまったんだろうか?僕は少し慌てる。すると僕の様子に気づいたモヒ寛が言う。』
『ナルちゃん、前に気に入ってたもんにこだわる必要はねえんやぞ。目の前にあるもんでやってみれや』 -
―――中学生の獅見朋成雄はオリンピックを目指せるほどの駿足だった。
だが、肩から背中にかけて鬣のような毛が生えていた成雄は世間の注目を嫌い、より人間的であることを目指して一人の書家に弟子入りをする。
人里離れた山奥で連日墨を磨り続けるうちに、次第に日常を逸脱していく、成雄の青春、ライドオン。
ひさびさ舞城
それにしてもこの改行の少なさよ笑”
本編は230ページやけど、文圧は500ページ分ぐらいある感じ
最初のほうで
「わー!レロレロンバンバブラブラアアアア!」
とか言う主人公も
「罪とは何だろう。」
と悩む。
このカオスっぷりも舞城の魅力の一つ笑” -
はじめこのまま話が進んでいくのか?っと思っていると
途中から舞城ワールドの千と千尋に入っていきますw