- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062940672
感想・レビュー・書評
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凪良ゆうさんの作品は初めて読んだ。
主人公のうる波と死んだ夫の鹿野くんは幽霊として
同じ家に暮らしている。
物語は4つの章になっており、それぞれの登場人物の生き方が描かれている。
物語全体を通して感じたことは、
人は見た目で判断してはいけない。
それぞれ様々な事情を抱えて生きている。
それを他人が肯定するも否定したとしても、自分自身の生き方を大事にすることが大切。
先入観だけで他人を判断してはいけない。
ということ。
何とも不思議な話だった。
これが凪良ゆうさんの小説なのか。なるほど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても良かった!
歪んでいるのだけど、どこかフワフワと柔らかく、そして切なくて本当によかった。
鹿野くんとうる波ちゃんの絶妙かつ冷静な問いやつっこみにクスっとなったり、千香ちゃんの狂気に背筋が凍る思いをしたり、秋くんの純粋な気持ちに考えさせられたりした。
文章もあたたかく、ストレートに届いた。
ラストも納得! -
「今夜も、明日も、明後日も、わたしも、みんなも、秘密と決意に満ちた暮らしを守っていけますように」
こんな風に生きなくてはダメだ、などという正解はない。
自分の幸せ、自分の人生は、自分で選ぶ。決める。
その強さを持ちたいなあ、と読んで思った。
うる波と鹿野くんの日々が穏やかに続きますように。 -
みんな何かしらの秘密がある。自分の愛するものは、揺るぎなく自分が信じていればいい。
多様性とはまた違う「愛するもの」の描き方が素晴らしいと思いました。 -
ファンタジーではなく、人の心の奥底にあるものを見たようなお話。「ビオトープ」という言葉を知らなかったので調べてみた。また物語の深さが増したと感じた。
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多様性が叫ばれてから何年も経つけど浸透していると感じる事は少ない。その象徴が散りばめられている。
ただそれを認めることが強要されるのも、なんか違う。 -
『流浪の月』で著者の作品にハマった。その後の作品もそうだが、特殊なようでそうではないような登場人物、また彼らの心の変化、何とも言えない爽やかさが特徴であると思う。この作品は凪良氏が初めて書いた文芸作品ということで、近年の作品ほどの盛り上がりには欠けているが、十分楽しめるものであった。
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主人公は、事故死した夫の「鹿野くん」と一緒に暮らす「うる波」。主に4編で構成される、うる波の周りで起きる出来事は、それぞれ予想がつかない驚きの展開を見せ、誰もがハッピーエンドだ!とは言えないであろうかたちで、それぞれ結末を迎えていく。
あちらこちらにぐっとくる登場人物の考え方やセリフ、行動があった。
どういう終わり方をするのだろうかとハラハラしながら読んだ。
次に再読するときは、今回のようにハラハラしながら焦ってページをめくるのではなく、じっくり噛みしめて読みたいと思った。
とっても静かで優しい愛の物語。愛のかたちは人それぞれ。 -
連作短編集。
事故死した夫が幽霊となり、
生活を共にするというファンタジックな設定。
四編の物語で描かれている
いびつな恋…
多様な恋愛や、価値観が存在することを受け入れる大切さを、示唆しているかのよう。
四編の結末が曖昧なため、自身で解釈し深い思索に誘う。
想像力が鍛えられ、余韻にも浸れる作品でした。