指し手の顔(下) 脳男2 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768016

作品紹介・あらすじ

連続爆破事件の共犯者という疑惑が残る鈴木一郎が連続殺人犯だというスクープが地元紙に載る。かつて精神鑑定を担当した真梨子に注目が集まる中、警察捜査の裏をかくように行動する鈴木一郎。残虐行為を繰り返す美貌の殺人者とは何者なのか?乱歩賞受賞作『脳男』から7年、更なる問題作が満を持して登場。

感想・レビュー・書評

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  • 鈴木の真意が最後までわからず、そのもどかしさも手伝って一気読み。ラストはただただ残念で仕方ない。鈴木は犯罪者だけれども、ある意味では信頼も置いているという、不思議ないい関係でいて欲しかった。個人的には『脳男』が1番面白かった。続編は読まなくても良かったかも。

  • 下巻の終盤になって、やっと最後結末まで一気に駆け降りる、いやもうこれは突き落とされる展開に、鈴木一郎の気配を感じつつキターと思いながら読んだわけですが。。。惜しむらくはこの最後の締め方よね。
    そもそもの、マッドサイエンティストな流れから、突然の両性有具とか、結局はイデアとかなんだとかよりも快楽殺人者だとかっていうイヴの話も、解決に向かう流れのためか、鷲谷先生と話しているうちにで始める違和感と、不安定な感情の起伏と、そこからの鈴木一郎との会話のシーンから、もはや真実かどうかすら怪しい中で進んでいく解決編が、あまり「脳男」ならではの進み方で、それはある意味脳男らしいって話になるんだろうし、全ての真実を明らかにする必要も義務も必然も何もない!って開き直る感じが、モヤモヤとなって読了後に残ってしまった。。。
    これはこれで真理だよなーとは思いました。
    決して答えを出さない圭吾先生のような、ある意味通づるものがある物語。

    その分のマイナスがあったとて、脳男の物語と、一人の精神科医の復讐劇との2本立ての豪華な小説は、とてつもなく楽しかった。

  • ちょっと長過ぎるような。
    あの二人の絡みを期待していたのだが、ほぼなかったのが残念。
    続編が出てるみたいだけど読むかどうかちょっと悩む。

  • 鈴木一郎のキャラに興味があって続編を手に取ったのだが、当てが外れた感がある。好みの問題なのだが、私には、なにより、ヒロインの暴走体質が苛立たしい。

  • 精神科の位置付けを変えるために犯罪を起こして世論を誘導しようとした話、自分も同じような偏見を持ってることを反省しつつ、でもしょうがないとも思いつつ。結局最後には鈴木一郎が出てくる。感情が無いだけでなく無敵のヒーローになってしまっている。面白いけどスッキリはしない。

  • マーシーの独りよがり
    イチローはやっぱりスーパーマン

  • 前作の脳男の続きということなので買った一冊。

    殺人事件の部分はよかった。
    変に難しいミステリーでもなくわかりやすい次元だったと感じた。

    上巻下巻通じて思った事は、難しい話が多い。
    精神医学の話は難しいよ
    精神病の人の考えてる事とか読みづらいし
    この辺の話は要らなかったんじゃないかと感じた。

    あと脳男がなにをやりたかったのか、ハッキリとわからなかった

    でも脳男はすごい男なんだとあらためて思った。

    難しい話もあってなかなか読みごたえのあった上巻でした。


  • 「脳男」の続編。7年の間を空けて刊行されたとのことで、私は続けて一気に読めてラッキーでした‼︎

    正直、上巻は、要素の多さに、その一つ一つのエピソードの細かさに、「いったいどこへ行くのだろう?」と事件のメインを見失いそうになりましたが、下巻ではパラパラだったそのピースが次々とハマっていき、勢いよく読みました。面白かった‼︎
    (しかし…前作に続いて…なんでこの題名なのかなぁ?いや、ラストでなんとなく分かるけど、違う題名でも良いような気がする…個人的感想です)

    それにしても、読後に強く考えさせられるのは、、、『精神』や『心』という目には見えないもの、どこからが異常で病気なのか?そして、それが犯罪と関わった時、その人をどう扱うのか? ということ。

    また、私自身は、神社仏閣や教会を見たりするのは大好きだけど…。
    信仰とか救い、神の存在、それってなんなんだろう?
    などなどの、シンプルな問いが頭の中をぐるぐるしてます。
    おそらく答えは出ない。

    いずれにせよ、やっぱり犯罪の動機には、復讐心というのは、大きなものであり、もちろん罪は罪としても…己の勝手な哲学のために、人を加担させるのは罪深いなぁと思ったのでした。

    前作同様の中心人物は、
    怪物と思われている鈴木一郎、
    精神科医の鷲谷真梨子、
    県警の警部、茶屋。
    被害者も多く、凄惨な殺され方や、精神病の扱いなど、息が詰まる苦しい展開の中、分かりやすく身体がデカく、常に真っ直ぐ前を見て言いたいことを言う、茶屋警部の存在は、このシリーズのなかでは、むしろ救いなのだわ…と思いながら読み終えました。

  •  下巻に入って、突然にアメリカでの精神病患者の事件の話しや知的障害者の話し、欧州でお城を購入する話し等が物語が事件の核心に迫り読み手も完全にストーリーにのみ込まれているタイミングで長々と横槍が入る。精神医学やキリストについての蘊蓄もストーリーのリズムにブレーキを掛けるだけで項数稼ぎとしか思えない。

     恐らくはこの後の物語で犯人に繋がる展開や動機の前振りでしょうが、ちょっとタイミングと意味不明な出来事を咀嚼するのに、盛り上がってたものが一気に興醒めします。

     精神病の犯罪者を隔離し研究するという壮大な妄想する医師もやはり、精神が病んでいたのだ。夫も精神異常で養女もやはり精神病だった。それらを見越して行動した鈴木一郎も精神病患者だ。いや、精神が病んでいるって線引きは難しい。何が正常でどこからが異常なのか? 多様化という言葉で益々曖昧になっている。

     

  • 脳男は悪を殺す。

    正義とは何か。悪とは何か。正義は悪を貫く為に有る。では、悪が無ければ正義も成り立たないのか。

    正義を誰が勝ち取るか。脳男は全てに根回しを行なっていた。完璧だった。

    ならば、正義の中に悪は潜んでいないだろうか。

    藩マーシーという老齢の女は、自らの目標の為に、養子の娘を利用する。自らの善悪の天秤に娘を掛けたのだ。
    しかし、藩マーシーの考えに反し、娘は暴走する。
    誰かの為に誰かが傷付く。もしかすると、その考えは主観に留まり、双方の思惑は食い違いに終わるのかもしれない。

    脳男はヒーローではない。
    最後に彼は何を敵にまわしてしまったのか。

    脳男は悪を殺す。
    敵が正義だとしたら……

    続編希望。

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著者プロフィール

1956年栃木県生まれ、上智大学法学部卒。会社勤務等を経て、2000年に『脳男』で第46回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。他著に『事故係 生稲昇太の多感』『刑事の墓場』『指し手の顔 脳男2』『刑事のはらわた』『大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄』がある。


「2021年 『ブックキーパー 脳男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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