- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062882125
作品紹介・あらすじ
福沢諭吉宛の世界的大学者からの手紙、幕末の使節団がみたアメリカのデモクラシー、初代帝大総長がヨーロッパで接した知の精神――。
伊藤博文、山県有朋、井上毅から旧幕臣知識人まで、この国のかたちを築いた骨太な指導者たちの幕末明治の文明受容の旅を辿りながら、彼らの思想と行動を読む。『本』好評連載、待望の新書化!
感想・レビュー・書評
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2018.2.6 amazon
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ジュニア新書のような平易な題名に反して中身は専門的であり、政治史と思想史を架橋するような内容で読み応えがある。
中でも、「法理」に殉じる井上と「情勢」に従う伊藤との対比が興味深い。井上毅こそ明治国家の真のデザイナーであるものの、伊藤博文によってある種骨抜きにされて良くも悪くも現実的かつ中途半端な内閣制度が出来上がってしまったが、この辺は両者の天皇観の違いによるものと言えるだろう。「政治は妥協のアートである」とも言われるが、伊藤はまさにそれを体現したとも言える。
ただし、その結果として内閣も天皇も無力化し、それが軍部の暴走(≒昭和の悲劇)を生んだという因果関係に結びつけるのは少々飛躍も感じられ、詳細な検証が必要にも思える。 -
【期待したもの】
・明治を語る時によく出てくる有名人だけではなく、あまり表に出てくることがないエリート官僚を描く、ということで期待した。確かに、あまり聞いたことがない名前が出てくるが、紙数が割かれていたのは、やはり有名人。
【要約】
・明治政府における国家のグランドデザインは、やはり伊藤博文。明治天皇は伊藤の暗殺後、後を追うように、とまでは言わないまで、元気をなくしたまま崩御した。
【ノート】
・ブーランジュ
・そう言えば、なぜわざわざ¥1,000円札のデザインは伊藤博文から変わったんだっけ? -
『本』連載。途中であきるな。
『伊藤博文』の姉妹編。 -
一家に一冊欲しい本(評価は別)
明治国家が憲法に求めるものが
まだわからないことばかり
天皇の統治権の総覧を考える時
また読もう -
憲法発布し、議会混乱するものの、天皇の倹約陶酔生活の甲斐もあって日清戦争に勝利した結果、日本に国民が誕生した。
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伊藤博文と井上毅の2天才によって今の日本の基礎ができた。本当にそう思う。
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「坂の上の雲」でもそうであったが、「明治」と言う時代は実に興味深い。
この時代こそ、現代へと続く「日本」と言う国家の根幹を意図的に造った「創業の時代」であったことは間違いがないのだが、同時に昭和の「帝国の破綻」へと続く道であったし、現在でも「靖国」などで尾を引いている問題でもあるとも思う。
そういう視点から「明治国家をつくった人々」がなにを考えていたのかをより知りたくて本書を手に取ってみたが、ちょっとがっかり。
まず、内容以前に、論理構成や内容がかたく読みにくい。
文章の内容や切り口も、総花的で思考がまとめにくい。また、多くの人々を取り上げすぎていて、関係性がわかりにくいと思えた。
また、本書では当時の文書を「読み下し文」に書き改めて紹介しているが、あまり評価できないと思えた。
歴史家の「松浦玲」や「荻原延壽」がよく原文を引用しているが、文書のニュアンスや交換相手との人間関係を知るにも「原文」のほうがはるかに勝っているし、「読み下し文]
には「勝手読み」のリスクもある。
「漢字原文」は良くできたもので、漢字を現在でも引き継いでいるわれわれには、たとえなじみのない「漢字原文」であろうとも、飽きずに読んでいるうちに大意はつかめるようになってくるのであるから不思議なものである。
ともあれ、本書は、「テーマ」は興味深いものであるが内容全般には不満をもった。 -
地元の図書館で読む。高杉の部分が興味深かった。読書人だったんですね。上海への旅は予想通りです。既に、状況は把握していた。
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伊藤博文に関する著書が多い瀧井一博さんの新書。
対象としている人物が著名人だけではないのが面白い。
福沢諭吉や伊藤博文までは明治本らしい。
だが、渡辺洪基という帝国大学総長なんて、全く知らなかったが、その軌跡は独特で楽しめた。
一方で加藤弘之というのは知らない上に、なぜこの人物を取り上げる必要があったのか最後までしっくりこなかった。
あと、文書が少し難解。
原文をそのまま引用するのは学者らしいが、論文ならいいが一般人向けの新書ではいかがなものか。
それによって読みにくくなっている。