スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 9246
レビュー : 1059
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765572

作品紹介・あらすじ

莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。そんな中、あの事件の直後に百二十八通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った一人の少女に注目が集まる。彼女は誰なのか。そして環が受け取った一つの荷物が彼らの時間を動かし始める。

感想・レビュー・書評

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  • 最後に伏線を回収しまくりで良かった。ラストシーンは映画のようでした。スロウハイツのメンバーそれぞれ、個性的で面白かった。

  • 今までの全てが繋がるような最終章がとても良かった。
    電車で移動中に読んだのだけど、家でもう一度読み直したほど。
    読後感も爽やか。

  • 伏線が鮮やかに回収される小説は他にもたくさんあるけれど、それだけではなく自分とは遠い特徴を持つキャラクターたちに対しても共感してしまうほどに魅力的な作品は他にはないと思う。

  • 2019/11/13

  • 上巻を過ぎ下巻に入ったくらいでなーんか放置してしまっていたけど、ついに読み終えた…!途中からは一気読みでした。

    スロウハイツの住人は結局みんな才能があって、見た目も良くて、なのにそれをひけらかさない人々だったなぁ。
    でも、たぶん周りのやる気に引っ張られ合ってるんだろうなと思った。
    物作りする人が一番羨ましい環境!
    一人で頑張るのってなかなか大変だからね。

    いくつもの「実はこうでした」があったけど、どれも素敵で、明かられるたびにわくわくした。さすが辻村深月!

  • 辻村さんの小説は色々な小説の相関関係が複雑なので、完全に楽しむには関連書籍の記憶が残っているうちに一気に読みたいわけでありますが、色々面白い本があるこの世の中そうそう一気読みもしていられません。
    噂によるとこの本もまた他の本との関係があるようです。結構読んでいるのですがさすがに記憶の外でございました。
    しかし結論から言うと他の本読んでいなくても面白さ自体は全く減じないです。
    辻村さんの得意とする、子供から大人に至る過程で失ってしまうか乗り越えてしまうものを丁寧に描いています。普通大人が「いつか平気になるよ」と思わず言ってしまうような事を、本当にそうなの?と問い掛けてきます。そうなんですよ、大人になってみんな平気な振りしているだけなんですよ。
    古い洋館に集った若くて才能あふれた若者達。上巻で割と冗長とも思える生活のやり取りを書いていますが、下巻で一気に怒涛の伏線回収。さすがの辻村マジックでした。
    恋愛も友情も嫉妬もこれでもかと書いていますが、読み終わった後に残るのは優しい気持ちです。

  • 少々変わっていても、何かに夢中な人は魅力的なんだろう。
    ここにはそんな人物が何人か登場し、彼らに憧れ、夢を追う人達の話。
    上巻にはなかった不穏な空気も訪れ、どうなっていくのか…という点もありおもろかった。

  • 上巻が多少ダレ気味だったが、下巻の半ば以降から一気に加速。
    小さなエピソードも台詞もすべてが、実に鮮やかに回収されてラストへと向かう。
    赤羽環の設定が何故こんなにえぐいのか。
    スロウハウスに作家のチヨダコーキが住まうのは何故か。
    何故登場人物たちの距離がこんなに近いのか。
    今ではよく分かる。
    これは、クリエイターたちの成長と再生の物語だ。
    お互いがお互いから何かを受け取り、何かを与え、そして新しい階段を昇って行く。

    物語が人生を支える。
    そんなことを言うと陳腐に聞こえるが、誰の人生の中でも、一冊の本や一本の映画が、あるいはひとつの曲が、心の支えだった時があることだろう。
    大人になっても忘れらない名作や名曲も、ひとつやふたつではない。
    それは、間違いなくあなたの一部となり、成長を後押ししてくれたものだからだ。

    『私は虚構と現実がごっちゃになったりはしていないし、自分の現実をきちんと捉えたその上で、チヨダブランドを読むのが何よりの幸せです。
    (中略)読んでもいないのに、本を悪く言う人もいるだろうし、読んでも心に響かない人もいると思う。
    だけど、私には響いたんです。
    あの時期に、チヨダ先生の本を読んでいなければ、私は今、ここにいませんでした。』

    ・・その著作に影響されたという殺人事件から、作家チヨダ・コーキは筆を折る。
    そこに届いたのがこの手紙だった。
    『コーキの天使ちゃん』と呼ばれたこの手紙の主に秘かに会いに行き、そこでコーキが見たもの。
    もうここから先は涙が滲んで読めなくなるほどだった。
    『天使』どころではなかった。
    手紙の主の、あまりに過酷な現在。
    離ればなれで暮らす妹との、週一のわずかな逢瀬。ここは泣けた。たまらなく泣けた。
    そしてコーキもまた、そこから再生していく。

    『大人になるのを支える文学。・・・それで構わないんです。
     (中略)その時期を抜ければ、それに頼らないでも自分自身の恋や、家族や、人生の楽しみが見つかって生きていける。それまでの繋ぎの、現実逃避の文学だと言われても、それで構いません。自分の仕事に誇りを持っています』
    そう言わしめるほどに。

    良いことばかり書いている作品では決してないし、善人ばかりが登場するわけでもない。
    でもその後味は、初夏の風に吹かれているように爽やかで心地よい。
    もしかしたら、誰もが誰かから何かを受け取り、何かを与えているのかもしれない。
    そう思うことが、私をつつましい気持ちにさせる。
    創作に関わることを、どうか諦めないで欲しいという作者の願いが痛々しいほどに伝わってくる。
    そしてこの作品もまた、誰かの心の支えになっていくことだろう。

  • 人気小説家のチヨダ・コーキ、人気急上昇中の若手脚本家の赤羽環を中心として、多くの『作家』や『作家志望者』と共にアパート「スロウハイツ」での共同生活を描いた作品である。


    上巻では様々な登場人物のエピソードが描かれ、伏線を張っているなと感じていたが、下巻ではそれらが回収されていく。

    結果的に言えば、クリエイター達の恋愛物語である。光輝が環をずっと昔から知っていて、好きだったというエピソードは驚いたし、終わり方も良かった。

    ただ、登場人物が多くて個々に感情移入し辛かったのか、あまり印象に残ることが少なく、あっさり読み終えてしまった。

  • 読後感がよい。すべてがきれいに収まるところに収まる。相手へ傾ける気持ちは目に見えるわかりやすい形だけが美しいわけではないと強く感じた

  • 読み終わった時、よかった!と思った。おとぎ話のようなきれいな終わり方だった。あの時のセリフの意図がここにつながってる〜と思う箇所が何個かあった。最後まで読んで納得がいった。登場人物がそれぞれの想いと意思を大切にしているところに好感が持てた。

  • そうか、天使ちゃんをちゃんと見つけていたんだ。
    読んでいてどこかほっとした。
    途中からあれ?と思ったのは勘が当たっていた。

    莉々亜の話も分かりやすくてやっぱり、という感じ。
    これは読者を騙すことに重きをおいていないのかなという気がする。すごく環に反発していたのは、環が天使ちゃんと気づいていたからなのか?

    途中からコーキの環への愛が語られ、ああ、環の片思いじゃなかったんだと嬉しくもなり、でもそれって恋人としてというよりは人間愛だよな、これからどうかなるのかな。

    きっと、コーキは言わないのだろう。
    天使ちゃんを見つけていたこと。ずっと見守っていたこと。
    辻村深月の物語はとても優しい。

  • 読後感いい。


    あのエピソードにはこういうカラクリがあったのか。
    あの人はこういう風に感じてたのか。

    と、視点を変えると面白いし
    辻村深月がキャラを使い捨てにせず
    それぞれ成長していく過程、感情の揺れ動きを
    大事にする作家さんだなと思いました。

    内容に今ひとつ興味が持てなかった私が
    夢中になり、いい読書経験できました。

  • 辻村深月さんファンの中でも大好きな人多数の青春小説。人気作家チヨダコウキは事件の影響で長年無気力に「コーキの天使」より少しずつ復活する。現代版トキワ荘には小説家、脚本家、漫画家、映画製作者、イラストレーターが集い自身を信じ支え合いながらゼロトウワンを目指す。もっと若い頃に出逢えたかった作品。

  • 辻村深月さん作品で一番のお気に入り。思えば表紙に魅力を感じて購入し、ここから辻村作品にハマりました。読んでいく中でそれぞれのキャラクターに思い入れを持ち、最後には圧巻のショータイム。もちろん終わってから読み返しました笑。
    全ての人におすすめしたい作品。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。そんな中、あの事件の直後に百二十八通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った一人の少女に注目が集まる。彼女は誰なのか。そして環が受け取った一つの荷物が彼らの時間を動かし始める。

    なあるほど~そうつながっていく訳ね。とは言え出てくる人々が全員自己陶酔が強すぎで、若いのにあまりに人の事を理解しすぎで、あきらめが早く・・・若者しか理解出来ない領域かも。

  • スロウハイツの神様、大好き。

  • 「どんでん返しがすごい」的なフレコミを見て読んでしまったが、その観点だとそうでもなかったかなと。確かに色々と伏線は回収されていく感じはあったけど、読めない展開でもないというか、「やっぱりね」という感じは否めなかった。

    ただ、そういうところはどうでもよくなるくらい、すごく引き込まれる話だった。スロウハイツで繰り広げられる『退屈しない』個性が混ざり合う共同生活。何気ない日常のやりとりにも各人の色々な事情や想いが絡み合いながら流れていく日々。終盤にかけて徐々に明らかになるみんなの内面。なんか、良かった。

    『まぁ、なんていうか。あらゆる物語のテーマは結局愛だよね』という最後の言葉がすごく響いた。もう一歩超えると狂気とも思えてしまう愛がスレスレのところでグツグツしながらも、それを超えない(これもまた異常とも言える)節度が保たれてまあ切ない日々だったのに、最後に「結局愛だよね」と軽く言ってしまえる間柄って、なんかステキやん。

    うまく言い表せてないけど、うん、よかった。

  • 愛する人がいるから生きられる。
    愛する人のために生きる。

    結局、愛。

    では愛とは?
    「愛は、イコール執着だよ。その相手にきちんと執着することだ」と正義が言っていた。

    『ぼくのメジャースプーン』でも書かれてかあった。
    「責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって、『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです。」と。

    だから、愛=執着っていうのが私の中ではしっくりきた。ただの恋愛感情だけではない愛。
    自分のために人のために愛って奥深くて、素晴らしい。
    愛に溢れた作品でした!!!!

  • 古い旅館を改装した「スロウハイツ」
    そこに住む仲間たち

    下巻に来て一気に様相がかわり。
    なんて一途な愛のお話

    後半でいろんなものが繋がって

    それぞれの成長がいとおしくて。

    コウちゃんと環のその後を勝手に想像して
    勝手に幸せな気分になれます(笑)

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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